世界ジュニア選手権は12~18日、個人戦を実施した。日本のU19(19歳未満)代表は、ベスト8勝ち残りが男子シングルス1人、女子ダブルス1ペアと厳しい戦いを強いられたが、昨年に続き、奈良岡功大がメダルを持ち帰った
男女混合団体戦の決勝から1日置いてスタートした個人戦、日本は、男子シングルスに4人、女子シングルスに4人、男子ダブルスに3ペア、女子ダブルスに3ペア、混合ダブルスに4ペアを送り込んだ。このうちベスト8に残れたのは、奈良岡と齋藤夏・福本真恵七。そして、準々決勝を突破できたのは、奈良岡ただ1人となった
昨年、銅メダルを手にしている奈良岡にとって、ここからが1年間の成長を試される本当の勝負。この世代の実力上位4人が揃った準決勝で、ユース五輪金メダルのリ・シーフォン(中国)を団体戦に続いて連破し、昨年届かなかった決勝のコートに足を踏み入れる
大会最終日、決勝で待ち構えていたのは第1シード、ディフェンディングチャンピオンのクンラウット・ウィティサン(タイ)。4年前、13歳の時に初めて国際大会の決勝で対戦<https://badpal.net/2014/11/18/there-is-always-better-one-13-year-old-kodai-faces-to-the-world/>して以来、ライバル関係にある2人は、勝ち負けを繰り返しながら、それぞれ成長してきた
昨年は、16歳で臨んだ世界ジュニア・ジョグジャカルタ大会でウィティサンが初タイトルを獲得するなど一歩リード。17歳になった今年、奈良岡にとっては、敗れた団体戦(チームは勝利)に続く2度目の対戦機会となったが、勝ち上がりの過程で蓄積した疲労の具合も含め、現時点の実力差が出てストレート負け。銅メダルに終わったユース五輪に続いて、ジュニアの世界の頂点に立つことは叶わなかった
ただ、昨年の銅メダルからは一歩前進、銀メダルを手にしたことで、ジュニア(U19)選手として臨む最後の年となる来年のターゲットは、金メダルに絞られた
それでも、今回準決勝に残った4人のうち、リ・シーフォンを除く3人は、いずれも2001年生まれの17歳で、来年もそろって世界ジュニアに出場してくる可能性が高い
このうちクンラウット・ウィティサンは、同じクラブに所属する先輩ラッチャノク・インタノンしか成し遂げた者がいない「大会3連覇」、その男子初の偉業達成に意気込む。またラクシャ・センは、インドバドミントン協会(BAI)が、既に決まっていたチェコ・プラハが開催に難色を示し始めたことで、代替ホストとして名乗りを上げていると伝えられ、決まればホームアドバンテージを得てより高いモチベーションでタイトル獲りに挑んでくる
この2人のほか、下の年代からも上がってくる対戦相手をすべて抑え栄冠を手にするためには、現状維持では不十分なことは明白。奈良岡はこの先1年、強い意志を持ち続け一段のレベルアップを遂げる必要がある。同世代のライバルが既に獲得しているU19またはシニアの国際タイトルも手にしておきたいところ
準決勝に進んだ奈良岡以外の3人がこれまでに獲得したU19またはシニアの国際タイトルは次の通り。◆クンラウット・ウィティサン:(2017年)世界ジュニア(18年)世界ジュニア◆ラクシャ・セン:(16年)インドインターナショナルシリーズ(17年)ブルガリアインターナショナルシリーズ、インドインターナショナルシリーズ(18年)アジアジュニア◆リ・シーフォン:(18年)ユース五輪――
女子シングルスのベスト4には、第1、3、4シードに交じって、デンマークのリネ・クリストファーセンが食い込んだ。続く第4シードの中国ウェイ・ヤシンとの準決勝にも勝って、この種目、ヨーロッパ勢史上初の決勝進出を果たしたが、最後は、既にシニアの大会を主戦場にしているマレーシアの若きエース、ゴー・ジンウェイに敗れ、優勝は逃した
2000年生まれの18歳ゴー・ジンウェイは、2015年に次ぐ2度目のタイトル奪取で、ジュニア(U19)として臨む最後の年を、ユース五輪と世界ジュニアの2冠を制して締めくくった
一方、日本勢は2人がベスト16まで残ったが、第6シードの水井ひらりが韓国の16歳イ・ソユルに、日本の16歳郡司莉子が第1シードの中国ワン・ジューイにそれぞれ敗れ、ベスト8には届かなかった
日本女子はこの種目で、【2007年】栗原文音(ベスト8)【08年】佐藤冴香(銀メダル)、高橋礼華(ベスト8)【09年】三谷美菜津(ベスト8)【10年】松友美佐紀(銀メダル)、福万尚子(銅メダル)【11年】奥原希望(銅メダル)、福島由紀(ベスト8)【12年】奥原(金メダル)、山口茜(銀メダル)、大堀彩(銅メダル)【13年】山口(金メダル)、大堀(銀メダル)【14年】山口(金メダル)、大堀(銅メダル)、仁平菜月(ベスト8)【15年】仁平、荒木萌恵(ともに銅メダル)【16年】 大家夏稀(銅メダル)――と、長くベスト8以上を確保してきた。しかし、昨年、今年と2年続けて1人も残れなかった
男子ダブルスは昨年、決勝で久保田友之祐・金子真大に敗れ優勝を逃した中国ディー・ツジエン/ワン・チャンが第1シードから順当に勝ち上がった。決勝では、団体戦決勝で不覚を取った韓国ペアをストレートで降して、今年、アジアジュニアとの2冠を達成した
日本は昨年、久保田・金子がこの種目で史上初優勝を遂げた<https://badpal.net/2017/10/22/first-ever-world-junior-md-champion-produced-from-japan/>。しかし今年は、川本拓真・河村翼と加藤太基・武井優太のベスト16が最高成績だった
女子ダブルスも第1シードの中国ペア、シア・ユーティン/リュウ・シュエンシュエンが、マレーシアに2つ目のタイトルを狙ったパーリー・クーン・レタン/トー・イイウェイを退け、優勝
2016年、松山奈未・保原彩夏が日本勢として初めて制した<https://badpal.net/2016/11/14/namisayaka-breaks-the-wall-in-the-final-denying-chinas-clean-sweep/>この種目。ところが、昨年は1ペアもベスト16に届かず。今年は唯一、齋藤夏・福本真恵七がベスト16に入り、ベスト8まで進んだが、松山・保原に次ぐ2つ目のメダルを手にするには至らなかった
2年連続でインドネシアペア同士の対決となった混合ダブルス決勝は。ノーシードのレオ・ロリー・カルナンド/インダ・カーヤ・サリ・ジャミルが、昨年準優勝のレハン・ナウファル・クシャルジャント/シティ・ファディア・シルバ・ラマダンティを破った
日本勢では、3月のドイツジュニアインターナショナルで優勝<https://badpal.net/2018/03/13/u19-hiroki-natsu-bounces-back-in-germany-from-loss-in-netherlands/>、今大会男女混合団体戦でも中国ペアを倒すなど活躍した緑川大輝・齋藤夏に上位進出の期待がかかった。しかし結果は、ベスト16にとどまった
準決勝(17日)の結果
【男子シングルス】
クンラウット・ウィティサン(タイ、第1シード)<20-22,21-16,21-13>ラクシャ・セン(インド、第4シード)
リ・シーフォン(中国、第3シード)<11-21,21-19,17-21>奈良岡功大
【女子シングルス】
ワン・ジューイ(中国、第1シード)<9-21,13-21>ゴー・ジンウェイ(マレーシア、第3シード)
ウェイ・ヤシン(中国、第4シード)<18-21,21-23>リネ・クリストファーセン(デンマーク、第13シード)
【男子ダブルス】
ディー・ツジエン/ワン・チャン(中国、第1シード)<21-15,21-10>ワチラウィット・ソトン/タナウィン・マディー(タイ、第11シード)
シャン・イーチェン/リアン・ウェイケン(中国、第3シード)<12-21,15-21>ワン・チャン/シン・テヤン(韓国、第10シード)
【女子ダブルス】
シア・ユーティン/リュウ・シュエンシュエン(中国、第1シード)<21-18,21-13>アガサ・イマヌエラ/シティ・ファディア・シルバ・ラマダンティ(インドネシア、第4シード)
ファブリアナ・ドゥイプジ・クスマ/リブカ・スギアルト(インドネシア、第2シード)<19-21,19-21>パーリー・クーン・レタン/トー・イイウェイ(マレーシア、第3シード)
【混合ダブルス】
レハン・ナウファル・クシャルジャント/シティ・ファディア・シルバ・ラマダンティ(インドネシア、第2シード)<21-18,21-18>ワン・チャン/チョン・ナウン(韓国、第9シード)
シャン・イーチェン/ツァン・スーシャン(中国、第8シード)<13-21,23-21,19-21>レオ・ロリー・カルナンド/インダ・カーヤ・サリ・ジャミル(インドネシア)
決勝(18日)の結果
【男子シングルス】クンラウット・ウィティサン(タイ、第1シード)<21-9,21-11>奈良岡功大
【女子シングルス】ゴー・ジンウェイ(マレーシア、第3シード)<21-13,21-11>リネ・クリストファーセン(デンマーク、第13シード)
【男子ダブルス】ディー・ツジエン/ワン・チャン(中国、第1シード)<21-19,22-20>ワン・チャン/シン・テヤン(韓国、第10シード)
【女子ダブルス】シア・ユーティン/リュウ・シュエンシュエン(中国、第1シード)<21-16,21-16>パーリー・クーン・レタン/トー・イイウェイ(マレーシア、第3シード)
【混合ダブルス】レハン・ナウファル・クシャルジャント/シティ・ファディア・シルバ・ラマダンティ(インドネシア、第2シード)<15-21,9-21>レオ・ロリー・カルナンド/インダ・カーヤ・サリ・ジャミル(インドネシア)
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各種目のメダリスト
【男子シングルス】
金メダル: クンラウット・ウィティサン(タイ、第1シード※2連覇)
銀メダル: 奈良岡功大(日本※昨年銅メダル)
銅メダル: リ・シーフォン(中国、第3シード※ユース五輪金)、ラクシャ・セン(インド、第4シード※アジアジュニア金)
【女子シングルス】
金メダル: ゴー・ジンウェイ(マレーシア、第4シード※昨年銅メダル、ユース五輪金)
銀メダル: リネ・クリストファーセン(デンマーク、第11シード)
銅メダル: ワン・ジューイ(中国、第1シード※アジアジュニア金)、ウェイ・ヤシン(中国、第4シード)
【男子ダブルス】
金メダル: ディー・ツジエン/ワン・チャン(中国、第1シード※昨年銀、アジアジュニア金)
銀メダル: ワン・チャン/シン・テヤン(韓国、第10シード)
銅メダル: シャン・イーチェン/リアン・ウェイケン(中国、第3シード)、ワチラウィット・ソトン/タナウィン・マディー(タイ、第11シード)
【女子ダブルス】
金メダル: シア・ユーティン/リュウ・シュエンシュエン(中国、第1シード※アジアジュニア銅)
銀メダル: パーリー・クーン・レタン/トー・イイウェイ(マレーシア、第3シード※アジアジュニア銀)
銅メダル: ファブリアナ・ドゥイプジ・クスマ/リブカ・スギアルト(インドネシア、第2シード)、アガサ・イマヌエラ/シティ・ファディア・シルバ・ラマダンティ(インドネシア、第4シード)
【混合ダブルス】
金メダル: レオ・ロリー・カルナンド/インダ・カーヤ・サリ・ジャミル(インドネシア)
銀メダル: レハン・ナウファル・クスハルジャント/シティ・ファディア・シルバ・ラマダンティ(インドネシア、第2シード※2年連続銀)
銅メダル: シャン・イーチェン/ツァン・スーシャン(中国、第8シード)、ワン・チャン/チョン・ナウン(韓国、第9シード)
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