インドの五輪代表選手は、男子ダブルスを除く4種目に合わせて5人で、男女シングルス2人のみだった前回から大きく増えた。インド国内では特に、2大会連続出場のサイナ・ネワル選手のメダル獲得に大きな期待が寄せられている

世界トップに立ち並ぶ中国勢のメダル独占を阻止できる選手の筆頭に位置付けられるネワル選手は4年前、18歳で出場した北京五輪で3回戦に勝ち進み、第4シードのワン・チェン選手(香港)を下す金星を上げ、インド女子初の五輪ベスト8入りを果たす。同じ年の10~11月に開催された世界ジュニア選手権では、準決勝でワン・シーシャン選手(中国)、決勝で佐藤冴香選手を下し、インド選手で初めて世界ジュニアのタイトルを手にした。続く2009年にはスーパーシリーズ(SS)初制覇、2010年にはSSで3勝するなど、着実にステップアップしてきた
しかし2011年に入ると、佐藤冴香、廣瀬栄理子、後藤愛といった日本選手に相次いで敗れるなど、SSで勝てなくなる。ロンドン五輪の前哨戦と位置付けられた8月の世界選手権でもベスト8どまりと振るわず、足首負傷の影響もあり不調に陥った。それでも世界上位8人しか出場できない年末のSSファイナルで、優勝こそ逃したものの、この年に敗れた各国の強豪を次々に破って決勝まで進んだことで自信と笑顔を取り戻すと、2012年には中国選手以外への取りこぼしが極端に減り、オリンピック前最後の主要大会インドネシアオープンSSプレミアでは中国のトップ選手2人を下して優勝。復調を強く印象付けた
激しいトレーニングと食事制限の結果、スタミナの増したネワル選手は、自信回復を認めながらも過信にならぬよう謙虚にふるまっている。同選手のコーチは、ネワル選手は中国選手を倒せるとした上で、国民が期待するメダルへのプレッシャーを排除し、いかにリラックスして試合に臨めるかがカギと指摘している。ネワル選手は、世界ランク1位のワン・イーハン選手(中国)にのみこれまで勝ちがない

ネワル選手に続くのが、女子ダブルスのジュワラ・グッタ/アシュワニ・ポンナッパ組。世界ランクは2ケタにとどまっているものの、ロンドン五輪と同じ会場ウェンブリーアリーナで1年前に開催された世界選手権で、末綱聡子・前田美順組と並んで銅メダルを獲得している
とりわけ混合ダブルスにも出場するグッタ選手は178cmの長身で、サウスポーから繰り出すショットの威力は中国のトップ選手にも劣らない。良いイメージを持つ試合場でうまく勢い付くことができれば、上位ペアを倒して再び表彰台の一角を占める潜在性は秘めている
中国人の母を持つグッタ選手は、代表選手が競技にだけ集中できるシステムを有する中国の優位性を率直に認めながらも、恐れるものはなくメダルを持ちかえりたい述べている
インド五輪代表(5人)
【男子シングルス】 カシャップ・パルパリ選手(25)
【女子シングルス】 サイナ・ネワル選手(22)
【女子ダブルス】 ジュワラ・グッタ選手(28)/アシュウィニ・ポンナッパ選手(22)
【混合ダブルス】 ヴァリヤヴィーティル・ディジュ選手(31)/ジュワラ・グッタ選手