
男女混合国・地域別対抗戦スディルマンカップ(杯)決勝トーナメント初戦、日本はベスト4入りをかけてインドネシアと対戦した
インドネシアチームは今回、男子シングルスのタウフィック・ヒダヤット選手(世界ランク2位)、男子ダブルスのマルキス・キド/ヘンドラ・セティアワン組(世界7位)、混合ダブルスのリリアナ・ナッチル選手(世界4位)といったベテラン勢を欠く布陣で中国・青島に乗り込んだ。それでも、一次リーグではロシア(4-1)とマレーシア(3-2)を下し、B組トップで決勝トーナメントに進出した

日本チームのヘッドコーチ、パク・ジュボン氏が、「実力拮抗で、どのペアでいくか本当に悩んだ」と話す男子ダブルスには、直近のアジア選手権、インドオープンスーパーシリーズ(SS)で結果を残した上り調子の平田典靖・橋本博且組を起用した。しかしこの日は、ネット周りを制し堅いレシーブで相手にプレッシャーをかけ続ける好調時のプレースタイルがなりを潜め、逆にモハンマド・アーサン/アルベン・ユリアント・チャンドラ組にお株を奪われる形で、ほとんど見せ場らしい見せ場を作れぬままストレート負けした

続く女子シングルスは、エースの廣瀬栄理子選手で臨んだ。第1ゲーム、先月のインドオープンSSでフルゲームの末に勝利したアドリアンティ・フィルダサリ選手とまたも接戦に。終盤16-19とリードを許すが、ここから5連続得点を決め先勝する。第2ゲームも競り合いとなるが、今度は12-12から徐々に引き離され17-21で落とす。ファイナルゲームはこの流れを受け、嫌な感じの立ち上がり。しかし廣瀬選手は3-3に追いついた辺りで一段シフトアップ。連続得点で9-3と引き離すと、その勢いのままアグレッシブに試合を進め、21-14で日本に1勝目をもたらした
廣瀬選手は試合後、BadPaL に対し、「第2ゲームは少し引いてしまった」と振り返った。しかしファイナルゲーム序盤、3-3となったところで、「自分で勝ちにいかなければ」ともう一度、気持ちを入れ直し、その結果が一気の加速につながったという。団体戦特有のプレッシャーについては、「チームでメダルを狙っていたので、この試合の重要性は分かっていてプレッシャーはあったが、うまく乗り越えられた」と述べた。一方、課題である終盤の1点に関し、第1ゲームは19点から一気に決めることができたが、第3ゲームの19-9と大きくリードした場面では、相手に4連続得点を許し少々もたついた。廣瀬選手はこの場面を、「1点を取りたいと思い過ぎて少し硬くなった」と明かし、今後の反省点とした

対戦成績を1-1のタイに戻して迎えた男子シングルス、過去2戦して2敗と分が悪い相手ながら、「ここ一番の勝負に強い」(舛田圭太コーチ)と日本チームが送りだした田児賢一選手が、格上のシモン・サントソ選手に対し、自信みなぎる落ち着いたプレーで第1ゲームを支配。続く第2ゲームも、序盤こそ競り合うが、10-9とリードしたところから11連続得点と圧倒、一気に勝負を決めた
日本が2-1と準決勝進出にリーチをかけて臨んだ女子ダブルス、出場を命じられたのはエースの末綱聡子・前田美順組ではなく、松尾静香・内藤真実組だった。末綱選手の負傷が背景にあったが、松尾・内藤組は「言われれば行ける準備はしていた」とし、コーチの決定に驚きはなかったという

日本ペアは第1ゲーム、11-9で折り返した後、13-9まで点差をつける。しかし負ければチームの敗退が決まるグレイシア・ポリー/メイリアナ・ジャウハリ組の必死の追い上げに遭い14-14で並ばれると、以降はリードを奪えず17-21で落とす。第2ゲームでの挽回が期待されたが、なかなか流れを断ち切ることはできず、結局、一度も追いつけないまま16-21で試合を終えた
松尾、内藤両選手は試合後、BadPaL の取材に応じ、「点を欲しい時に急ぎすぎてしまった」と敗因を語った。初めはプレッシャーを感じなかったが、第1ゲームを奪われてから徐々にわき上がってきて動きが悪くなったという。松尾選手は「自分たちが勝っていれば日本の勝利につながったのに、(2-1として)つないでくれた仲間に申し訳ない」と述べ、くやしさをにじませた
再びタイ(2-2)となり、勝敗の行方は、一次リーグ初戦でドイツペアに逆転勝ちし、チームに勢いを与えた池田信太郎・潮田玲子組に託された

混戦が予想された世界ランク上位のフラン・クルニアワン/ピア・ゼバディア・ベルナデス組との試合は、第1ゲーム序盤から1点を取り合う展開で19-19まで進む。厳しい競り合いの中、終盤、日本ペアにシャトルをネットにかけるミスが出て、このゲームを19-21で落とす。第2ゲームは中盤まで池田・潮田組がリードするが、13-13で追いつかれ再び一進一退に。しかし今度は、先にマッチポイント(20-19)を握ったインドネシアペアに食らいつき逆にゲームポイントを取り返すなどまったく譲らず、チームメートの声援を背に25-23でこのゲームを奪い返した

準決勝進出(=メダル獲得)のかかった勝負を決するファイナルゲーム。ただ、それまでの熱戦で疲労が蓄積したのか、日本ペアにショットのミスが続くようになり、インドネシアペアとの点差が徐々に開いていく。7-11でインターバルを迎えた後も流れは変わらず、1時間23分に及んだ試合は、14-21で終焉を迎えた
この結果、日本は、台湾、マレーシア、インドと並んでベスト8で今回のスディルマン杯を終えた。28日に行われる準決勝は、第1試合が中国対韓国、第2試合がインドネシア対デンマークとなった
◆日本対インドネシアの結果詳細
【男子ダブルス】 平田典靖・橋本博且(世界9位)<17-21,16-21>モハンマド・アーサン/アルベン・ユリアント・チャンドラ(世界8位/世界10位)
【女子シングルス】 廣瀬栄理子(世界16位)<21-19,17-21,21-14>アドリアンティ・フィルダサリ(世界33位)
【男子シングルス】 田児賢一(世界25位)<21-15,21-9>シモン・サントソ(世界12位)
【女子ダブルス】 松尾静香・内藤真実(世界6位)<17-21,16-21>グレイシア・ポリー/メイリアナ・ジャウハリ(世界5位)
【混合ダブルス】 池田信太郎・潮田玲子(世界16位)<19-21,25-23,14-21>フラン・クルニアワン/ピア・ゼバディア・ベルナデス(世界11位)

一方、グループ2とグループ3の最終順位がこの日、以下のように確定した。前日、初めてアジア勢(香港)を下したフランスは、同じアジアのシンガポールとグループ2の首位をかけて激突した。シンガポールが2-1とリードして迎えた女子シングルスで、ベテランのピ・ホンヤン選手(世界25位)が登場。シンガポールの若手成長株、グ・ジュアン選手(世界28位)と対戦したが、フルゲームの末に力尽き、グループ2の2位にとどまった
【グループ2】 (1位)シンガポール (2位)フランス (3位)香港 (4位)カナダ (5位)ウクライナ (6位)アメリカ (7位)ポーランド (8位) オランダ
【グループ3】 (1位)スウェーデン (2位)オーストラリア (3位)ベトナム (4位)チェコ (5位)南アフリカ (6位)ペルー (7位)ブルガリア (8位)スロバキア