
世界ジュニア個人戦決勝、女子ダブルス第2シードの松山奈未・保原彩夏組は、第1シードの中国ペアとの頂上決戦に勝利し、世界ジュニアでは日本初のダブルスチャンピオンとなった。ほかの4種目の表彰台最上段を、いずれもアジアジュニア選手権を制した中国選手が独占する中、唯一、壁を打ち破り、中国の全種目制覇も阻んだ
決勝を戦う中国ドゥ・ユエ/シュー・ヤ組は、7月のアジアジュニアに続き、世界ジュニアでもここまで個人戦では1ゲームも落としていない、この世代の正真正銘の世界トップ。松山・保原組は第1ゲーム、出だしで先行されるが、ほどなく追いつき逆転。後半17-13とリードを広げる。しかし力のある中国ペアに巻き返され17-17で並ばれると、ここから1点を争う緊迫した接戦に突入する。ただ今大会の松山・保原組はこういう展開にも決して崩れない。引いてしまうことなく果敢に向かっていき、互いに2つずつゲームポイントを凌ぎ合った後、25-23でこのゲームをものにする
第2ゲームは、負けられない中国ペアが終盤に粘りを発揮。日本ペアは19-18からの3連続失点で逆転負け。流れが変わるかと懸念された。しかし勝敗を決するファイナルゲーム、いきなり4-0と抜け出す。一度は並ばれるが、その後は攻守ともに中国ペアを上回り次々得点を重ねていき、反撃の機会を与えぬまま21-14で振り切り、日本初となる世界ジュニアダブルスチャンピオンの栄冠をつかんだ

松山、保原両選手に BadPaL が試合後、別々に優勝の感想を問うと、「アジアジュニアで結果を残すことができずとても悔しかった」(保原)。「アジアジュニアで負けてしまった分、世界ジュニアで勝ちたい気持ちがとても強かった」(松山)と答え、メダル候補でありながら、ベスト8にも入れず終わった7月のアジアジュニア選手権での「惨敗」が原動力になっていたことを明かした。その上で、ともに「まだ実感はない」としながらも、「(ダブルスでの)日本初の優勝ができてとてもうれしい」(保原)、「世界一になれて本当にうれしい」(松山)とそれぞれ喜びを表現した
高校3年生の2人にとって、これがジュニアで臨む最後の国際大会。高校卒業後に迎える来シーズン(来年度)は、別々の実業団チームに入り、本格的にシニアの大会へ戦いの場を移していく予定だ。今後に向けた抱負を聞くと、「もっと強くなって、世界で活躍できる選手になりたい」(保原)、「この優勝を自信にして、シニアでも優勝したい」(松山)と答えた
世界ジュニア女子ダブルスでの日本勢の過去のメダル獲得実績は、2015年志田千陽・松山奈未組の銅メダル。また、男子ダブルスでは、12年金子祐樹・井上拓斗組と14年玉手勝輝・中田政秀組の銀メダル、15年渡辺勇大・三橋健也組の銅メダル。混合ダブルスは、14年渡辺勇大・東野有紗組と15年森岡秀斗・志田千陽組の銅メダルがあるが、ダブルス3種目で日本選手が金メダルを獲得するのは、松山・保原組が史上初
一方、全種目を通じて日本U19代表が個人戦で獲得した金メダルは、◆12年:男子シングルス桃田賢斗、女子シングルス奥原希望◆13年:女子シングルス山口茜◆14年:女子シングルス山口――に次いで、松山・保原組で5つ目となる
女子ダブルス以外の4種目は、大会前の予想通り、いずれもアジアジュニアを制した中国選手が、そのまま世界ジュニアのタイトルも手中に収め、その強さをあらためて世界に誇示した

このうち、2007年ワン・リン以来9年ぶりに中国がタイトル奪還に成功した女子シングルスの表彰台には、大家夏稀選手が上がった。決勝には届かなかったものの、ノーシードから強豪を連破し銅メダルをつかみとった活躍は、大家選手自身だけではなく、日本にとっても今大会の大きな収穫で、あとに続く後輩たちに好影響を及ぼすのは間違いない
なお、女子シングルスのトロフィーは最後に中国の手を離れてから8年間で、08年インド(サイナ・ネワル)、09-11年タイ(ラッチャノク・インタノン)、12-14年日本(奥原、山口)、15年マレーシア(ゴー・ジンウェイ)と、4カ国を巡っていた
決勝の結果
【男子シングルス】 スン・フェイシアン(中国、第5シード)〈21-19,21-12〉チコ・アウラ・ドゥイ・ワルドヨ(インドネシア、第14シード)
【女子シングルス】 ポーンパウィー・チョチュウォン(タイ、第3シード)〈14-21,17-21〉チェン・ユーフェイ(中国、第2シード)
【男子ダブルス】 ツォウ・ハオドン/ハン・チェンカイ(中国、第1シード)〈21-17,21-14〉イ・ホンソブ/イム・スミン(韓国)
【女子ダブルス】 ドゥ・ユエ/シュー・ヤ(中国、第1シード)〈23-25,21-19,14-21〉松山奈未・保原彩夏(第2シード)
【混合ダブルス】 ホー・ジティン/ドゥ・ユエ(中国、第1シード)〈21-13,21-15〉ツォウ・ハオドン/ホゥ・ユーシアン(中国、第7シード)
各種目のメダリスト
【男子シングルス】

金メダル: スン・フェイシアン(中国、第5シード※アジアジュニア覇者)
銀メダル: チコ・アウラ・ドゥイ・ワルドヨ(インドネシア、第14シード)
銅メダル: カンタポン・ワンチャロエン(タイ、第1シード)、リー・ヅージア(マレーシア、第2シード)
【女子シングルス】
金メダル: チェン・ユーフェイ(中国、第2シード※アジアジュニア覇者)
銀メダル: ポーンパウィー・チョチュウォン(タイ、第3シード)
銅メダル: キム・ガウン(韓国、第5シード)、大家夏稀
【男子ダブルス】
金メダル: ツォウ・ハオドン/ハン・チェンカイ(中国、第1シード※アジアジュニア覇者)
銀メダル: イ・ホンソブ/イム・スミン(韓国)
銅メダル: パキン・クナ・アヌヴィット/ナタパット・トリンカジー(タイ、第3シード)、レン・シャンユー/ファン・チウユエ(中国、第13シード)
【女子ダブルス】
金メダル: 松山奈未・保原彩夏(第2シード)
銀メダル: ドゥ・ユエ/シュー・ヤ(中国、第1シード※アジアジュニア覇者)
銅メダル: キム・ガウン/キム・ヒャンイム(韓国、第5シード)、ジャウザ・ファディラ・スギアルト/ユルフィラ・バルカー(インドネシア、第8シード)
【混合ダブルス】
金メダル: ホー・ジティン/ドゥ・ユエ(中国、第1シード※アジアジュニア覇者)
銀メダル: ツォウ・ハオドン/ホゥ・ユーシアン(中国、第7シード)
銅メダル: チェンタンジエ/トウ・イーウェイ(マレーシア、第16シード)、パク・キョンフン/キム・ヘジョン(韓国)