トマス・ユーバー杯3日目、日本は男女ともに勝って一次リーグ2連勝。この時点で、それぞれB組、Z組の2位以内を確保し、あすの最終戦を待たずに決勝トーナメント(準々決勝)進出を決めた

日本男子は、第1シングルスの田児賢一選手が、個人戦でこれまで何度も互角の試合を繰り広げてきている香港フ・ユン選手と対戦。1ゲームずつ取り合いファイナルゲームまでもつれるが、初戦に続いて2対1で競り勝ち、先ずチームに1勝をもたらす。第1ダブルスの早川賢一・遠藤大由組はストレート勝ちでつないで、3種目目の第2シングルスへ
ここで、「プレッシャーはない。先輩たちに好きにやらせてもらっていて、暴れるだけ」と話す桃田賢斗選手が、同世代のライバルと位置付けられるデンマークのビクター・アクセルセン選手を大会初日に破ったウェイ・ナン選手にストレート勝ち。2戦続けて、日本の勝利を確定させるポイントゲッターとしての役目をしっかり果たした
日本は残りの2種目でも、今大会初出場の園田啓悟・嘉村健士組と佐々木翔選手が勝ち、結局5対0と完勝した
今回、男子のキャプテンを務める早川賢一選手は BadPaL に対し、「プレッシャーはある。前回大会までは自分がだらけ切っていたが、今回はみんなの模範となるべく、自他共に引き締めをはかっている」と述べた
一方、女子は前日の三谷美菜津選手に代わって第1シングルスに起用された高橋沙也加選手が第1ゲーム、世界ランク下位のマレーシアのティー・ジンイ選手を終盤19-14とリードしながら追い上げられる。先に20-17とゲームポイントを握るが、そこからよもやの5連続失点でこのゲームを落とす。第2ゲームも固さの見える高橋選手は、相手にリードを許す展開。後半16-14といったん逆転に成功するが、直後に16-17と追い抜かれると、追い上げかなわず19-21で敗れた

ただ総合力で勝る日本は、続く第1ダブルスと第2シングルスを高橋礼華・松友美佐紀組と廣瀬栄理子選手で取り、2対1として第2ダブルスの松尾静香・内藤真実組につなぐ。松尾・内藤組は2年前のユーバー杯にも出場しているが、昨年、ペアをいったん解消し、再結成してからはスーパーシリーズ(SS)以上の上位大会への出場なし。チームの勝敗を決する大事な場面で緊張することも懸念された。しかし、第1ゲームこそ多少もたつく部分はあったが、第2ゲームに入ると地力の強さを発揮。取り組んできている攻撃的なプレースタイルも機能して、ストレート勝ちで日本の勝利を確定させた
最終種目の第3シングルスには前日に続き、チーム最年少の山口茜選手が登場。勝ちが決まった後とはいえ、落ち着いたプレーで初出場のユーバー杯で2勝目をあげた
主な出場選手の試合後のコメントは以下の通り
田児選手:「個人戦と違って、気持ちの部分が影響して、やりたいことができないのが団体戦、と自分では思って試合に臨んでいる。全部熱くなっても無理で、冷めた部分も必要。第1シングルスが勝つか負けるかで、チームに及ぼす影響が全然違う。まずは一次リーグを突破すること」
早川・遠藤組:「集中しよう、足を動かそうと、自然とできていなければならないことを意識してしまった。勝手にあたふたした場面もあって、自分たちに起因する問題でできは良くなかった。ただ団体戦では、泥臭くてもいいから勝つことが大事。それでもパフォーマンスが悪いと次の試合への入り方にも影響するので、結果だけでなく内容も求めていきたい」

桃田選手:「(きょうの試合について)前半は良かったが、後半、興奮しすぎた自分を抑えきれない部分があった。いくところはいく、冷静になるところは冷静に、とメリハリをつけていかないと。トマス杯初出場だが緊張はしていない。先輩たちに好きにやらせてもらっている。この後の試合も、たとえ1対1で回ってくる場面があったとしても、次につなげるといった感じではなく、思い切って暴れさせてもらう」

園田・嘉村組:「トマス杯のメンバーに初めて選ばれ、最初の試合だったが、冷静にできたと思う。できについてはまだまだ修正すべき点が多いが、団体戦なので、どんな形であっても21点を先に取ることだけを考えたい。この後の試合で出番が回ってきたら、自分たちらしいプレーをし、勝って日本のチームに貢献したい」

佐々木選手:「オリンピックとオリンピックのちょうど中間に位置するこの大会は、ロンドン五輪の後、蓄えてきた力をはかるいい機会で、高いモチベーションで臨んでいる。(前回大会での第1シングルスから今回、第3シングルスへと立場が変わったことについては)これまでやったことのないポジションで、チームの結果に直結するという点で今回大変さを実感している。この後も上田拓馬選手と一緒に、第3シングルスの役目を果たしていきたい」
松尾・内藤組:「ペア再結成後に出場してきたSSより下位のGPゴールドとは違う雰囲気を感じ、意識的に自分にプレッシャーをかけて臨んだ。2対1で回ってきて、自分たちでチームの勝利を決めることができて良かった。後ろに控える若い山口選手にはプレッシャーをかけられない。攻撃型へのプレースタイル変更は、まだ細かい部分で修正すべき箇所はあるが、大まかにはできている。この試合でも試すことができて良かった」
トマス杯一次リーグ【B組】3日目の結果
【B組】
◆日本(2勝)5ー0香港(2敗)
【第1シングルス】 田児賢一(世界4位)〈21-14,17-21,21-16〉フ・ユン(世界11位)
【第1ダブルス】 早川賢一・遠藤大由(世界3位)〈21-18,21-19〉リー・チュンヘイ/タン・チュンマン
【第2シングルス】 桃田賢斗(世界14位)〈21-9,21-14〉ウェイ・ナン(世界28位)
【第2ダブルス】 園田啓悟・嘉村健士(世界13位)〈21-12,21-17〉ロー・チュクヒム/チャン・ユンルン
【第3シングルス】 佐々木翔(世界17位)〈8-21,21-14,21-16〉グ・カロン(世界83位)
◆デンマーク(2勝)5ー0イングランド(2敗)
【第1シングルス】 ヤン・ヨルゲンセン(世界3位)〈21-19,21-17〉ラジフ・ウーセフ(世界23位)
【第1ダブルス】 マッズ・コンラド・ペターセン/マッズ・ピーラー・コルディング(世界17位)〈21-13,21-16〉クリス・ラングリッジ/ピーター・ミルズ(世界21位)
【第2シングルス】 ハンス・クリスチャン・ビティングス(世界12位)〈21-19,21-18〉トビー・ペンティ(世界141位)
【第2ダブルス】 カールステン・モゲンセン/ヨアキム・フィッシャー・ニールセン〈21-16,21-19〉クリス・アドコック/マーカス・エリス
【第3シングルス】 ビクター・アクセルセン(世界15位)〈21-10,21-19〉リース・ウォーカー(世界180位)
ユーバー杯一次リーグ【Z組】3日目の結果
【Z組】
◆日本(2勝)4ー1マレーシア(2敗)
【第1シングルス】 高橋沙也加(世界13位)〈20-22,19-21〉ティー・ジンイ(世界50位)
【第1ダブルス】 高橋礼華・松友美佐紀(世界4位)〈21-13,21-10〉アメリア・アリシア・アンシェリー/スーン・フィエチョ(世界30位)
【第2シングルス】 廣瀬栄理子(世界16位)〈23-21,21-12〉リム・インフン(世界152位)
【第2ダブルス】 松尾静香・内藤真実(世界93位)〈21-17,21-8〉フー・ビビアン・カームン/リー・メンイーン
【第3シングルス】 山口茜(世界84位)〈21-19,21-14〉リム・チュウシエン(世177位)
◆デンマーク(2勝)5ー0ドイツ(2敗)
【第1シングルス】 リネ・ケアースフェルト(世界45位)〈23-21,21-18〉カリン・シュナーゼ(世界36位)
【第1ダブルス】 クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール(世界3位)〈4-2棄権〉ヨハナ・ゴリツェウスキ/イザベル・ハートリッヒ
【第2シングルス】 アナ・セア・マドセン(世界52位)〈21-14,12-21,21-17〉ファビエンヌ・デプレ(世界166位)
【第2ダブルス】 リネ・ダムケーア・クルス/マリー・ロープケ(世界17位)〈21-19,21-11〉バージット・ミシェルズ/カーラ・ネルテ
【第3シングルス】 サンドラ・マリア・ジェンセン(世界68位)〈18-21,21-11,21-16〉アニカ・ドル(世界245位)
3日目を終えた時点で、W組を除く各組の決勝トーナメント(準々決勝)進出チームが出揃った
◆トマス杯(男子)一次リーグ途中結果(3日目終了時)
【A組】 インドネシア(2勝)、タイ(2勝)、シンガポール(2敗)、ナイジェリア(2敗)
【B組】 日本(2勝)、デンマーク(2勝)、香港(2敗)、イングランド(2敗)
【C組】 マレーシア(2勝)、韓国(2勝)、ドイツ(2敗)、インド(2敗)
【D組】:【1位】中国(3勝)【2位】フランス(2勝1敗)【3位】台湾(1勝2敗)【4位】ロシア(3敗)
◆ユーバー杯(女子)一次リーグ途中結果(3日目終了時)
【W組】 中国(2勝)、台湾(1勝1敗)、イングランド(1勝1敗)、ロシア(2敗)
【X組】 韓国(2勝)、インドネシア(2勝)、シンガポール(2敗)、オーストラリア(2敗)
【Y組】:【1位】インド(2勝)【2位】タイ(2勝)【3位】香港(1勝2敗)【4位】カナダ(3敗)
【Z組】 日本(2勝)、デンマーク(2勝)、マレーシア(2敗)、ドイツ(2敗)