Situation of Asian Top players in Japan Open

日本で開催される唯一のバドミントンのメジャー大会、ジャパンオープンスーパーシリーズ(SS)が終了してはや1週間余りが過ぎた

来年7~8月のロンドン五輪の出場権獲得に向けたオリンピックレース(2011年5月~12年4月)の真っただ中、ランキングポイント獲得のための海外転戦の一環として日本に乗り込んできたアジア選手の‘事情’に触れる

Amazing Greysia (right) won 1st round with her Left hand

世界を巡る海外選手の動向を知る人の間で、今大会、密かに注目を集めたのは、インドネシアの女子ダブルス世界ランク8位、グレイシア・ポリー選手だ。ジャパンオープンの前週に行われたチャイナマスターズSSで、決勝まで進みながら途中棄権した同選手は今回、利き腕である右肩に爆弾(棄権の要因となった筋肉の損傷)を抱え、まともにプレーできる状態ではなかった。出場はおろか来日さえ回避する可能性も指摘されていたが、トレードマークである元気な笑顔で姿を見せると、まるで何ごともなかったかのようにコートに立った。ただ試合が始まるとすぐに普通ではない状況が目に飛び込んできた

自国のみならず海外でも高い人気を誇る同選手のプレーを見たことがない観衆、メディア、主審や線審まで含めた日本人のほとんどが気が付いていなかったが、右利きの彼女がなんと左手でプレーしていたのだ。しかも、格下相手とはいえ、上位大会であるSSの1回戦を突破してしまった。2回戦ではさすがに通用せず途中棄権したが、強行出場したSSでベスト16と結果を残した

ポリー選手が試合後、BadPaL に明かしたところでは、左手でのプレーは、日ごろ、トレーニングが終了した後に楽しんで行っているという。ただ「SSで勝てるとは、本当にラッキーだった」と答えた。さらに、同選手を良く知る対戦相手やコーチなどを除き、「試合会場にいる多くの人が(左手でプレーしているのに)気が付いていなかったのがおもしろかった」と笑った。なおジャパンオープンの翌週に自国で開催されたインドネシアオープングランプリ(GP)ゴールドは、エントリーしていたものの、早期の回復を優先し出場を辞退した

KO Sung Hyun/LEE Yong Dae : Korean players refresh with new partnerships

韓国チームは今回、男子ダブルスで現在、オリンピックレースの上位を走っている盤石のペア2組をあえて崩した。現時点で国・地域別の五輪出場最大枠2枠(世界トップ8に2組以上入っていることが条件)を確保していることもあってか、世界2位のチョン・ジェソン/イ・ヨンデ組、世界4位のコ・ソンヒョン/ユ・ヨンソン組を組み換え、チョン・ジェソン/ユ・ヨンソン組、イ・ヨンデ/コ・ソンヒョン組の布陣で臨んだ。結果はチョン/ユ組がユ選手の負傷による途中棄権。イ/コ組が予選から勝ち上がりベスト8だった

出場するすべての大会で、「ランキングポイントを稼がなければ」という強いプレッシャーを抱えたまま戦い続けるより、気持ちに余裕を持ち、長丁場のオリンピックレースで最良の結果を生むためのモチベーションにつなげる‘息抜き’の意味合いがあったという。同時に、五輪出場枠獲得圏内にまだ到達していない混合ダブルス(とりわけイ・ヨンデ/ハ・ジュンユン組)に注力する狙いも垣間見える。ちなみにジャパンオープンの前週に行われたチャイナマスターズでは、チョン/イ組が優勝、コ/ユ組がベスト4と、ともに好結果を残していた

World No.7 from Vietnam gets tired of traveling alone ?

ベトナム唯一の世界トップ選手として孤軍奮闘するグエン・ティエンミン選手(男子シングルス世界7位)にとって、オリンピックレースの今年、海外を転戦するための状況は逆に厳しくなっている。予算の関係からコーチの帯同が許されず、たった1人で遠征を行わなければならない機会が増えたのだ。ジャパンオープンもそうした大会の1つ。しかも、日本に向かうその日の夕方まで国内大会をこなし、決勝を戦い終えた(結果は優勝)その足で1人ホーチミンの空港に向かい、深夜便に乗り込み翌朝、成田に到着するという強行軍。試合中のスタミナには定評のあるグエン選手だが、さすがにすべてのことを自分1人でやらなければならない単独行の疲れは隠せず、こうした状況下で次から次に出場する試合でモチベーションを保ち続けるのは難しいとこぼしていた

直近の国際大会では、世界選手権(8月)ベスト4、ベトナムオープンGP(8月)優勝、台湾オープンGPゴールド(9月)ベスト4と安定した成績を収めてきた。しかしジャパンオープンでは、このような状況がどの程度影響したかは不明だが、格下ながら上り調子にあるインド選手に不覚を取り、1回戦負けという結果に終わった。グエン選手は、今月続けて開催されるデンマークオープンSSプレミア(10月18~23日)とフレンチオープンSS(10月25~30日)にも単独で乗り込むことになっている

来年4月まで続くオリンピックレース、BadPaL では日本選手の世界ランクの推移に加えて、さまざまな状況を抱えながら同じく五輪出場を目指している、アジア各国・地域の選手の動向にも注目していく

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