
シンガポールオープンSS準決勝、ここまで進んできた上田拓馬選手と高橋礼華・松友美佐紀組のうち、高橋・松友組が、昨年の池田信太郎・潮田玲子組に続き、日本勢として2年連続となる決勝の舞台に立つ
高橋・松友組の対戦相手は、3連敗中の中国ペアをファイナルゲームで破ったインドネシアのピア・ゼバディア・ベルナデス/リズキ・アメリア・プラディプタ組。高橋選手は、「勝てるチャンスがより大きくなると思った。しかしビデオを見てみると、勢いがあると感じ、警戒して臨んだ」と話した。対戦成績は、2月に所属チームで参戦したクラブ対抗戦インドネシアスーパーリーガを含め、過去4戦4勝。ただそのうち3戦がファイナルゲームまでもつれる試合で、余裕があったわけではないという
それでも試合が始まると、序盤から抜け出し一度もリードを譲らぬまま第1ゲームを先取。第2ゲームは、相手を大きく振る定評のあるレシーブに加えて、どちらが後衛になっても仕掛ける攻撃の形が機能し、中盤以降リードを広げて、ストレート勝ちした

松友選手は BadPaL に対し、「きょうはラリーが長く、疲れた」と試合直後の感想をもらしながら、満足感をたたえた笑顔を見せた。高橋選手は、「朝から体が重く、昨日より調子は落ちていた」と明かした。しかし、調子が悪かったのかと問うと、「そうではない」と笑った
SS以上の大会では、昨年10月のデンマークオープンSSプレミア、今年1月のマレーシアオープンSSに続く決勝進出となるが、「決勝は楽しんで、思い切り戦いたい」とした。ただ、対戦相手に決まったロンドン五輪金メダルの中国ツァオ・ユンレイ/ティエン・チン組には前週のインドネシアオープンSSプレミアで悔しい逆転負けを喫しているだけに、「リベンジしたい」と闘志ものぞかせた

SSで初めて準決勝に進んだ上田選手は、過去4度決勝に進み優勝2回(2007、12年)を記録しているシンガポールオープンを得意とするタイのブーンサック・ポンサナ選手に挑んだ。第1ゲームは3-4と1点リードされた場面から、次々に連続得点を決められ、8-21と大差で落とす。第2ゲームもポンサナ選手の優位は変わらず6-11で前半を終える。後半に入ると、「負けてもいいから思い切りやろう」と気持ちを吹っ切れた上田選手が巻き返し、12-12で追いつき、15-14といったん逆転に成功する。しかしここから勝負に出たポンサナ選手の攻撃の流れを止めることができず、一気の7連続得点を許し、敗れた
上田選手は試合後、合同の記者会見に臨み、今大会全体を通じた感想を尋ねられ、「SSベスト4は初めてで達成感がある。ただ準決勝については、もっとできたという思いがあり満足していない」と答えた
その後、BadPaL の取材に応じ、「会場に来るまでは試合をするのが楽しみだった。ただ実際にコートに入ると、前日までにプレーした同じコートながら、雰囲気が違い緊張した」と、初めてのSS準決勝に臨んだ気持ちを説明した。この日の試合の出来については、「自分らしいプレーができたかと言われると、ブーンサックに封じられてできなかった。テクニカルな選手とのイメージがあり、それに翻弄されないよう準備してきたが、きょうの彼はスピードがあり、その違いに対応できなかった」と述べた。第1ゲームを大差で落とした後、気持ちの切り替えはできなかったのかと問うと、「切り替えたが、風の影響や迷いがあり、プレーにうまくつながらなかった。前半を終え、後がなくなった時点でようやく切り替えられた」という

上位大会のSSで初めてベスト4入りを果たした上田選手は、世界ランクで田児賢一選手に次ぐ日本選手2位を維持し、今大会では、後ろにつける坂井一将、桃田賢斗両選手をきっちり下した。ここからさらに上を目指すために取り組むことを尋ねると、「今回、差を感じたスピードの部分など、レベルアップを図るのはもとより、風の影響があるコートでの戦い方など異なる試合環境に適応できるようにしていきたい」と答えた
一方、ポンサナ選手は試合後の記者会見で、「第1ゲームは最初に入ったコートの風向きを見て速い攻撃を仕掛けられた。エンドの変わった第2ゲームは難しくなった」と述べており、シンガポールオープンの会場を熟知していたことが、戦略として機能したことをうかがわせた
日本選手以外では、女子シングルスの中国ワン・イーハン選手が今大会、1、2回戦に続いてこの日も追い詰められるが、ファイナルゲームできっちり勝利。あらためて勝負強さを示した。一方、予選からの勝ち上がりながら、ユリアン・シェンク(ドイツ、世界2位)、タイ・ツーイン(台湾、同8位)というトップ選手を次々と破ってきた今大会台風の目、中国スン・ユ選手が初のSS決勝進出を狙ったが、世界1位の中国リ・シュエリ選手に阻まれた。スン選手は昨年の世界ジュニア選手権団体戦決勝で奥原希望選手に勝利。シニア大会でも既に、SSの下に位置する大会グランプリ(GP)ゴールドで優勝を果たしている
男子ダブルスでは、前週のインドネシアオープンを制したインドネシアのヘンドラ・セティアワン/モハンマド・アーサン組が、ロンドン五輪金メダルの中国カイ・ユン/フー・ハイファン組にストレート勝ちし、2週連続優勝に王手をかけた。決勝の相手は前週と同じ、世界1位の韓国イ・ヨンデ/コ・ソンヒョン組
準決勝の結果
【男子シングルス】 グエン・ティエンミン(ベトナム、世界10位)〈22-20,19-21,15-21〉トミー・スギアルト(インドネシア、世界13位)、ブーンサック・ポンサナ(タイ、世界4位)〈21-8,21-15〉上田拓馬(世界17位)
【女子シングルス】 リ・シュエリ(世界1位)〈21-13,21-11〉スン・ユ(世界73位)、ワン・イーハン(世界5位)〈20-22,21-17,21-18〉リンダウェニ・ファネトリ(インドネシア、世界13位)
【男子ダブルス】 イ・ヨンデ/コ・ソンヒョン(韓国、世界1位)〈21-15,21-19〉ユ・ヨンソン/シン・ベクチョル(韓国、世界16位)、カイ・ユン/フー・ハイファン(中国、世界8位)〈16-21,14-21〉ヘンドラ・セティアワン/モハンマド・アーサン(インドネシア、世界7位)
【女子ダブルス】 ツァオ・ユンレイ/ティエン・チン(中国、世界12位)〈21-16,13-21,21-18〉グレイシア・ポリー/ニトヤ・クリシンダ・マヘスワリ(インドネシア、世界75 位)、高橋礼華・松友美佐紀(世界2位)〈21-17,21-16〉ピア・ゼバディア・ベルナデス/リズキ・アメリア・プラディプタ(インドネシア、世界7位)
【混合ダブルス】 タント ウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル(インドネシア、世界3位)〈21-11,16-21,21-18〉プラビーン・ジョーダン/ビタ・マリッサ(インドネシア、世界27位)、シン・ベクチョル/チャン・イエナ(韓国、世界15位)〈13-21,17-21〉ユ・ヨンソン/オム・ヘウォン(韓国、世界136位)
決勝の対戦カード
【男子シングルス】 ブーンサック・ポンサナ(タイ、世界4位)対トミー・スギアルト(インドネシア、世界13位)
【女子シングルス】 リ・シュエリ(世界1位)対ワン・イーハン(世界5位)
【男子ダブルス】 イ・ヨンデ/コ・ソンヒョン(韓国、世界1位)対ヘンドラ・セティアワン/モハンマド・アーサン(インドネシア、世界7位)
【女子ダブルス】 高橋礼華・松友美佐紀(世界2位)対ツァオ・ユンレイ/ティエン・チン(中国、世界12位)
【混合ダブルス】 タント ウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル(インドネシア、世界3位)対ユ・ヨンソン/オム・ヘウォン(韓国、世界136位)