ロンドン五輪バドミントン一次リーグ3日目、男子ダブルスの佐藤翔治・川前直樹組が、既に敗退の決まった一次リーグの最終戦で、2005年世界選手権優勝のトニー・グナワン/ハワード・バック組(アメリカ)にストレート勝ち。北京の後、ゼロからスタートして世界最高峰の舞台までたどりついたともに29歳のベテランペアは、念願のオリンピック初勝利で今大会を終えた

強豪がそろったグループで2連敗し、決勝トーナメント進出の道は閉ざされていた。しかし、厳しいオリンピックレースを戦い抜き五輪出場資格を得た後、「(川前)直樹のおかげでここまでやってこれた」と話していたアテネ、北京に続いて3度目の佐藤選手と、五輪初出場の川前選手にとって、最後に1勝できたことの意義は大きい
一方、2000年シドニー五輪金メダリスト、37歳のグナワン選手にとっても、シドニーの後、インドネシアからアメリカに活動の拠点を移し、数年かけて市民権を取得。晴れてアメリカ代表と認められて出場した今大会ではぜひ1勝が欲しいところだった。しかし願いは叶わず、今後は指導者として後輩に夢を託すことになる
五輪初出場の男子シングルス田児賢一選手が、バドミントン競技がスタートしてから3日目にようやくコートに立った。しかし、試合まで日が空いたことで調整がうまくいかなかったのか、オリンピック特有の緊張があったのか、明らかに精彩を欠き、世界47位のスリランカのニルカ・カルナラトネ選手にストレート負け。23歳で臨んだ最初のオリンピックは、一次リーグ敗退という厳しい結果に終わった。田児選手は試合直後、世界バドミントン連盟(BWF)に対し、「眠りから覚めたら既に負けていたような感じ。何が起こったか分からない。私の勝利を信じて応援してくれた人に申し訳ない」とコメントした
女子ダブルスでは、初戦で苦手のデンマークペアを下し勢いに乗る末綱聡子・前田美順組が、一次リーグ最大の難敵、世界2位の中国ツァオ・ユンレイ/ティエン・チン組に挑んだ。結果はストレート負けとなったが、一方的に押し切られるのではなく、随所に勝ちにこだわる姿が見え、第2ゲームでは中盤以降までリードを保つなど、試合の主導権を握り積極的な試合を見せた
3日目を終え、末綱・前田組の一次リーグ通算成績は1勝1敗で中国ペアに次ぐ暫定2位。最終戦の香港プーン・ロクヤン/ツェ・インシュー組との試合に、各グループ上位2位までが出場できる決勝トーナメント(準々決勝)進出をかける
日本選手3日目の結果(世界ランクはオリンピックレース終了時点のもの)
【男子シングルス】 田児賢一(世界8位)〈18-21,16-21〉ニルカ・カルナラトネ(スリランカ、世界47位)
【男子ダブルス】 佐藤翔治・川前直樹(世界11位)〈21-15,21-15〉トニー・グナワン/ハワード・バック(アメリカ、世界21位)
【女子ダブルス】 ツァオ・ユンレイ/ティエン・チン(中国、世界2位)〈21-16,21-17〉末綱聡子・前田美順(世界6位)
一次リーグ4日目(最終日)にコートに立つのは、佐藤冴香選手、藤井瑞希・垣岩令佳組、末綱・前田組、池田信太郎・潮田玲子組。2連勝で現在、グループ1位(暫定)につけている藤井・垣岩組でも、負ければ、勝ち数で3ペアが並び得失点差によって決勝トーナメント進出を逃す可能性もあるため、すべての選手にとって負けられない大事な試合となる
◆各種目一次リーグの途中経過(3日目終了時点。★は決勝トーナメントに進出する選手が決まったグループ)
【男子シングルス】
★〈グループA〉 【1】リー・チョンウェイ(マレーシア、1勝)【2】ビル・ラング(フィンランド、1敗)
〈グループB〉 【1】シモン・サントソ(インドネシア、1勝)【2】ラウル・ムスト(エストニア、1勝1敗)【3】マイケル・ラーンスタイナー(オーストリア、1敗)
★〈グループC〉 【1】ニルカ・カルナラトネ(スリランカ、1勝)【2】田児賢一(日本、1敗)
〈グループD〉 【1】カシャップ・パルパリ(インド、1勝)【2】グエン・ティエンミン(ベトナム、1勝)【3】タン・ユーハン(ベルギー、2敗)
★〈グループE〉 【1】チェン・ロン(中国、1勝)【2】ブーンサック・ポンサナ(タイ、1敗)
〈グループF〉 【1】ウォン・ウィンキ(香港、1勝)【2】ブリス・レベルデス(フランス、1勝)【3】エドウィン・エキリン(ウガンダ、2敗)
★〈グループG〉 【1】ピーター・ゲード(デンマーク、1勝)【2】ペドロ・マーティンズ(ポルトガル、1敗)
〈グループH〉 【1】ソン・ワンホ(韓国、1勝)【2】ウラジミール・イワノフ(ロシア、1勝1敗)【3】スー・ジェンハオ(台湾、1敗)
〈グループI〉 【1】ウォン・ジリアン・デレク(シンガポール、1勝) 【2】ヤン・ヨルゲンセン(デンマーク、1勝)【3】ミーシャ・ジルバーマン(イスラエル、2敗)
★〈グループJ〉 【1】イ・ヒョンイル(韓国、1勝)【2】ロドリゴ・パチェコ・カリリョ(ペルー、1敗)
〈グループK〉 【1】マーク・ツイブラー(ドイツ、1勝)【2】ドミトロ・ザバドスキー(ウクライナ、1勝)【3】モハメド・アジファン・ラシード(モルジブ、2敗)
★〈グループL〉 【1】チェン・ジン(中国、1勝)【2】シュミツワフ・バハ(ポーランド、1敗)
〈グループM〉 【1】ケビン・コルドン(グアテマラ、1勝)【2】ラジフ・ウーセフ(英国、1勝)【3】ヘンリ・フルスカイネン(スウェーデン、2敗)
★〈グループN〉 【1】佐々木翔(日本、1勝)【2】バージル・ソエロレジョ(スリナム、1敗)
〈グループO〉 【1】タウフィック・ヒダヤット(インドネシア、1勝)【2】パブロ・アビアン(スペイン、1勝)【3】ペトロ・コーカル(チェコ、2敗)
★〈グループP〉 【1】リン・ダン(中国、1勝)【2】スコット・エバンス(アイルランド、1敗)
【女子シングルス】
★〈グループA〉 【1】ワン・イーハン(中国、1勝)【2】ミッシェル・リ(カナダ、1敗)
〈グループB〉 【1】ベ・ヨンジュ(韓国、1勝)【2】ティー・ジンイ(マレーシア、1勝1敗)【3】アグネス・アレグリニ(イタリア、1敗)
〈グループC〉 【1】チェン・シャオチエ(台湾、1勝)【2】ネスリハン・イイット(トルコ、1勝)【3】シモネ・プルッチ(オーストリア、2敗)
〈グループD〉 【1】グ・ジュアン(シンガポール、1勝)【2】ビクトリア・ナ(オーストラリア、1勝)【3】モニカ・ファスンゴワ(スロバキア、2敗)
★〈グループE〉 【1】サイナ・ネワル(インド、2勝)【2】タン・リアン(ベルギー、1勝1敗)【3】サブリナ・ジャケ(スイス、2敗)
〈グループF〉 【1】ヤオ・ジエ(オランダ、1勝)【2】ラグナ・インゴルフスドッティア(アイスランド、1勝)【3】アクビル・スタプサイタイト(リトアニア、2敗)
〈グループG〉 【1】ティネ・バウン(デンマーク、1勝)【2】アナスタシア・プロコペンコ(ロシア、1勝)【3】カミラ・アウグスティン(ポーランド、2敗)
〈グループH〉 【1】スーザン・エゲルスタフ(英国、1勝)【2】佐藤冴香(日本、1勝)【3】マヤ・トビルディ(スロベニア、2敗)
〈グループI〉 【1】ピ・ホンヤン(フランス、1勝)【2】クロエ・マギー(アイルランド、1勝)【3】ハディア・ホスニー(エジプト、2敗)
★〈グループJ〉 【1】イップ・プイイン(香港、2勝)【2】ソン・ジヒョン(韓国、1勝1敗)【3】サラ・B・クベルノ(ノルウェー、2敗)
〈グループK〉 【1】タイ・ツーイン(台湾、1勝)【1】アヌ・ニエミネン(フィンランド、1勝1敗)【2】ビクトリア・モンテロ(メキシコ、1敗)
★〈グループL〉 【1】リ・シュエリ(中国、2勝)【2】カロリナ・マリン(スペイン、1敗)【3】クラウディア・リベロ(ペルー、1敗)
〈グループM〉 【1】ラッチャノク・インタノン(タイ、1勝)【2】テルマ・サントス(ポルトガル、1勝)【3】シリニ・ジャヤシンゲ(スリランカ、2敗)
★〈グループN〉 【1】ユリアン・シェンク(ドイツ、2勝)【2】クリスティナ・ガブンホルト(チェコ、1勝1敗)【3】ラリサ・オリガ(ウクライナ、2敗)
〈グループO〉 【1】ペトヤ・ネデルチェワ(ブルガリア、1勝)【2】アドリアンティ・フィルダサリ(インドネシア、1勝)【3】アレシア・ザイトサワ(ベラルーシ、2敗)
★〈グループP〉 【1】ワン・シン(中国、1勝)【2】ワン・レナ(アメリカ、1敗)
【男子ダブルス】
★〈グループA〉【1】ファン・チエミン/リー・シェンム(台湾、2勝)【2】カイ・ユン/フー・ハイファン(中国、2勝)【3】インゴ・キンダーバーター/ヨハネス・シュートラー(ドイツ、1勝2敗【4】グレン・ワーフ/ロス・スミス(オーストラリア、3敗)
★〈グループB〉 【1】マニーポン・ジョンジット/ボディン・イサラ(タイ、3勝)【4】モハンマド・アーサン/ボナ・セプタノ(インドネシア、2勝1敗)【3】ユ・ヨンソン/コ・ソンヒョン(韓国、1勝2敗)【3】ミカル・ロゴス/アダム・ツファリナ(ポーランド、3敗)
★〈グループC〉 【1】グオ・ツェンドン/チャイ・ビアオ(中国、2勝)【2】マシアス・ボー/カールステン・モゲンセン(デンマーク、2勝)【3】ウラジミール・イワノフ/イワン・ソゾノフ(ロシア、2敗)【4】ドリアン・ランス・ジェームズ/ウィレム・ビルジョン(南アフリカ、2敗)
★〈グループD〉 【1】クー・ケンケット/タン・ブンヒョン(マレーシア、2勝)【2】チョン・ジェソン/イ・ヨンデ(韓国、2勝)【3】佐藤翔治・川前直樹(日本、1勝2敗)【4】トニー・グナワン/ハワード・バック(アメリカ、3敗)
【女子ダブルス】
★〈グループA〉 【1】ユー・ヤン/ワン・シャオリー(中国、2勝)【2】キム・ハナ/チョン・ギョンウン(韓国、2勝)【3】ニナ・ビスロバ/バレリ・ソロキナ(ロシア、2敗)【4】ブルース・アレックス/ミッシェル・リ(カナダ、2敗)
〈グループB〉 【1】藤井瑞希・垣岩令佳(日本、2勝)【2】ジュワラ・グッタ/アシュウィニ・ポンナッパ(インド、1勝1敗)【3】チェン・ウェンシン/チェン・ユーチン(台湾、1勝1敗)【4】シンタ・ムリア・サリ/ヤオ・レイ(シンガポール、2敗)
〈グループC〉【1】キム・ミンジョン/ハ・ジョンウン(韓国、2勝) 【2】グレイシア・ポリー/メイリアナ・ジャウハリ(インドネシア、2勝)【3】レヌガ・ビーラン/リーン・チュー(オーストラリア、1勝2敗)【4】ミッシェル・クレア・エドワーズ/アナリ・ビルジョエン(南アフリカ、3敗)
〈グループD〉 【1】ツァオ・ユンレイ/ティエン・チン(中国、2勝)【2】末綱聡子・前田美順(日本、1勝1敗)【3】クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール(デンマーク、1勝1敗)【4】プーン・ロクヤン/ツェ・インシュー(香港、2敗)
【混合ダブルス】
★〈グループA〉 【1】ツァン・ナン/ツァオ・ユンレイ(中国、2勝)【2】マイケル・フックス/バージット・ミシェルズ(ドイツ、2勝1敗)【3】アレクサンドロ・ニコラエンコ/バレリ・ソロキナ(ロシア、1勝2敗)【4】クリス・アドコック/イモジェン・バンキア(英国、2敗)
〈グループB〉【1】ヨアキム・フィッシャー・ニールセン/クリスティナ・ペダーセン(デンマーク、2勝)【2】ロベルト・マティウシアク/ナディエズダ・ジーバ(ポーランド、1勝1敗)【3】池田信太郎・潮田玲子(日本、1勝1敗)【4】トビー・ナン/グレース・ガオ(カナダ、2敗)
★〈グループC〉 【1】トーマス・レイバーン/カミラ・リタ・ユール(デンマーク、2勝)【2】タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル(インドネシア、2勝)【3】イ・ヨンデ/ハ・ジョンウン(韓国、2敗)【4】V.ディジュ/ジュワラ・グッタ(インド、2敗)
〈グループD〉 【1】シュー・チェン/マー・ジン(中国、2勝)【2】スッケー・プラパカモン/サラリー・トゥントーンカム(タイ、1勝1敗)【3】チェン・フンリン/チェン・ウェンシン(台湾、1勝1敗)【4】チャン・ペンスーン/ゴー・リュウイン(マレーシア、2敗)