初めてスーパーシリーズ（ＳＳ）ファイナルの会場となったアラブ首長国連邦・ドバイに象徴されるように、国際大会の開催をバドミントンが盛んな中国や東南アジアをはじめとする国・地域からの観光客誘致に結びつけようとする動きが増えている。一方、こうした活動では先駆者的な立場にあるデンマーク・オーデンセは、観光客誘致以外に、地元企業とアジアの市場を結びつけるビジネスマッチングの好機と位置付ける
デンマークオープンＳＳプレミアの運営機関は昨年10月、アジア４カ国（中国、マレーシア、インドネシア、日本）からメディアを招き、大会スケジュールの合間をぬってアジア市場進出を狙う地元企業数社を訪問するプロモーションツアーを実施した。最近はとりわけ中国重視の傾向が顕著で、今回はコペンハーゲンから駐デンマーク中国大使をオーデンセに招く力の入れようを見せた
【H.J.HANSEN RECYCLING～廃棄物処理・リサイクル事業】
食料雑貨店として1892年に創業した地場の老舗家族企業が多角化のために始めた事業の１つ。廃車、廃家電、電気・電子機器廃棄物（ＷＥＥＥ）、解体物などを収集し、最新技術を用いた寸断、溶解、造粒などの処理過程を経て、金属（鉄、非鉄）や鉱物などの再生可能な原料を市場性のある商品にして供給する。供給先は欧州のほか、とりわけアジアに注力。既に中国・上海には販売事務所を構えている〈http://www.hjhansen.dk/〉
【BS AGRO PLAN～アグリビジネス】
環境に優しい農産品開発を進めるアグリビジネスで、有機栽培などを手掛ける。取扱品は人参、ジャガイモ、卵、チーズなど多岐にわたるが、とりわけ欧州で広く食される健康野菜「ルバーブ（rhubarb）」 の生産では北欧最大規模を誇り、生鮮品のほかジャムやジュースなどの加工品も国内と近隣諸国に出荷している。最近は、世界有数の「健康的で安全な食」として新興国市場の開拓に力を入れ、中でも食の取引に関し両国政府間で良好な関係にある中国を重視。今回、首都コペンハーゲン駐在の中国大使を第３の都市オーデンセに招き、デンマーク政府の食品担当者が出迎えた。なお中国大使はこの後続けて、メディアとともに下記２カ所の視察 も行った
【MIDTFYNS BRYGHUS～マイクロブルワリー】
デ ンマーク人と結婚し、オーデンセに移り住んだアメリカ人が2006年から手掛けるマイクロブルワリー。カールスバーグやツボルグといった広く名の知られた大量生産のビールとは一線を画し、「ワインのように楽しむ個性的な味」にこだわる。同社が市場投入した地ビールのうち、Imperial Stout、Chili Tripel、Rough Snuff はそれぞれ07年、09年、10年に the best new Danish beer に選ばれ、嗜好の多様化に伴い増加傾向にある国内のマイクロブルワリーの中でも存在感を示している。欧州以外に成長市場であるアジアへの進出に意欲を見 せ、既に中国・上海への試験出荷を決め、市場の反応を見て本格出荷を目指す。日本についても、「成熟市場で競争が厳しい」との認識を示しながら、進出機会をうかがっている〈http://www.midtfyns-bryghus.dk/〉
【LORC NASELLE Testing facility～風力発電試験設備】
洋上風力発電設備のタワー上部に設置する、風力を電気に換える発電機やブレード（羽根）の角度や速度を変える運転・制御装置が入った箱状の「ナセル」と、ナセルとブレードを連結する「ハブ」の性能試験を行う。オーデンセ港にあるリンドー（LINDO）工業団地内に位置するＬＯＲＣ（リンドー洋上再生可能エネルギーセンター）が2014年９月に稼働した最大出力10MWの最新設備。ここで試験を行うデンマークの世界的風力発電機メーカー、ヴェスタス （Vestas Wind Systems）は同年４月、三菱重工業と合弁で、洋上風力発電設備事業会社ＭＨＩヴェスタス・オフショア・ウインドを設立している
平坦な地形で安定的に風の吹くデンマークは早くから、再生可能エネルギーの１つとして国を挙げて風力発電の導入を推進し、現在、総発電量の３割強を占める。原子力発電を禁じ、さらに化石燃料依存脱却を目標に掲げる政府は、この比率 を50％まで引き上げる計画を示している〈http://www.lorc.dk/〉
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