Honey, Craft Beer and Old Castle with badminton

バドミントンの国際大会をアジアからの観光客誘致につなげよう――。こうした動きが、アジア圏外の開催地の間で年々広がっている。主なところでは、2014年からスーパーシリーズ(SS)に昇格したオーストラリアンオープンのシドニー。14~17年SSファイナルの会場であるアラブ首長国連邦(UAE)・ドバイ。17年にスディルマン杯、世界選手権をそれぞれ開催するオーストラリア・ゴールドコーストとスコットランド・グラスゴーなど。これらに先んじて、この2年間で中国人観光客倍増という実績を既に築いているのが、SSがスタートした07年以降デンマークオープンを開催する小都市オーデンセだ

SportEventDenmark
Collaboration between  SportEventDenmark,BadmintonDenmark and host city

デンマークでは、政府が支援するスポーツイベント運営機関「Sport Event Denmark」と各競技団体が連携して、首都コペンハーゲンをはじめとする各都市でスポーツ観光を促進する動きが盛ん。ハンドボール、サイクリング、ゴルフ、競泳など競技はさまざまあるが、バドミントンのデンマークオープンは上位大会SSの1つに組み込まれた07年から、デンマークを代表する童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセン氏の生誕地、オーデンセが継続的に手掛ける。とりわけSSプレミアとなった11年以降は、観光誘致にとどまらずアジアとのビジネスチャンスの契機と位置付け、官民一体の体制で地元の企業や各種団体に参画を呼びかけている

デンマークオープンの開催される毎年10月、アジア各国から1人ずつ招待したジャーナリストに、大会日程の合間を縫って連日ツアーを提供。目に触れる機会の少ないオーデンセの企業とその商品・サービス、観光地を、メディアを通じアジアに伝えてもらう試みを続けている

2012年〈https://badpal.net/2012/11/08/denmark-promotes-badminton-together-with-tourism-and-business-sectors/

2013年〈https://badpal.net/2013/12/26/from-court-side-in-odensedenmark/

2014年〈https://badpal.net/2015/02/24/finding-biz-opportunities-with-asia-through-badminton/

2015年は、アジア5カ国(中国、マレーシア、インドネシア、インド、日本)から5人のジャーナリストを招き、以下の企業、団体、観光地を巡った

ODENSE HONNING~ハチミツ】

Honey
Lars Kromann FISCHER : Danish Beekeeper

養蜂家ラース・クロマン・フィッシャー氏らが営む共同養蜂場。同氏は2015年9月、韓国・大田(テジョン)で行われた国際養蜂協会連合(アピモンディア)が2年に一度主催する第44回国際養蜂会議の品評会で、顆粒状ハチミツ(個人部門)で金賞、抽出ハチミツ(商業部門)で銀賞をそれぞれ受賞した。同氏は BadPaL に対し、これをきっかけに、ナチュラルで高品質なデンマーク産ハチミツとしてアジアでの商機拡大を目指す意向を示した

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International award winner city-bee honey

養蜂場の敷地内には、都会の喧騒を離れ、自由な感覚で自然に囲まれた共同生活を行う家(外国人観光客の短期滞在も可)、「Solens Hjerte」〈http://www.solenshjerte.dk/〉があり、ここに集うバックグラウンドの異なるさまざまな人の協力も得ながら、作業が行われている

FREJDAHL BEER~クラフトビール】

Beer2
Jim LYNGVILD (L) : the designer of FREJDAHL

世界的大手カールスバーグが牛耳るデンマークのビール市場で国内4番手につける創業1885年、130年の歴史を誇る老舗醸造所Bryggeriet VESTFYENhttp://www.bryggeriet-vestfyen.dk/〉。ここで、大量生産ではないオリジナリティを持った地ビールとして、別に生産ラインを新設して立ち上げたブランドがFREJDAHL。バイキングをコンセプトに据えたクラフトビールで、さまざまな賞を得ている醸造家クリストフ・ベンク氏と、マーケティング担当として新たに採用されたデザイナーでファッションコメンテーターとしてテレビなどでも活躍するセレブリティ、ジム・リングビルド氏が共同で商品開発に携わった

Beer
Poul MARK : 130-year old brewery’s MD

Bryggeriet VESTFYEN のマネージングディレクターを務めるポール・マーク氏は BadPaL の取材に応じ、「日本やほかの国と同様、デンマークでも価格競争になっている大量生産のビールだけでは利ざやが薄く、厳しい。反面、市場ではニーズの多様化によりクラフトビールの人気が高まり、マイクロブルワリーが増えている」と指摘し、より付加価値の高いクラフトビールの市場参入に踏み切った経緯を説明した。また今回、近隣の欧州諸国以外への出荷を視野に、アジアへのアピールを考え参加したと説明。巨大市場である中国への関心は高いものの、港や担当者によって対応の変わる通関の難しさなど問題点も既に把握済み。「容易ではないが、より成熟した市場でクラフトビールの価値を認める日本に参入したい」と語った〈http://www.frejdahl.dk/

EGESKOV SLOT~イーエスコウ城】

Castle3「2012年欧州で最も美しい歴史的庭園」に選出された約20ヘクタールの敷地内にある1554年建造のルネサンス様式の古城。手入れのいきとどいた木々や植物に囲まれた自然豊かな遊歩道を進んでいくと、湖上に立つイーエスコウ城の入り口に到達する

Castle
EGESKOV, the castle on the lake

城内には、かつてここで行われていた暮らしを思い起こさせる展示物が並ぶ。とりわけ、当時の城主が娘のために贅を尽くしてつくらせたという、城内の様子を精巧なミニチュアを使って再現した「ドールハウス」がひときわ訪問者の目を引き付ける。そのほか、イーエスコウ城の周辺にはビンテージカーや飛行機、昔の農機具などを展示した博物館も併設されており、半日から丸1日かけた散策に適している

ただその広大な敷地ゆえに、維持管理が大変。政府から、歴史的遺産としてその価値を認められているものの、財政支援はないため、持続的な収入源の確保が課題となっている。かつて複数の人の手で行っていた芝生の手入れを、現在はロボット芝刈機に置き換えるなど、コスト削減にも取り組んでいる〈http://www.egeskov.dk/

BadPaL を含むアジアからのジャーナリスト5人は今回、上記以外にも、前回までに紹介されたオーデンセを中心都市に据えるフュン島を代表する食品産業、◆IShttp://isfraskaroe.dk〉のアイスクリーム◆KONNERUP&Co http://www.konnerup-co.dk〉のチョコレート◆MIDTFYNS BRYGHUShttp://www.midtfyns-bryghus.dk〉の地ビール――の試食(試飲)。ハンス・クリスチャン・アンデルセン氏の生家やゆかりの地を資格を持つ地元ガイドと共に巡る徒歩ツアー、などに参加した

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