Editorial Note in January

1月に行われた、スーパーシリーズ(SS)ファイナル台北マレーシアオープンSS韓国オープンSSプレミア。これら3つ大会の取材中に見つけた幾つかの出来事について紹介する

Beyond the barrier of Brands

【1】ファンサービス : SSファイナルという大きな大会を今回初めて招致した台湾。関係者が昨年、日本を訪れジャパンオープンの運営方法を視察するなど事前の準備を進めた結果、 大会運営を支障なくこなした。また、これまではほぼ地元台湾選手限定だった試合後の記者会見も、通訳を立てて外国選手にも対応し、海外メディアの評判も上々。さらに、大会スポンサーのビクター以外のブランドを使用していても、上位に進出した選手にはサイン会に出てもらい、地元ファンとの交流の機会を設けていたのは、ある意味、新鮮だった

【2】コーチ : マレーシアオープンSSでは、世界ランク1位、地元の英雄リー・チョンウェイ選手の師であるナショナルコーチ、ミスブン・シデク氏 に注目が集まった。同氏は昨年末、バドミントン協会への不満から辞表を提出したが、リー選手の2回戦で突然、試合会場に現れ観衆の喝采を浴び、圧倒的な存在感を示した。一方、そのリー選手と準々決勝で対戦したベトナムのグエン・ティエンミン選手、コートに立った彼の斜め後方に見慣れたインドネシア人コーチの姿がない。試合後に直接尋ねてみると「予算不足で1月の大会はコーチ抜きの単独行」とのこと。1月末時点で世界6位のグエン選手は、より切実な問題を抱えている。また、リー選手のかつてのコーチで、韓国ナショナルチームとの契約期間満了に伴いインドネシアナショナルチームに移った中国人コーチ、リー・マオ氏は、1月のいずれの大会にも姿を見せず、インドネシアの新たなチームメンバーの選考準備に当たっているとされる

 

Malaysia vs Indonesia

【3】観衆 : バドミントンを国技と位置付ける国らしく、マレーシアの試合会場の応援はいつも熱狂的だ。しかし、この熱は時に自国選手に対する痛烈な批判として働く手厳しい一面も兼ね備える。昨年のトマス杯で日本に敗れたマレーシア選手が一部の観客と一触即発の状況になったことは記憶に新しいところだ。一方、同じくバドミントンを国技に据えるインドネシアの応援は熱狂的な点に変わりはないが、最後まで自国選手に優しいのが特徴。マレーシアオープンSSでは、大会を盛り上げる役割を担っていた両国の応援団長が互いに歩み寄り、エールを交わす場面も見られ、観衆から大きな拍手が上がっていた

【4】マッサージチェア : 今年から賞金規模が大きくなったSSの新たなメーンスポンサーについたのがOSIMインターナショナル。1980年設立の健康器具メーカーで、シンガポール証券取引所(SGX)に株式を公開する上場企業。各種目の優勝者にはそれぞれ、同社が製造販売するマッサージチェアが副賞として贈られた

Why now? Why not allowed before ?

【5】ブランドアピール : 日本バドミントン協会はマレーシアオープンSS開幕直前の1月17日付で、選手が使用するラケットのストリングス部分へのブランドマークの掲載を認めた。他国・地域では早くから採用されていたことで、海外の報道関係者やファンから「なぜ日本はだめなの?」と聞かれ返答に窮することも少なくなかった。なぜこれまではだめでこのタイミングでゴーサインが出たのか、真の理由は9月のジャパンオープンの際にでも、関係者に直接尋ねてみることにする

【6】新たなスタート : 今シーズンの開幕戦であるマレーシアオープンSSから、昨年までとは異なるパートナーと組んで試合に挑むダブルスが散見された。この中には、混合ダブルスのノバ・ウィディアント/ビタ・マリッサ組(インドネシア)、男子ダブルスのリー・ワンワー/チャン・チョンミン組(マレーシア)といった、いずれも五輪出場経験を持つベテラン選手同士によるペアが含まれる。ほかには、女子ダブルスで中国が実績あるペアの一部を組み換えてきた。これとは別の「新たなスタート」としては、マレーシアの男子シングルス、ムハンマド・ハフィズ・ハシム選手がかねて望んでいたナショナルチームを離れることを、マレーシアバドミントン協会が正式に承認。2月からプロとして活動していくことが決まった

Clear Sky but Freezing Korea

【7】ダウンジャット :毎年のこととはいえ、氷点下という極寒の状況下で開催された韓国オープンSSプレミア。前週のマレーシアからの移動組の中には気温差約40度という急激な環境の変化により体調を崩し、思うようなプレーができなかった選手も少なくない。そんな韓国で、ホテルから試合会場への移動の際などに選手が使用していたのが、ビクター、ヨネックス、李寧といった各国・地域のナショナルチームのスポンサーを務めるブランド各社が準備したダウンジャケット。黒を基調としたものが多い中、ひときわ目を引いたのは、中国のナショナルコーチ、リー・ヨンボ氏が着ていた真っ赤なダウンだった

【8】プレミア : 今年からスタートした、テニスの4大トーナメントに相当するSSプレミア(全5大会)の最初の大会が韓国で開催された。とりわけ韓国オープンSSプレミアは賞金総額が120万ドルと最大で、優勝者はシングルスで9万ドル、ダブルスで9万4,800ドルと、テニスに比べると微々たるものながら、バドミントン選手としてはこれまで考えられなかった大金を手にした。史上最高の賞金総額ということもありトップ選手がこぞって参戦したため、初戦から好カードが続く中身の濃い大会となった。ただ上乗せされたのは賞金のみで運営費に回っていないためか、大会の運営や雰囲気がこれまでと大差ないと感じたのは少々残念

New Style gonna be New Trend, maybe

【9】バスケットシューズ : 韓国オープンSSプレミアでライバル、リー・チョンウェイ選手(マレーシア)を下して優勝したリン・ダン選手(中国)が着用していた新しいシューズがこれ。一見するとバスケットシューズにも見える代物で、果たして誰が履いてもパフォーマンス向上につながるかどうかは疑問。ただ、あのリン・ダン選手がこれで優勝したとなると、李寧のマーケティング次第では、新たなトレンドとなるかも

【10】両立 : 昨年スパークし、今年も活躍が期待されるタイ女子シングルスの若手のホープ、ラチャノック・インタノン選手。1月に出場したマレーシアオープンSSと韓国オープンSSプレミアでは、いずれも初戦で世界2位のワン・イーハン選手(中国)と当たる不運(※)もあり、結果は残せなかった。しかし2戦目の韓国では18-21,17-21と点差を詰め、次の対戦に期待を抱かせる試合をした。2月5日で16歳になる彼女は今年、昨年以上に学業に軸足を置く必要があり、バドミントンとの両立がより厳しい状況に置かれるという。それでもSSを中心に国際大会への参戦を続ける覚悟で、「年内にベスト10入りを目指す」と頼もしい言葉まで口にしている

※インタノン選手だけでなく、同じチームのサラキット・ポンサナ選手まで、マレーシア、韓国の両大会ともに初戦の相手が世界1位のワン・シーシャン選手(中国)となったことに、タイチームのコーチは強い不満を漏らしていた

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