Day 7 in Bangkok : Top seed Japan comes out on top in Uber Cup

男女別の国・地域別対抗戦トマス・ユーバー杯7日目、ユーバー杯の決勝が行われ、日本女子がタイを3対0で破り、第1シードから見事に優勝の栄冠をつかんだ

日本の盤石な強さは、この日も揺るがなかった。接戦を勝ち抜いて自国で史上初のユーバー杯決勝進出を遂げたタイを、アウェーの雰囲気もろとも一蹴。「試合は何が起こるか分からない」と大会前から言い続けてきた、代表の団体戦を何度も経験しているチームの柱、高橋礼華・松友美佐紀組に出番を回すことすらなく、完勝した

最初の種目がすべてだった。世界ランク2位の山口茜と同4位のラッチャノク・インタノン、エース同士の対決は、決勝トーナメントに入り徐々に調子を上げてきた山口がストレート勝ち。第1ゲームを終盤の連続得点で取ると、第2ゲームは競り合いながらも最後まで主導権を譲らなかった

山口選手は試合後、「今大会で一番いいプレーができた。タイチームは勢いがある。その勢いを作り出しているトップ(ラッチャノク・インタノン)を止めたかった。大会序盤はよくなかったので、最後に(チームに)返せたかな」と話した

2014年、16年と、ユーバー杯に過去2度出場した経験は今回に活きたか、と問うと、「トップ同士の対戦でも、団体戦では違う。インド・ニューデリー(14年)では見て、中国・昆山(16年)では実際に試合をして、そのことが分かっていた」と指摘し、うなずいた。その上で、「チームは勝てると思う。信じている」と述べ、チームメイトの応援に戻っていった

2種目目の第1ダブルスには、前日の準決勝で敗れていた福島由紀・廣田彩花組がそのまま起用された。対するタイは、分が悪いダブルスでペアを組み替える奇策に出て、これが出だし、奏功する

福島・廣田組は第1ゲーム、緊張と慣れない相手に翻弄されたか、精彩を欠き、前半を6-11とリードを許して折り返す。ただ後半に入ると次第に自分たちのプレーを取り戻し、13-16から7連続得点を決めゲームポイントを握ると、そのまま21-18でオープニングゲームを取る。いったんリズムをつかめば、世界ランク2位の日本ペアと急造ペアの力の差は歴然。第2ゲームはほぼ一方的な展開で21-12と快勝する

福島・廣田組は試合後、「出だしは良くなかったが、思いきってプレーするだけと思い、自分たちらしさを出せた」と述べた。今大会、「ユーバー杯初出場」と「第1ダブルス」のどちらがよりプレッシャーとなり、自分たちのプレーに影響したと思うか、と問うと、「敗れた昨日(準決勝)は、第1ダブルスとして勝ちたい気持ちが強かった」と認めながらも、自分たちの後ろには強い選手がいるとし、「初めて、の方が緊張した」(福島)と答えた

日本が王手をかけた状態で出番が回ってきた第2シングルスの奥原希望は、前日の中国戦でタイチームにとって大きな1勝を挙げたニチャオン・ジンダポンと対峙した。ただ、2010年の初対戦で黒星を喫して以降、一度も負けていない相手に、大舞台での経験と実績の差を見せ、第1、第2ゲームともに一度もリードを譲ることなくストレート勝ち。最後のポイントを挙げると同時にコート内に駆け込んできたチームメイトを、笑顔で迎えた

奥原選手は今大会期間中、「自分が勝たなければと気張ってはいない」とことあるごとに言い続けてきた。しかし決勝、2対0で回ってきて、「勝ちたい気持ちが出た」と苦笑いとともに認めた。それでも「まだまだ」と気持ちを抑え、後ろには強い先輩がいる。勝ち負けより、出し切ろう、走り切ろう。自分を信じてやるべきことをやるだけ、と切り替えたという

決勝に臨む前に、あらためてチーム内で何か言葉を交わし合ったことはあるか、聞いたところ、「特別なことは話していない。ただ、短いミーティングの中でコーチが発した、相手の応援は関係ない。必ず勝ちにいこう、という言葉に、それぞれの選手が強い気持ちになったと思う」と述べた

今大会、メンバーの中で唯一、一次リーグから決勝トーナメントまで全6試合に出場し、実力的には当然と言えるが、すべてストレート勝ち。チームを優勝に導く推進役を果たしたが、「団体戦はあまり得意ではなくて、ジュニア時代を含め、チームに貢献したと胸を張って言えることがなかった」と明かす。しかし今回は、強いメンバーが揃ったこともあり、「周りを信用して、自分のことに集中できた」と強調した

1981年以来37年ぶりの優勝を目指す気持ちがモチベーションになったか、との問いには、「前回の優勝は生まれる前で、メンバーはいつも違う。今年のこのメンバーで(タイトルを)獲りにいこうという気持ちだった」と明確に答え、過去の優勝はあまり意識せずに大会に臨んだことを説明した

決勝での出場機会はなかったが、前回に続いてユーバー杯の主将を任された高橋礼華は、2012年中国・武漢大会の一次リーグ初戦、対アメリカ戦<https://badpal.net/2012/05/20/day-1-of-thomasuber-cups-finals/>で藤井瑞希・垣岩令佳組に次いで出場した時以来の第2ダブルスで、計3試合を戦いすべて勝利した(※ほかに第1ダブルスとして1試合)。4月のアジア選手権会場で BadPaL に、「(チームの勝敗を決する)第2ダブルスをやってみたい」と話していたが、実際にやってみた感想を聞いたところ、「いい経験ができた」と笑顔で答えた

加えて、大会前から世界のメディアに優勝候補と注目され、プレッシャーのある中、それを跳ね除けて優勝できたことを、自分を含むメンバー全員、この先の個人戦にも活かしていけたらと語った

一方、敗れたタイのヘッドコーチ、レキシー・マイナキー氏は決勝を振り返り、「格上との対戦には、戦略を持って臨まなければならない」と、ダブルスを組み替えた経緯を説明した。その上で、第1ダブルスに送り込んだジョンコンバン・キッティハラクン/プティッタ・スパジラクン組は第1ゲーム前半、相手にプレッシャーをかけることに成功した、と評価した。同時に、「プレッシャーのある中、その後、見事に立て直した」として、日本ペア(福島・廣田組)を称えた

タイは2012年、ユーバー杯で銅メダルを獲得し表彰台に上がったが、決勝進出は史上初。「今回、優勝は逃したものの、過去の成績を上回り歴史を作った。とりわけ準決勝で中国を破った選手たちを誇りに思う」と述べた

◆ユーバー杯決勝の結果

日本(A組1位)3-0タイ(B組1位)

【第1シングルス】 山口茜(世界2位)<21-15,21-19>ラッチャノク・インタノン(世界4位)

【第1ダブルス】 福島由紀・廣田彩花(世界2位)<21-18,21-12>ジョンコンパン・キッティハラクン/プティッタ・スパジラクン(世界ランクなし)

【第2シングルス】 奥原希望(世界9位)<21-12,21-9>ニチャオン・ジンダポン(世界11位)

【第2ダブルス】 高橋礼華・松友美佐紀(世界4位)<打ち切り>サプシリー・テラッタナチャイ/ラウィンダ・プラジョンジャイ(世界ランクなし)

【第3シングルス】 高橋沙也加(世界17位)<打ち切り>ブサナン・ウンパンルンパン(世界22位)

 

ユーバー杯の最終結果

【優勝】日本(37年ぶり6度目※前回銅メダル)

【準優勝】タイ

【3位】中国(※前回優勝)

【3位タイ】韓国(※前回準優勝)

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