
シンガポールオープンSS準々決勝、今大会不振の日本勢の中、勝ち残っていた女子ダブルス2組のうち、高橋礼華・松友美佐紀組がこの日も勝って、準決勝に進んだ。1時間30分に及ぶ大接戦となったが、試合後のコメントで、際どい点差にも関わらず、落ち着いて試合を進めていたことが分かった
◆第1ゲーム:どちらに転んでもおかしくない競り合いの中、ギリギリの勝利(30-29)◆第2ゲーム:18-17とリードしなからの逆転負け(18-21)◆ファイナルゲーム:20-18から追いつかれ、ようやく逃げ切り(22-20)――。スコアだけ見れば、アップアップの状態の中、何とかつかんだ幸運な勝利のようにも見える
しかし、高橋選手は試合直後、BadPaL の取材に対し、「強いことは分かっていた。最後まであきらめずにきた」と相手の良さを認めた上で、「やろうと思っていたことができなかった部分はあるが、自分たちのプレーが効かなかったわけではない。第1ゲーム終盤、相手に追い付かれリードされても、次に点を取ればいいと思え、焦ることはなかった」と冷静に振り返った。ファイナルゲーム、先に2つのマッチポイトを握りながら追いつかれた場面も、松友選手が「終盤追い上げてくる相手との認識があり、20-20で並ばれたのは想定内。第1ゲーム同様、30点までいってでも勝てばいいと思っていた」と笑顔で語り、あわてなかったと説明した
思い切りやって負けてもいいという気持ちがそうした心の余裕を生んでいたのか、と尋ねると、むしろ逆で、「勝てる」という揺るぎのない自信が軸にあったことを強調した

もうひとつの日本ペア、前田美順・垣岩令佳組は、世界2位のデンマーク、クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール組と対戦。過去2戦は敗れているものの、いずれもファイナルゲームまでもつれる試合で、世界ランクも6位に浮上した日本2番手ペアの「3度目の正直」に期待がかかった。しかしふたを開けてみると、第1ゲーム前半こそ競り合いとなったが、とりわけ第2ゲームに入ると完全に格上デンマークペアのペース。一方的な展開となり、流れを引き戻すきっかけすら見いだせないまま完敗した
前田・垣岩組は試合後、BadPaL に対し、「相手を乗せてしまい、こっちは返すだけ。切り替える間もなく、何もできずに終わってしまった」とコメントした。上位大会SSでベスト8という一応の結果は残したが、「思い切ってやってこの結果ならしようがないが・・・」と述べ、格上相手に消化不良の試合をしてしまったことで、まったく納得いっていない様子を隠さなかった
前田・垣岩組は今シーズン、最初のSS2大会、韓国とマレーシアで続けてベスト4入り。3大会目の全英オープンでは、出場7大会連続優勝の中国バオ・イーシン/タン・ジンフア組を止めるなど好調だった。しかし前週のインドで今年初めてベスト8入りを逃し、シンガポールでは完敗。現在の状態をどう見るか尋ねると、「自分たちはまだ、コンスタントではない」と認めた上で、「自分の球がなかなか出せないような風のある苦手の体育館でも、常に結果を出せるようにしていきたい」と述べ、試合会場を後にした
準々決勝の結果
【男子シングルス】 リー・チョンウェイ(マレーシア。世界1位)〈21-8,21-14〉タノンサク・サエンソンプーンサック(タイ、世界23位)、フ・ユン(香港、世界14位)〈21-17,14-21,19-21〉キダンビ・スリカンス(インド、世界25位)、シモン・サントソ(インドネシア、世界52位)〈21-18,21-15〉イ・トンクン(韓国、世界35位)、ドゥ・ペンユ(中国、世界7位)〈21-15,21-15〉B.サイ・プラニ―ス(インド、世界50位)
【女子シングルス】 リ・シュエリ(中国、世界1位)〈21-10,21-13〉タイ・ツーイン(台湾、世界7位)、ソン・ジヒョン(韓国、世界5位)〈21-12,21-9〉ベ・ヨンジュ(韓国、世界6位)、ラッチャノク・インタノン(タイ、世界4位)〈14-21,12-21〉ハン・リ(中国、世界16位)、ワン・イーハン(中国、世界3位)〈21-19,21-15〉シンドゥ(インド、世界11位)
【男子ダブルス】 ヘンドラ・セティアワン/モハンマド・アーサン(インドネシア、世界1位)〈15-21,21-13,19-21〉ユ・ヨンソン/キム・サラン(韓国、世界281位)、リッキー・カランダ・スワルディ/ベリー・アングリアワン(インドネシア、世界26位)〈16-21,21-18,12-21〉カイ・ユン/ルー・カイ(中国、世界360位)、ツァイ・チアシン/リー・シェンム(台湾、世界7位)〈21-16,21-14〉フーン・ティエンハウ/タン・ウィーキョン(マレーシア、世界9位)、ホン・ウェイ/チャイ・ビアオ(中国、世界18位)〈棄権〉コ・ソンヒョン/シン・ベクチョル(韓国、世界25位)
【女子ダブルス】 クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール(デンマーク、世界2位)〈21-15,21-5〉前田美順・垣岩令佳(世界6位)、高橋礼華・松友美佐紀(世界4位)〈30-29,18-21,22-20〉スシ・リズキ・アンディニ/ティアラ・ロサリア・ヌライダ(インドネシア、世界72位)、コ・アラ/ユ・ヘウォン(韓国、世界13位)〈12-21,13-21〉ルオ・ユー/ルオ・イン(中国、世界17位)、バオ・イーシン/タン・ジンフア(中国、世界3位)〈22-20,22-20〉グレイシア・ポリー/ニトヤ・クリシンダ・マヘスワリ(インドネシア、世界9位)
【混合ダブルス】 タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル(インドネシア、世界2位)〈21-8,21-17〉アナース・クリスチャンセン/ジュリー・ハウマン(デンマーク、世界20位)、ダニー・バワ・クリスナンタ/ユーヤン・バネッサ・ネオ(シンガポール、世界14位)〈12-21,20-22〉リュウ・チェン/バオ・イーシン(中国、世界17位)、コ・ソンヒョン/キム・ハナ(韓国、世界6位)〈18-21,21-16,21-15〉ユ・ヨンソン/チャン・イエナ(韓国、世界26位)、シュー・チェン/マー・ジン(中国、世界3位)〈棄権〉リッキー・ウィディアント/プスピタ・リチ・ディリ(インドネシア、世界13位)
準決勝の対戦カード
【男子シングルス】
リー・チョンウェイ(マレーシア、世界1位)対キダンビ・スリカンス(インド、世界25位)
ドゥ・ペンユ(中国、世界7位)対シモン・サントソ(インドネシア、世界52位)
【女子シングルス】
リ・シュエリ(中国、世界1位)対ソン・ジヒョン(韓国、世界5位)
ワン・イーハン(中国、世界3位)対ハン・リ(中国、世界16位)
【男子ダブルス】
ユ・ヨンソン/キム・サラン(韓国、世界281位)対カイ・ユン/ルー・カイ(中国、世界360位)
ツァイ・チアシン/リー・シェンム(台湾、世界7位)対コ・ソンヒョン/シン・ベクチョル(韓国、世界25位)
【女子ダブルス】
クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール(デンマーク、世界2位)対高橋礼華・松友美佐紀(世界4位)
バオ・イーシン/タン・ジンフア(中国、世界3位)対ルオ・ユー/ルオ・イン(中国、世界17位)
【混合ダブルス】
タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル(インドネシア、世界2位)対リュウ・チェン/バオ・イーシン(中国、世界17位)
コ・ソンヒョン/キム・ハナ(韓国、世界6位)対リッキー・ウィディアント/プスピタ・リチ・ディリ(インドネシア、世界13位)