
南京ユースオリンピック・バドミントン競技最終日、山口茜選手が女子シングルス決勝に臨み、先にマッチポイントを握って勝利まであと1点に迫りながら、地元のホー・ビンジャオ選手のねばり強いプレーの前に逆転負け。2月のアジアジュニア選手権、4月の世界ジュニア選手権に続く今年3つ目の国際ジュニア大会金メダルの獲得は果たせなかった
世界ジュニア決勝と同じ顔合わせになったこの試合は、世界ジュニアランク1位と2位の頂上対決にふさわしい熱戦となった

第1ゲーム、山口選手がジュニア世代では抜きんでている多彩なショットを駆使し一歩リードするも、ホー選手も抜群のレシーブ力で離されずについていく。山口選手は先に20-19とゲームポイントを握るが、22-22まで食らいつかれる。それでも24-22で振り切りオープンニングゲームを取る。第2ゲームも終盤までもつれる展開から、20-19とマッチポイントをつかむ。ところがここで決め切れずに追いつかれ、その後、サーブミスもあって、21-23でこのゲームを落としてしまう。迎えたファイナルゲーム序盤、山口選手が4-1とスタートダッシュするが追いつかれ、逆に9-11とリードされて前半を折り返す。後半追いあげ何度も1点差まで迫るが、ミスも出て追いつくことはかなわず、17-21で最初で最後の出場となるユースオリンピックのタイトルを逃した

混合ダブルスで決勝の舞台に立った常山幹太選手は、この日行われた女子シングルス3位決定戦に敗れた台湾のリー・チアシン選手とともに金メダルを狙った。しかし、コンビネーションで上回るマレーシアと香港のペアに力及ばず準優勝に終わった
小柄な香港女子選手の前衛にやられた。第1ゲームは前半を6-11とリードされて終えた後、後半早々10-11まで追い上げたが、直後に7連続失点で突き放されると、そのまま14-21で落とす。第2ゲームに入るとリードされながらも自分たちのリズムをつかみ17-17で追い付き、終盤接戦に持ち込む。しかし時すでに遅し。相手のマッチポイントを2度しのぐのが精いっぱいで、21-23で力尽きた

一方、もうひとつの種目、男子シングルスの決勝は、世界ジュニア決勝と同じく、シー・ユーチ選手とリン・グェイプ選手による中国同士の対戦となった。2月のアジアジュニア決勝で常山選手を破って優勝したシー選手が、世界ジュニアチャンピオンのリン選手を21-15,21-19のストレートで下して雪辱を果たした
南京から東京へ
決勝から一夜明けて、ユースオリンピックに出場するすべての競技の選手が滞在する選手村で BadPaL の取材に応じた常山、山口両選手。まず決勝の感想に聞くと、常山選手は「相手の女子に捕まり、最後はどうしていいか分からなかった」となすすべがなかったことを明かした。ただ、「銀メダルという結果については良かった」と述べた。一方、山口選手は「自分の方が我慢し切れなかった」と敗因を説明した上で、「銀メダルに満足はしていない」と悔しさを隠さなかった

続いて、2人が今回シングルスで最後に対戦した選手が4月の世界ジュニア選手権でも最後の対戦者だったことを踏まえ、4カ月で自分と相手の差がどう変化しているように感じたか聞いたところ、山口選手が「変わらない」と返したのに対し、常山選手は「相手が自分より多く国際大会に出場しているため、差は広がった」と答えた
2020年東京オリンピックを目指すと明言する両選手、これ以降東京まで、ナショナルチームの体制の違いから練習に専念する環境が日本より整っている中国やインドネシアなど、海外のライバルとの力の差をどう詰めていくつもりか。常山選手は「(具体策は)今の段階では分からないが、自分に厳しく練習に取り組んでいく」。山口選手は「元々、練習時間は短いと思うが、これからも短期集中で量より質を高めていく」と述べた。山口選手はさらに、「ナショナルチームで試合に出場させてもらい、国際大会での経験を積んでいけば、そんなに(海外のライバルとの)差は広がらないと思う」と言い切った

今回、バドミントンの単独大会ではなく、国際的な総合競技大会に出場し、バドミントン関係者以外の人からも応援、期待をかけられたことで、いつもとは違うプレッシャーを感じたか尋ねると、2人とも、「自分たちはいつも通りバドミントンをやるだけ。特にプレッシャーを感じることはなく、ほかの大会と変わらない」と飄々と語った。ただ、「(選手村などで顔を合わせる)他競技の日本選手がメダルを取ったという話を聞けば、こっちもがんばろうと思った」(山口)とつけ加えた。なお山口選手は、開会式で日本選手団の旗手を務めたことについて、「選手団みんな一緒にスタジアムを行進すると思っていたが、旗手である自分1人だけだったので少し拍子抜けした」と苦笑いしてみせた
最後に、今大会で見つかった取り組むべき課題と次の目標を聞いたところ、常山選手は「力(パワー)がなさすぎる。(決め球となり得る)一発があれば、もっと相手にプレッシャーをかけられる」と説明。直近の目標は「国際大会で試合をするため、ナショナルチームに居続けること。全日本総合選手権ベスト8以上を狙う」と語った
山口選手は、「今回に限ったことじゃないが、競った時、自信を持ってコースを狙って打てずに甘くなってしまう。(そういう場面でも)自信を持って精度の高い球が打てるように、練習あるのみ」と答えた。次の目標は、5月のユーバー杯に続いて団体戦のメンバーに選ばれた9月のアジア大会。「出る試合すべてに勝つつもりでいく」と強調した
◆女子シングルス決勝
山口茜(A組1位)〈24-22,21-23,17-21〉ホー・ビンジャオ(H組1位、中国)
◆男子シングルス決勝
シー・ユーチ(A組1位、中国)〈21-15,21-19〉リン・グェイプ(H組1位、中国)
◆混合ダブルス決勝
チーム・ジュンウェイ/グ・ツーヤウ(C組1位、マレーシア/香港)〈21-14,23-21〉常山幹太/リー・チアシン(E組1位、日本/台湾)
◆女子シングルス3位決定戦
リー・チアシン(C組1位、台湾)〈7-21,12-21〉ブサナン・ウンバンルンパン(F組1位、タイ)
◆男子シングルス3位決定戦
アディトヤ・ジョシ(D組1位、インド)〈17-21,16-21〉アンソニー・ギンティン(F組1位、インドネシア)
◆混合ダブルス3位決定戦
メク・ナロングリット/チン・ジンジン(B組1位、タイ/中国)〈16-21,18-21〉サチン・プレマシャン・ディアス・アンゴダビダナラゲ/ホー・ビンジャオ(H組1位、スリランカ/中国)