
世界ジュニア選手権個人戦、現地時間の14日と15日にそれぞれ各種目の準決勝、決勝が行われ、日本が3年間保持してきた女子シングルスのタイトルを、マレーシアの15歳が奪い去った。準々決勝に勝って史上最多のメダル6個を確保していた日本勢は、シングルス3人、ダブルス3組のいずれも決勝に進めず、銅メダルで大会を終えた
女子シングルス準決勝には日本から、荒木萌恵選手と仁平菜月選手の2人が進み、それぞれマレーシア選手と対戦した。しかし荒木選手が15歳ゴー・ジンウェイ選手にストレート負け、仁平選手が18歳リー・インイン選手にファイナルゲーム14-21で敗れ、この時点で、2012年奥原希望、13年山口茜、14年山口と、3年連続で日本が保持してきた女子シングルスのタイトルがマレーシアに渡った
同国対決となった決勝を制したのは年下のゴー選手。かねて山口選手のように活躍したいと語っている15歳は、13歳で初めて出場した2013年の世界ジュニアで第9/16シードの韓国選手相手に3回戦ファイ ナルゲーム途中で棄権。14歳で臨んだ翌14年には4回戦で第3/4シードの大堀彩選手にストレートで敗れていた。しかし今年は、世界ジュニアの前哨戦、7月のアジアジュ ニア選手権で準優勝しており、メダル獲得を予感させた。ゴー選手には今後、最高であと3回、世界ジュニア出場の機会があるため、タイのラッチャノク・インタノン選手が持つ3連覇の記録を塗り替える可能性を秘めている

実力拮抗の男子シングルスで頂点に立ったのは、準決勝で、今大会目覚ましい活躍を見せた渡邉航貴選手を破った台湾の18歳ルー・チアフン選手。世界ジュニアには千葉大会から出場しているが、これまでは目立った結果を残していない。ただ今年のアジアジュニアで、渡辺勇大選手と共に銅メダルを獲得していた。台湾から世界ジュニアチャンピオンが出るのは、2004年女子シングルスのチェン・シャオチエ選手に次いで史上2人目
ダブルス3種目は、いずれも第1シードの中国ペアが順当に世界タイトルを手にした。中でも今回、最後の世界ジュニアで中国チームのキャプテンも務めた18歳のチェン・チンチェン選手は、女子ダブルス(2連覇)と混合ダブルス(3連覇)の2冠を達成。個人戦では、◆2012年:混合ダブルス銅◆13年:女子ダブルス銀・混合ダブルス 金◆14年:女子ダブルス金・混合ダブルス金――と合わせて、金メダル5つ、銀メダル1つ、銅メダル1つという結果を携え、ジュニアを「卒業」する
一方、準決勝で敗れはしたものの銅メダルを手にした日本勢の中で、渡辺勇大、三橋健也、森岡秀斗、荒木萌恵、志田千陽の5人にとっても、これが最後の世界ジュニアとなる。このうち男子ダブルスのエース渡辺・三橋組は、7月のアジアジュニア選手権で前年の銅メダルを上回る結果を期待されながら初戦敗退という屈辱を味わった後、心身をリセットして今大会に臨み、目標に掲げていた頂点には届かなかったが、最後にしっかりメダルをつかんで見せた

三橋選手は BadPaL に対し、優勝した第1シードの中国ペアと対戦した準決勝を振り返り、「ベスト4までいくのがやっとで、相手よりパフォーマンスが落ちていた」と説明し、敗北を真摯に受け入れた。その上で、「今後はまず、インターナショナルチャレンジやグランプリ(GP)で勝てるようにレベルアップしていきたい」と、ジュニアからシニアへの本格的な移行に向けた抱負を示した

これに対し、渡邉航貴、仁平菜月、松山奈未の3人は、もう1年、世界ジュニアのタイトルに挑戦する機会を有する
今大会、準々決勝で優勝候補筆頭の第1シード、中国ホー・ビンジャオ選手を破る番狂わせを演じ周囲を驚かせた女子シングルスの仁平選手は BadPaL の問いかけに応じ、まず、「準決勝まで進めたのはいいことかもしれないが、自分の中では悔しい思いをした」と率直な心境を吐露。「ビンジャオ戦は、今までなら諦めていたところを諦めず、最後まで戦い抜けた」ことを自らの成長点として評価しながら、同時に「(4回戦、準々決勝と)ファイナルゲームまでもつれる試合が続いて体がもたなかったり、アタック力が足りたかったり、体の強化などの課題も見つかった」と指摘した。そして今後に向けては、これら課題の克服に取り組み、来年度は高校3年になるので、国内の大会(団体、個人とも)はもちろんのこと、「来年のアジアジュニア、世界ジュニアで優勝できるようにがんばる」と意気込んだ
準決勝(現地時間14日)の結果
【男子シングルス】
アドゥラ・ナムクン(タイ、第14シード)〈15-21,14-21〉シリル・ヴェルマ(インド)
ルー・チアフン(台湾、第6シード)〈21-18,21-12〉渡邉航貴(日本)
【女子シングルス】
仁平菜月(日本、第11シード)〈15-21,21-16,14-21〉リー・インイン(マレーシア)
ゴー・ジンウェイ(マレーシア、第4シード)〈21-10,21-10〉荒木萌恵(日本)
【男子ダブルス】
ツェン・シウェイ/ホー・ジティン(中国、第1シード)〈21-13,21-16〉渡辺勇大・三橋健也(日本、第3シード)
フレデリク・スゴー・モルテンセン/ヨエル・エイプ(デンマーク、第2シード)〈18-21,21-17,22-20〉ツォウ・ハオドン/ハン・チェンカイ(中国、第15シード)
【女子ダブルス】
チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、第1シード)〈21-9,21-13〉リー・チアシン/チェン・ワンティン(台湾、第16シード)
志田千陽・松山奈未(日本、第12シード)〈17-21,21-14,12-21〉リ・インフェイ/ドゥ・ユエ(中国、第10シード)
【混合ダブルス】
ツェン・シウェイ/チェン・チンチェン(中国、第1シード)〈21-8,21-12〉森岡秀斗・志田千陽(日本)
ファクリザ・アビマニュ/アプリアニ・ラハユ(インドネシア、第5シード)〈13-21,10-21〉ホー・ジティン/ドゥ・ユエ(中国、第8シード)
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決勝(現地時間15日)の結果
【男子シングルス】 ルー・チアフン(台湾、第6シード)〈17-21,21-10,21-7〉シリル・ヴェルマ(インド)
【女子シングルス】 ゴー・ジンウェイ(マレーシア、第4シード)〈21-15,21-16〉リー・インイン(マレーシア)
【男子ダブルス】 ツェン・シウェイ/ホー・ジティン(中国、第1シード)〈21-14,21-16〉フレデリク・スゴー・モルテンセン/ヨエル・エイプ(デンマーク、第2シード)
【女子ダブルス】 チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、第1シード)〈21-18,13-21,21-11〉リ・インフェイ/ドゥ・ユエ(中国、第10シード)
【混合ダブルス】 ツェン・シウェイ/チェン・チンチェン(中国、第1シード)〈21-19,21-8〉ホー・ジティン/ドゥ・ユエ(中国、第8シード)
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各種目のメダリスト
【男子シングルス】
金メダル: ルー・チアフン(台湾、第6シード)
銀メダル: シリル・ヴェルマ(インド)
銅メダル: アドゥラ・ナムクン(タイ、第14シード)、渡邉航貴(日本)
【女子シングルス】
金メダル: ゴー・ジンウェイ(マレーシア、第4シード)
銀メダル: リー・インイン(マレーシア)
銅メダル: 仁平菜月(日本、第11シード)、荒木萌恵(日本)
【男子ダブルス】
金メダル: ツェン・シウェイ/ホー・ジティン(中国、第1シード)
銀メダル: フレデリク・スゴー・モルテンセン/ヨエル・エイプ(デンマーク、第2シード)
銅メダル: 渡辺勇大・三橋健也(日本、第3シード)、ツォウ・ハオドン/ハン・チェンカイ(中国、第15シード)
【女子ダブルス】
金メダル:チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、第1シード)
銀メダル: リ・インフェイ/ドゥ・ユエ(中国、第10シード)
銅メダル: 志田千陽・松山奈未(日本、第12シード)、リー・チアシン/チェン・ワンティン(台湾、第16シード)
【混合ダブルス】
金メダル: ツェン・シウェイ/チェン・チンチェン(中国、第1シード)
銀メダル: ホー・ジティン/ドゥ・ユエ(中国、第8シード)
銅メダル: ファクリザ・アビマニュ/アプリアニ・ラハユ(インドネシア、第5シード)、森岡秀斗・志田千陽(日本)