ロンドン五輪バドミントン最終日、4年前の北京五輪と同じ顔合わせとなった注目の男子シングルス決勝は、中国リン・ダン選手がマレーシアのリー・チョンウェイ選手をフルゲームの末に下し、2大会連続の金メダルを獲得した。同時に、ジュニア時代から続くライバル対決に1つの終止符を打った

昨年8月、同じ会場で行われた世界選手権決勝〈https://badpal.net/2011/08/15/its-all-china-again/〉の再現を見ているかのような試合だった。なすすべなく一方的(12-21,8-21)に敗れた北京五輪決勝から4年、金メダルしか眼中にないリー・チョンウェイ選手がショットの精度とスピードで上回り、第1ゲームを先取する。続く第2ゲームは、リン・ダン選手がシフトアップして大差で取り返す。迎えたファイナルゲーム、序盤の競り合いを経て、リー・チョンウェイ選手が中盤以降、相手ミスにも乗じて15-13、さらには18-16と2点差をつけ、悲願の金メダルに向け絶好のチャンスをつかむ。しかしここで抜け出せず、リン・ダン選手に追撃の機会を与えてしまうと、追い付かれ、逆に19-20とマッチポイントを握られる。最後は、リー・チョンウェイ選手のロブがエンドラインを越えてゲームオーバー。リン・ダン選手が試合会場内をかけめぐり勝利の喜びを爆発させている傍らで、リー・チョンウェイ選手は、茫然とコートに座り込んでいた
これまで数々の名勝負を繰り広げてきた2人が今後、国際舞台で対峙する可能性は依然残っている。ただ、オリンピックという大舞台での2度目の対戦を終えた今、1つの決着を見たといえる
今回、中国チームのヘッドコーチ、リ・ヨンボ氏をコーチ席に座らせて勝利したリン・ダン選手は、◆女子シングルスのツァン・ニン選手(2004,08年)◆女子ダブルスのグ・ジュン/ゲ・フェイ組(1996,2000年)◆混合ダブルスのツァン・ジュン/ガオ・リン組(2004,08年)――という、いずれも中国選手5人に続く、2大会連続のオリンピック金メダリストになった
3位決定戦は、北京でメダルなしの4位に終わった後、2年のブランクを経てメダル獲得を目指し国際舞台に復帰。再びここまでたどりついた韓国のベテラン、イ・ヒョンイル選手が次代を担う中国のチェン・ロン選手と対戦した。第1ゲームを失うも、第2ゲームを取り返す意地を見せるが、フルゲームの末に敗れ、32歳ベテランの2度目の挑戦は、メダルを目前にしてまたしても結実しなかった
【男子シングルス】
金メダル: リン・ダン(中国)
銀メダル: リー・チョンウェイ(マレーシア)
銅メダル: チェン・ロン(中国)

男子ダブルス決勝は、世界選手権優勝4回、アジア大会優勝2回をはじめ、これまで数々の国際タイトルを手にしながら、オリンピックは未だ頂点を極めていない中国カイ・ユン/フー・ハイファン組が、アジア以外のペアでは初めてこの種目の決勝に進んだデンマークのマシアス・ボー/カールステン・モゲンセン組の挑戦を受けた
前回、北京では決勝でマルキス・キド/ヘンドラ・セティアワン組(インドネシア)に敗れ銀メダルに終わり、雪辱に燃える中国ペアが優位に試合を進め、終始安定したプレーで攻守ともにデンマークペアを圧倒。21-16,21-15のストレート勝ちで、3回目の五輪挑戦で初めて金メダルを手にすると同時に、中国チームが今大会の目標としていた史上初の5種目完全制覇を達成した
3位決定戦は、優勝を期待されながら準決勝でデンマークペアに不覚をとった韓国チョン・ジェソン/イ・ヨンデ組と、かつては世界トップ4の地位に付けながら、ここ1~2年は勝ちから遠ざかっていたマレーシアのクー・ケンケット/タン・ブンヒョン組が対戦。前日の敗戦のショックを引きずっていた韓国ペアは第1ゲーム、メダルを持ち返って失地回復したいマレーシアペアの勢いに押され13-19と大きくリードされる。しかし、ペアとして最後になる可能性が高いこの試合に負けたくないチョン/イ組が奮起。23-21と逆転でこのゲームを取ると、第2ゲームは実力通りの強さを見せ21-10と圧勝し、銅メダルを確保した
【男子ダブルス】
金メダル: カイ・ユン/フー・ハイファン(中国)
銀メダル: マシアス・ボー/カールステン・モゲンセン(デンマーク)
銅メダル: チョン・ジェソン/イ・ヨンデ(韓国)
9日目(最終日)の試合結果
【男子シングルス】
〈決勝〉 リー・チョンウェイ(マレーシア)〈21-15,10-21,19-21〉リン・ダン(中国)
〈3位決定戦〉 チェン・ロン(中国)〈21-12,15-21,21-15〉イ・ヒョンイル(韓国)
【男子ダブルス】
〈決勝〉 カイ・ユン/フー・ハイファン(中国)〈21-16,21-15〉マシアス・ボー/カールステン・モゲンセン(デンマーク)
〈3位決定戦〉 チョン・ジェソン/イ・ヨンデ(韓国)〈23-21,21-10〉クー・ケンケット/タン・ブンヒョン(マレーシア)