
フィリピンで、昨年末ごろから導入が取り沙汰されてきた新しいランキングシステム「PBaRS (Philippines Badminton Ranking System)」が正式に始動した
当初の計画からは2カ月遅れとなったが、このほど、フィリピンオリンピック委員会(POC)、フィリピンスポーツ委員会(PSC)、フィリピンバドミントン協会(PBA)の関係者が集まり、記念の式典が行われた(PBaRS 関連記事 https://badpal.wordpress.com/2010/12/06/challenge-for-next-generation/)
マニラ市のショッピングモール内広場で19日に開かれた式典には、新たにPBA会長に就任するジェジョマル・ビナイ副大統領、長年務めてきた会長職から退き名誉職となるアメリタ・ラモス元大統領夫人、POCのホセ・コファンコ会長、国内で過去3度開催されたフィリピンオープングランプリ(GP)ゴールドの冠スポンサー企業トップで昨年、政界入りを果たしたアルフレド・ベニテス下院議員らが出席した。当地では一部に対立もあり、バドミントン関係者のトップが一堂に会するのは極めてまれで、新たなチャレンジに向けた一歩前進を内外に印象付けた

ただ、ここまで到達するのは一筋縄ではなかった。そもそも、このシステム自体が、バドミントン協会の外部から提唱されたもの。当然、協会側は反発。PBaRS の準備が進むにつれ、協会所属のナショナルメンバーをPBaRSに組み込まれる大会に参加させないといった具合に、態度を硬化させていった。この難局を打開するのに影響力を発揮したのが、いずれも自らラケットを握るバドミントン愛好家であるビナイ副大統領、国内通信最大手幹部のマヌエル・V・パンギリナン氏、ベニデス下院議員の3人。文字通り政財界を代表する彼らが、新しいシステム導入のための地ならしとして、バドミントン界の将来を見据えた変革に向けラモス元大統領夫人の協会会長退任を促し、その後を引き継ぐ形でそれぞれ、会長、副会長、事務局長という協会の要職に就くことになった (関連記事 https://badpal.wordpress.com/2011/02/14/reshuffle-of-association/)
もう1つ協会側が難色を示していたのが、スポンサーの問題。当初、PBaRS の初回大会には、ナショナルチームのスポンサーであるビクターではなくヨネックス・サンライズが付くことが決まっており、協会がナショナルメンバーの参加を認めない要因の1つになっていた。この点は、PBaRS 運営者が協会の要求を受け入れる形で、直前になってビクターに変更することで決着。ただ、ヨネックス側にはしこりが残った
こうした紆余曲折を経て、一部問題を残したままだが、ようやく実施にこぎつけたPBaRS の第1戦マニラ大会は27日、マニラ首都圏マカティ市で開幕する。この大会に資金援助するマヌエル・V・パンギリナン(MVP)氏のスポーツ育成基金、MVPスポーツファウンデーションは先ごろ、潜在性が認められる国内8つの競技を集中的に支援するイニシアチブ「GOAL!PILIPINAS」を立ち上げた。この中には、バドミントンのほか、バスケットボール、ボクシング、テコンドー、自転車、サッカー、テニス、長距離走が含まれる。それぞれの競技に達成目標を設定しており、バドミントンは、サッカーとともに東南アジア3位以内を目指す。ほかの競技は◆バスケットボール:アジアチャンピオン◆ボクシング/テコンドー:五輪金メダル◆自転車:ツール・ド・フランス出場◆長距離走:アジアトップ◆テニス:東南アジアチャンピオン――を目標として掲げている