アジア選手権準決勝、山口茜選手が森かおり元選手以来、11年ぶりに女子シングルスの決勝に進んだ。ダブルスでは、昨年、日本勢として初優勝を成し遂げた高橋礼華・松友美佐紀組が、2年連続の決勝進出を決めた
2000年以降で、アジア選手権女子シングルスの準決勝に進んだ日本選手は、◆2000年:岩脇史◆04年:森かおり、米倉加奈子◆05年:森かおり、廣瀬栄理子◆06年:森かおり◆13年:廣瀬栄理子、高橋沙也加◆14年:高橋沙也加――。このうち決勝までたどりついたのは、森元選手(05、06年)ただ1人。なお、男女通じてシングルスの優勝者は、1962年の大会創設時まで遡っても出ていない

山口選手が準決勝で顔を合わせた相手は、準々決勝でリオデジャネイロ五輪銀メダリスト、インドのプサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ選手を破った、ジュニア時代のライバル、中国ホー・ビンジャオ選手。第1ゲームは前半もみ合うも、後半引き離して取る。第2ゲームは中盤で逆転されると、ミスも出て相手を勢いづかせてしまい、11-17と大きくリードを奪われる。それでも、相手を動かしゆさぶりをかけ続けていくと、ホー選手の疲労が誰の目にも明らかとなり、山口選手は19-17と逆転に成功する。その後、19-19で並ばれるが、余剰体力の違いは歴然。あわてることなく次の2点を取って、決着をつけた
山口選手は、ホー・ビンジャオ選手と最後に対戦した2014年ユース五輪・南京大会の決勝〈https://badpal.net/2014/08/23/last-day-of-yog-silver-medalists-at-nanjing-to-prepare-for-tokyo2020/〉で敗れ、当時の世界ジュニアチャンピオンとしてほぼ確実視されていた金メダルを逃している。BadPaL が、シニアに上がってからも特にホー選手を意識している部分はあるか尋ねると、「今、世界のトップにいるライバルはほとんど同世代。(彼女を)特別に意識していることはない」と淡々と答えていた。ホー選手も昨年9月、ジャパンオープンで初めてスーパーシリーズ(SS)のタイトルを取った際〈https://badpal.net/2016/09/26/danish-pair-finally-grabs-gold-after-3-major-silvers/〉、3年前に同じタイトルを手にしている山口選手について聞くと、「ジュニア時代には勝つことができたが、シニアの大会でははるか先をいく存在」と率直に認め、追いついていきたい意向を明かしていた
一方、準決勝もう1試合、台湾タイ・ツーイン選手(22)対韓国イ・チャンミ選手(22)は、山口選手(19)が15歳で出場し準優勝した2012年世界ジュニア選手権・千葉大会以来の再戦。前回はタイ選手のストレート勝ち。今回も、予選を勝ち上がり本戦1回戦で世界9位奥原希望選手(22)、2回戦で同6位スン・ユ選手(中国、23)、準々決勝で16位ニチャオン・ジンダポン選手(タイ、26)と世界ランク上位を次々破り今大会の台風の目となったイ選手を、世界1位に立つタイ選手がきっちり止めた
女子ダブルスでは、3年連続で準決勝に進んだ世界1位の高橋・松友組が、昨年12月SSファイナル以来の対戦となる世界3位の韓国チャン・イエナ/イ・ソヒ組に、1点リードされて第1ゲーム前半を終える。しかし後半、ペースをつかむと、その後は優位に試合を進めストレート勝ち。優勝した前回に続く決勝進出を果たした。決勝の相手は予想に反し、世界ランクは下位ながら、準々決勝、準決勝でともに世界ランク1ケタの中国1番手と3番手を連破した今大会好調の韓国ユ・ヘウォン/キム・ヘリン組に決まった
この結果、女子2種目の決勝に、開催国中国の選手は1人も残ることができなかった
対照的に、準決勝4枠中3枠を中国選手が占めた男子2種目の決勝は、いずれも中国選手による同国対決となった
男子ダブルスでは、世界5位の園田啓悟・嘉村健士組が唯一の「外国ペア」として中国の牙城切り崩しに挑んだが、世界2位のリュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ組に跳ね返され、前年と同じベスト4で大会を終えた。リュウ/リ組は、韓国イ・ヨンデ/ユ・ヨンソン組に敗れ準優勝に終わった昨年に続く決勝進出
男子ダブルスは現在、両ペアを含む世界5位まで実力が拮抗しているが、園田・嘉村組はこのところ、トップ5内で続けて敗れている。ここから先、さらに上へいくためには何らかの打開策が必要だ
男子シングルスは、世界1位のマレーシア、リー・チョンウェイ選手が中国上位3選手による包囲網を突破し、昨年獲得したタイトルを守れるかに注目が集まった。しかしリン・ダン選手に敗れ、連覇の望みは断たれた。チョンウェイ選手にとっては、自国開催のマレーシアオープンSSプレミア決勝に次ぐ連敗で、今シーズン最大の目標に据える8月の世界選手権に向け、巻き返しをはからなければならない
決勝は、アジア選手権優勝4回のリン・ダン選手と、昨年準優勝で初優勝を目指すチェン・ロン選手による同国対決
混合ダブルスは、中国ルー・カイ/ホワン・ヤチオン組とタイのデチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・タエラナッチャイ組が勝ち、決勝は、先のシンガポールオープンSS決勝と同じカードとなった
準決勝の結果
【男子シングルス】
リー・チョンウェイ(マレーシア、世界1位)〈13-21,15-21〉リン・ダン(中国、世界8位)
シー・ユーチ(中国、世界5位)〈19-21,15-21〉チェン・ロン(中国、世界9位)
【女子シングルス】
タイ・ツーイン(台湾、世界1位)〈21-8,21-16〉イ・チャンミ(韓国、世界57位※予選勝ち上がり)
山口茜(世界5位)〈21-15,21-19〉ホー・ビンジャオ(中国、世界7位)
【男子ダブルス】
リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ(中国、世界2位)〈21-15,13-21,21-18〉園田啓悟・嘉村健士(世界5位)
ホン・ウェイ/チャイ・ビアオ(中国、世界6位)〈16-21,19-21〉ワン・イーリュ/ホワン・カイシアン(中国、世界15位)
【女子ダブルス】
高橋礼華・松友美佐紀(世界1位)〈21-14,21-10〉チャン・イエナ/イ・ソヒ(韓国、世界3位)
ホワン・ドンピン/リ・インフェイ(中国、世界9位)〈13-21,17-21〉ユ・ヘウォン/キム・ヘリン(韓国、世界44位)
【混合ダブルス】
デチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・タエラナッチャイ(タイ、世界11位)〈21-19,21-16〉ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン(中国、世界26位)
ルー・カイ/ホワン・ヤチオン(中国、世界2位)〈21-10,21-19〉リー・チュンヘイ/チャウ・ホイワー(香港、世界13位)
決勝の対戦カード
【男子シングルス】 リン・ダン(中国、世界8位)対チェン・ロン(中国、世界9位)
【女子シングルス】 タイ・ツーイン(台湾、世界1位)対山口茜(世界5位)
【男子ダブルス】 リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ(中国、世界2位)対ワン・イーリュ/ホワン・カイシアン(中国、世界15位)
【女子ダブルス】 高橋礼華・松友美佐紀(世界1位)対ユ・ヘウォン/キム・ヘリン(韓国、世界44位)
【混合ダブルス】 ルー・カイ/ホワン・ヤチオン(中国、世界2位)対デチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・タエラナッチャイ(タイ、世界11位)