ジャパンオープンSS決勝、リオデジャネイロ五輪銀メダルのデンマークペアが金メダルの高橋礼華・松友美佐紀組を破って優勝した。カミラ・リタ・ユール選手は試合後、BadPaL の質問に、「ようやく金メダルが取れた」と感慨深げに答えた。世界バドミントン連盟(BWF)会長のポール・エリック・ホイヤー氏もデンマークの先輩の立場で、「いいリベンジだった」と後輩2人の勝利を称えた
リオ五輪決勝の再戦となったこの試合、高橋・松友組は第1ゲームを終盤17-19から逆転で奪うと、第2ゲームも12-7と先行する。しかしリードを守れず、ひっくり返されてこのゲームを落とすと、ファイナルゲームは序盤からクリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール組に次々と得点を重ねられ、なすすべくなく敗れ、凱旋試合を優勝で飾ることはできなかった。ただ高橋、松友両選手は試合後、それぞれ、「短い調整期間でよくここ(決勝)まで来れた」「練習しなければ世界では勝てない。それほど甘くないことを教えられた」と述べ、調整力、パフォーマンスの両面で相手の方が上回っていたと潔く認め、本格的にSSサーキットに戻る10月のデンマークオープン以降での挽回を誓った、
一方、デンマークペアは表彰式後に行われた優勝記者会見で BadPaL の質問に応じ、この1年余り、世界選手権(2015年8月)、SSファイナル(同年12月)、リオ五輪(16年8月)と、いずれも決勝まで進みながら勝てず準優勝が続いていたことについて、32歳リタ・ユール選手は、「それぞれに達成感はあったが、もう1つ壁を越えたかった。今回は上位大会SSで久しく取れていなかった金メダル。すごくいい」と感情の高ぶりを抑えきれない様子で答えた
また30歳ペダーセン選手は、アジアで女子ダブルスの人気が落ちていると指摘したのに対し、「男子シングルスの人気には叶わない」と認めた上で、「メディアや観客におもしろい種目と思ってもらえるように、自分たちと高橋・松友組だけでなく、中国、インドネシアのトップペアは、ゆっくりとした展開でなく、パワフルで男子ダブルスのようなプレーを心掛けている」と意識を持って臨んでいることを説明した。女子ダブルスの試合は総じて長時間に及ぶため、テレビやインターネットの視聴数を調査した結果を踏まえ、5種目の中で「最も見られていない種目」として、マレーシアとインドのプロリーグの種目から除外されている。ただ、リオ五輪決勝で高橋・松友組とペダーセン/リタ・ユール組が見せた激しいパフォーマンスは、そうした見方を変える一石を投じた
混戦の女子シングルスのタイトルを手にしたのは中国の19歳ホー・ビンジャオ選手。2014年南京ユース五輪金メダル〈https://badpal.net/2014/08/23/last-day-of-yog-silver-medalists-at-nanjing-to-prepare-for-tokyo2020/〉、15年アジアジュニア金メダル〈https://badpal.net/2015/07/05/no-japanese-make-asia-junior-final-unlike-last-three-years/〉とジュニア時代、大堀彩、山口茜、仁平菜月といった選手のライバルとして活躍。シニアの大会でもグランプリ(GP)ゴールドでは既に優勝実績があるが、上位大会スーパーシリーズ(SS)で頂点に立つのは初めて
ホー選手は表彰式後、BadPaL の質問に答え、ジュニアのころから変わったのは心の面。気持ちが強くなったと説明。ジュニア時代なら、この日のファイナルゲームのように0-7とリードされたらあきらめてしまっていたと話した。上位選手の抜けた中国女子シングルス界をけん引する意識はあるとし、先輩たちの築いてきた財産を守っていく覚悟を示した。現在世界ランクは15位だが、まずはトップ10入りを目指すと抱負を述べた
混合ダブルス優勝は中国ツェン・シウェイ/チェン・チンチェン組。2015年アジアジュニア〈https://badpal.net/2015/07/05/no-japanese-make-asia-junior-final-unlike-last-three-years/〉と世界ジュニア〈https://badpal.net/2015/11/16/15-year-old-malaysian-seizes-world-junior-ws-title-from-japan/〉のチャンピオンで、この日は22日発表の世界ランキングで1位に上がった韓国コ・ソンヒョン/キム・ハナ組にストレート勝ちした
ツェン、チェン両選手は試合後、「思っていたほど苦労しない試合だった」「打ち負けかすつもりで両ゲームともいった」と決勝を振り返った後、SSで勝てて興奮していると初優勝を喜んだ。中国ではツァン・ナン/ツァオ・ユンレイ組やシュー・チェン/マー・ジン組ら世界トップの先輩と練習してきて、学ぶことが多かったと明かした。これまではほかの選手と組んで試合に出ることも多かったがと問うと、「これでペアは固定だと思う」と答えた上で、「SSに出られるようランクを上げる(トップ8)こと。年末のSSファイナルに出場できれば」と今後の目標を語った
男子ダブルスは、2013年アジアジュニア〈https://badpal.net/2013/07/14/aya-becomes-the-first-japanese-girl-to-win-asian-junior-championships/〉、世界ジュニア〈https://badpal.net/2013/11/03/last-day-of-world-junior-individual-new-champ-akane-outclasses-her-compatriot/〉をともに制したリュウ・ユーチェン/リ・ジュンフイ組が、韓国の組み替えペアを難なく振り切り、SS初優勝を飾った
BadPaL が、世界ジュニアのチャンピオンとしてSSの初タイトル獲得までに要した期間について尋ねると、同じ年に世界ジュニアで優勝した山口茜選手らの現在の立ち位置などに照らして、そろって「3年は長かった」と率直な思いを語った
男子シングルスは、マレーシアのリー・チョンウェイ選手が、デンマークのヤン・ヨルゲンセン選手をファイナルゲーム21-16で振り切り、2007、10、12、13、14年に次ぐ6度目の優勝を果たした。今シーズンで見ると、マレーシアオープン、インドネシアオープンに続くSS3勝目(プレミア含む)。2017年8月の世界選手権優勝を目標に掲げるチョンウェイ選手、来年のジャパンオープンへの出場は世界選手権の結果次第ということになりそう
決勝の結果
【男子シングルス】 リー・チョンウェイ(マレーシア、世界1位)〈21-18,15-21,21-16〉ヤン・ヨルゲンセン(デンマーク、世界5位)
【女子シングルス】 スン・ユ(中国、世界11位)〈14-21,21-7,18-21〉ホー・ビンジャオ(中国、世界15位)
【男子ダブルス】 リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフイ(中国、世界14位)〈21-12,21-12〉コ・ソンヒョン/キム・ギジョン(韓国、組み換えで世界ランクなし)
【女子ダブルス】 高橋礼華・松友美佐紀(世界1位)〈21-19,18-21,12-21〉クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール(デンマーク、世界6位)
【混合ダブルス】 コ・ソンヒョン/キム・ハナ(韓国、世界1位)〈10-21,15-21〉ツェン・シウェイ/チェン・チンチェン(中国、世界35位)