Last Day in Bangkok : China shaken but not collapsed by Japan in final

男女別の国・地域別対抗戦トマス・ユーバー杯最終日、トマス杯決勝が行われ、日本男子は、策も講じて第1シード中国の牙城を揺るがした。しかし打ち崩すには至らず、2大会ぶりの優勝は果たせなかった

日本チームはこの日、動いた。5種目すべてに世界ランク1ケタを揃えるチームランキング1位の中国に対し、真っ向勝負では分が悪いと判断。第2ダブルスに園田啓悟渡辺勇大を組ませたスクラッチペアを配し、トマス杯5度(2004、06、08、10、12年)の優勝を誇る百戦錬磨のスター、リン・ダンが控える最終種目の前に、3ポイントを取りにいく作戦に出る

1種目目は、桃田賢斗が期待を裏切らぬ活躍で、リオデジャネイロ五輪金メダルのチェン・ロンを、前月のアジア選手権決勝に続いてストレート勝ちで仕留めてみせる

桃田選手は試合後、「自分の方がネットインの数が多かっただけで、紙一重」と謙遜して見せたが、そのプレーには、自信に裏打ちさせた抜群の安定感があった

この試合、ホームでもアウェーでもないタイの会場で、五輪金メダリストを上回る応援を得たことについては、「危なっかしい、良く言えば発想豊かなプレーをする自分の方を気に入ってくれたのかも」と、まんざらでない様子で笑顔を見せた

アジア選手権でリー・チョンウェイ(五輪3大会銀メダル)とチェン・ロン(リオ五輪金メダル)、トマス杯ではビクター・アクセルセン(現世界チャンピオン)とチェン・ロンを破ったことで、この先、世界のトップ争いに食い込んでいける自信を得たか、の問いには、「自分のプレーができれば互角のラリーはできる」と簡潔に答えた

2種目目、金子祐樹・井上拓斗組の相手は、世界チャンピオンのツァン・ナン/リュウ・チェン組だが、前回対戦した昨年11月の香港オープン(当時の格付けはスーパーシリーズ)では、ファイナルゲーム21-19で白星を挙げており、勝機はあった。しかし、前回の敗北を踏まえ、対策を講じてきた相手への対応が遅れ、ストレート負けを喫した

リオ五輪金メダリストでもあるベテラン、ツァン・ナン選手は試合後、「前日まで日本の1番手、園田啓悟・嘉村健士組との対戦を想定していたが、当日朝になって2番手の金子・井上組が相手と知り驚いた」と明かした。それでも、それぞれのペアへの分析と対策があったことから、対応できたという

先に第1シングルスのチェン・ロンが敗れた点については、起こりえることとし、影響はなかったと指摘。「準決勝のインドネシア戦では、逆にチェン・ロンが勝って第1ダブルスの自分たちが敗れた。団体戦で大事なのは、互いに補完し合ってチームで勝つこと」と強調した

3種目目、第2シングルスの西本拳太はここまで、共に競い合う桃田にひっぱられる格好で、5試合中4試合に出場し4連勝と、チームの勝ち上がりを後押ししてきた。しかしこの日は、3月の全英オープンを制したシー・ユーチの前にストレートで敗れ、今大会初黒星を喫した

西本選手は試合後、「ここ(決勝)で勝てないのは、自分がまだまだということ」と述べ、敗戦を正面から受け止めた。ただ、今大会全体を通じてみると、「チームに貢献できた」手応えを感じ、「自信になる」と述べた

日本が後のない状況に追い込まれて、出番が回ってきたのは、28歳園田と20歳渡辺。企業(実業団)の縛りの強い日本バドミントン界において、所属を越えたペアリングは極めてまれ。背景には、ヘッドコーチのパク・ジュボン氏が試合後に明かした通り、勝敗とは関係なく、準決勝までダブルス陣がいいパフォーマンスを出せてこなかったことがあり、勝つためには何か仕掛けなければ、と決断がなされた

合宿の練習の中でさまざまなペアを試してきた過程を経て、スピードのある2人に白羽の矢を立てたわけでが、相手は世界ランク4位、アジア選手権を制したばかりのリュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ組。一か八かの勝負であることに変わりはなく、惨敗もあり得るカードだった

しかし、2人はトマス杯決勝という大舞台で化学反応をみせた。ペアとしての分析データのない相手にとまどうアジアチャンピオンに積極果敢に挑み、躍動した。オープニングゲームを21-17で競り勝つと、第2ゲームは19-21の僅差で落とすが、ファイナルゲームも一歩も引けを取らない接戦を演じ、前日優勝を遂げた女子全員を含む日本チームの声援を受けながら、20-18とマッチポイントをつかむ

それでも、フィニッシュラインを笑顔で駆け抜けることはできなかった。4連続失点による痛恨の逆転負けで、歓喜に沸く中国チームの姿をネットを挟んで見守った。直後に行われた表彰式、さらに取材の場でも、笑みをみせることはほとんどなく、悔しさをかみしめていた

最終種目に北京、ロンドンと五輪2大会連続金メダルのリン・ダンが控える中国の優勝は、3種目を終え2対1と中国がリードした時点で既に決していたかもしれない。そんな中、園田・渡辺組は、何か起こるかもしれない、という期待を見る者に抱かせるプレーをした。無論、結果がすべての勝負の世界、あそこまでいきながら勝てなかったことは、力不足による敗北として真摯に受け止めるべき。ただ、とりわけ若い渡辺が自らの試合に敗れ悔しい思いを体感したことは、次回以降のトマス杯に向け、日本男子にとって貴重な財産となり得る

ヘッドコーチのパク・ジュボン氏は表彰式を終えた後、トマス杯の総括として、日本は今大会チームランキング5位で、現実的に判断して、中国(1位)、デンマーク(2位)、インドネシア(3位)を相手にすると厳しいのではと思っていた、と明かした。しかし、準決勝でデンマークを破り、決勝に進んで、最終的に勝てなかったものの中国相手にもいい戦いを見せた、とし、期待を上回るチームの躍進を評価した

BadPaL が、大会前最後の大会アジア選手権で桃田が優勝し、土壇場で第1シングルスに繰り上がったことの影響を問うと、「良かったと思う。もし第2シングルスだったら、日本はデンマーク戦(準決勝)に勝てなかった可能性が高い」と、ヘッドコーチとしての冷静な見方を示した

この点について桃田選手にも同じ質問をぶつけると、「(自分か西本か)どちらが第1シングルスであっても変わらない。両方勝つつもりでいたから」と、指揮官とは異なる意見を述べた。また、西本選手は、「初出場でいきなり第1シングルスはまだ早いということ、と受け止めた。桃田も最初(2014年)は第2シングルスだった。次は自分が第1シングルスで」と話した

トマス・ユーバー杯でチーム内の出場順を決める基となる世界ランキングは、アジア選手権(4月24~29日)の結果までが反映される「5月3日付」のものになることは事前に決まっていた。1週前の4月26日付は、桃田は、西本、坂井に続く日本3番手。そのままでは第2または第3シングルスにしか出場できなかった。しかし、アジア選手権で優勝を遂げたことで、一気に日本1番手に躍り出て、第1シングルス(のみ)への出場が可能となった。仮に、準優勝に終わっていた場合は2番手にとどまり、切磋琢磨しながら力をつけてきている西本と2人揃って出場する場合、「第1シングルス西本―第2シングルス桃田」の順番を崩せないところだった

一方、中国男子を主導的立場で率いたコーチ陣の1人、シア・シュエンゼ氏は優勝記者会見で、「過去2大会で敗れた後の勝利で、われわれにとって大きな意味がある」と喜びを表現すると同時に、プレッシャーから解放された安ど感を示した

中国男子は2014年ニューデリー大会、準決勝で日本に0対3で敗れた<https://badpal.net/2014/05/24/day-6-of-tuc-japan-makes-the-final-after-breaking-the-great-wall/>。続く16年昆山大会では、準々決勝で韓国に1対3。34年ぶりにメダルを逃す歴史的敗北を喫した<https://badpal.net/2016/05/20/day-5-of-tuc-japanese-women-into-semis-men-not/>。シア氏はその後、退任した中国バドミントン界に甚大な影響力を持っていたカリスマ的存在のリ・ヨンボ氏の後を、他のコーチらと共に引き継いだ

◆トマス杯決勝の結果

中国(A組1位)3-1日本(B組1位)

【第1シングルス】 チェン・ロン(世界5位)<9-21,18-21>桃田賢斗(世界12位)

【第1ダブルス】 ツァン・ナン/リュウ・チェン(世界3位)<21-10,21-18>金子祐樹・井上拓斗(世界11位)

【第2シングルス】 シー・ユーチ(世界3位)<21-12,21-17>西本拳太(世界14位)

【第2ダブルス】 リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ(世界4位)<17-21,21-19,22-20>園田啓悟・渡辺勇大(世界ランクなし)

【第3シングルス】リン・ダン(世界8位)<打ち切り>常山幹太(世界34位)

 

トマス杯の最終結果

【優勝】中国(6年ぶり10度目)

【準優勝】日本(※前回メダルなし)

【3位】デンマーク(※前回優勝)

【3位タイ】インドネシア(※前回準優勝)

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