リオ五輪バドミントン競技7日目、混合ダブルス決勝が行われ、タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル組がインドネシアにこの種目初めての金メダルをもたらし、前回ロンドンでバドミントン王国が味わったメダルなしの屈辱を晴らした。男子シングルスでは、北京、ロンドンと2大会連続で決勝を戦った2人、リン・ダン選手とリー・チョンウェイ選手が準々決勝に勝ち、19日の準決勝で3たび対戦する

混合ダブルス第3シードのアーマド/ナッチル組にとって、決勝は気持ちで優位に立って臨むことができた試合だった。対戦相手のマレーシアのチェン・ペンスーン/ゴー・リュウイン組には一次リーグでストレート勝ちしていて、五輪より前の通算対戦成績でも7勝1敗と圧倒している。何より、北京で銀メダルを手にしたナッチル選手が、初めて五輪決勝に進んだマレーシアの2人を経験値ではるかに上回り、大舞台での「勝ち方」を知っていた、その差は大きい
バドミントン王国として知られるインドネシアは、◆1992年バルセロナで男子シングルスと女子シングルス◆96年アトランタで男子ダブルス◆2000年シドニーで男子ダブルス◆04年アテネで男子シングルス◆12年北京で男子ダブルス――と金メダルを量産してきた。しかし前回ロンドンでは、金はおろかよもやのメダルなしに終わる。インドネシアバドミントン協会(PBSI)は改革に着手し、失地回復を目指した。今回リオでは、金メダル期待の男子ダブルス、メダルに手が届くところまで力をつけてきていた女子ダブルスがともにベスト8に沈んだが、混合ダブルス金メダルで面目を保った。この種目では過去、シドニーと北京の銀メダルが最高成績だった
一方、マレーシアにとっては、混合ダブルスでのメダル獲得は初めて。過去のメダル実績は、男子シングルスで銀2・銅1、男子ダブルスで銀1・銅1。リオ五輪における、バドミントンに限らずマレーシア史上初金メダルの期待は、既に決勝進出を決めている男子ダブルスのゴー・ウェイシェム/タン・ウィーキョン組と、五輪2大会連続銀メダルの男子シングルス、リー・チョンウェイ選手に託される

この日は、男子シングルスの準々決勝も行われ、北京、ロンドンの決勝を戦った中国リン・ダン選手とマレーシアのリー・チョンウェイ選手が、それぞれインドのキダンビ・スリカンス選手、台湾チョウ・ティエンチェン選手を下してベスト4入り。19日の準決勝で直接対決することが確定した

ジュニア時代からのライバルである2人は長きにわたり、男子シングルスのトップとしてバドミントン界全体をけん引してきた。ほかのトップ選手に比べても抜け出た存在で、これまでに何度か勝ち星を挙げた選手はいるが、真に追い抜いたと呼べる選手はまだいない
それでも、現時点において最も近い所にいる中国チェン・ロン選手、デンマークのビクター・アクセルセンセン選手の2人が準決勝の逆の山に残ったことで、20日の決勝は、世代交代を印象付ける試合になることも期待できる
7日目の結果
◆男子シングルス準々決勝
リー・チョンウェイ(マレーシア、第1シード)〈21-9,21-15〉チョウ・ティエンチェン(台湾、第6シード)
リン・ダン(中国、第3シード)〈21-6,11-21,21-18〉キダンビ・スリカンス(インド、第9シード)
ビクター・アクセルセン(デンマーク、第4シード)〈21-11,21-10〉ラジフ・ウーセフ(英国、第13シード)
チェン・ロン(中国、第2シード)〈21-11,18-21,21-11〉ソン・ワンホ(韓国、第8シード)
◆混合ダブルス決勝★
タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル(インドネシア、第3シード)〈21-12,21-16〉チャン・ペンスーン/ゴー・リュウイン(マレーシア)
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大会8日目(18日)は、奥原希望選手が勝ち残っている女子シングルスの準決勝2試合と、男女ダブルスの3位決定戦(2試合)。その後、この日最後の5試合目に、高橋礼華・松友美佐紀組が日本バドミントン界史上初の金メダルに挑む女子ダブルス決勝が行われる
8日目(18日)の対戦カード
◆女子シングルス準決勝
カロリナ・マリン(スペイン、第1シード)対リ・シュエリ(中国、第3シード)
奥原希望(日本、第6シード)対プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(インド、第9シード)
◆男子ダブルス3位決定戦
ホン・ウェイ/チャイ・ビアオ(中国)対クリス・ラングリッジ/マーカス・エリス(英国)
◆女子ダブルス3位決定戦
ユー・ヤン/タン・ユエンティン(中国、第2シード)対チョン・ギョンウン/シン・スンチャン(韓国、第4シード)
◆女子ダブルス決勝★
高橋礼華・松友美佐紀(第1シード)対クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール(デンマーク)