フレンチオープンSS準々決勝、日本勢はすべて敗れ、ベスト4に1人も残れなかった。これまでは◆2011年:田児賢一(※準優勝)、平田典靖・橋本博且、藤井瑞希・垣岩令佳◆12年:三谷美菜津(※優勝)、田児、廣瀬栄理子、松尾静香・内藤真実◆13年:田児(※準優勝)、廣瀬◆14年:早川賢一・遠藤大由(※準優勝)、桃田賢斗、松尾・内藤――と4年連続で準決勝以上に進出していた

準々決勝に臨んだ日本選手が世界ランク上位の相手になすすべなく屈する中、この日、最も期待を抱かせたのは女子シングルスの奥原希望選手。今大会3人目の中国勢、ワン・シーシャン選手を相手に第1ゲームは落とすが、第2ゲーム4-3から10連続得点を決め、11点の大量リードを奪い観客の多くがファイナルゲーム勝負を予想した。しかし大会3連覇のかかるディフェンディングチャンピオンに徐々に追い上げられ2点差(18-16)まで詰め寄られる。何とか先にゲームポイント(20-16)をつかむが、やはり追いつかれてしまう。この後、奥原選手はさらに4度、「あと1点」のチャンスを手にするがものにできず、結局、合わせて8つのゲームポイントを決め切れずに、25-27で敗退となった
奥原選手は試合後、BadPaL の取材に応じ、「デュース(20-20)になる前、戦略的に徹底しなければいけないところを徹底できず、あやふやな部分が出てしまった。追い上げられてプレーが小さくなった感じではあまりないが、相手のミスが減り精度が高くなった。警戒しなければいけなかったのだが」と敗因を語った。19-12から追いつかれ合わせて5つのマッチポイントの機会を逃した前週のデンマークオープンSSプレミアに続いての逆転負けとなったが、「前週と同じような負けだが内容は違う。以前なら(前週の悪い負けを)ひきずってしまっていたが、今回はデンマークからフランスへひきずらずに入れた。改善された部分。前向きにとらえたい」と悔しさを押し殺しながら語り、会場を後にした

男子シングルスの佐々木翔選手は、2011年12月のSSファイナル以来、約4年ぶりに同じ1982年生まれの33歳、マレーシアのリー・チョンウェイ選手と対戦した。ただ試合は一方的な展開で、佐々木選手は第1ゲーム9点、第2ゲームは12点に抑え込まれ、通算成績は0勝6敗となった
佐々木選手は BadPaL に対し、「コートに入ると体がめちゃくちゃ重く、もっと攻めたかったができなかった。相手はきっちり四隅をついてきた」と試合を振り返った。一方、今回の欧州開催のSS2連戦を総括すると、「2大会のうち1つで結果(ベスト8入り)を残せた」と自ら一定の評価を下した。その上で、「残りの五輪レース、もう少し結果を残して上位にからめるようにやっていきたい」と述べた。なお、久しぶりにリー・チョンウェイ選手と対戦したが、「自分はやはりリン・ダン。彼に認められるようにがんばっていく」と強調した

男子ダブルスの早川賢一・遠藤大由組は、第1シードの韓国イ・ヨンデ/ユ・ヨンソン組に挑んだが、見せ場を作れず第1ゲームを落とす。第2ゲームは序盤7-2とリードするが8-8で追いつかれ、その後はもつれる展開に。20-19と先にゲームポイントを握るが、直後に3連続得点を決められ、ストレートで敗れた
昨年の準優勝を下回る結果に終わった早川・遠藤組は敗戦後、 BadPaL に対し、「これが実力」(遠藤)。「世界選手権後、追い込みが足りなかった。結果はベスト8だが、自分的には、ベスト16だったデンマークオープンも含めダメな2大会だった」(早川)とコメントした

混合ダブルスの園田啓悟・福万尚子組は、9月の韓国オープンSSで惜敗(16-21,21-17,16-21)していた韓国コ・ソンヒョン/キム・ハナ組へのリベンジを試みた。しかし福万選手が試合後、「穴がなくなってきている」と評した通り、試合が進むごとに日本ペアは点が取れなくなっていき、とりわけ第2ゲーム中盤以降は完全にゲームを支配された。結局、前週のデンマークオープンSSプレミアを制した韓国ペアが、大物食いで上がってきた日本ペアにストレート勝ちで、順当にベスト4入りを果たした
園田・福万組は BadPaL に対し、「韓国ペアは安定してきて、形になってきている。1回対戦しているが、穴がなくなってきた」と述べ、前回よりも今回、相手が良くなっていたことを認めた。今後の五輪レースに向けては、「ベスト4の壁を感じている。クリアとカットでやられている。ローテーションなど細かいミスが穴になっている」(福万)。「一緒に練習できない分、試合で悪い部分を見つけて、合宿などで修正していければ」(園田)と述べた

日本選手以外では、女子シングルスで元世界チャンピオン、タイのラッチャノク・インタノン選手が、第1シードのインドのサイナ・ネワル選手に21-9,21-15と快勝した

また、昨年末のSSファイナル覇者、台湾タイ・ツーイン選手が、ロンドン五輪金メダルの中国リ・シュエリ選手を11回目の対戦で初めて破り、ベスト4に名乗りを挙げた
準々決勝の結果
【男子シングルス】
ワン・ツェンミン(中国、世界9位)〈21-17,12-21,21-8〉ラジフ・ウーセフ(イングランド、世界23位)
リー・チョンウェイ(マレーシア、世界19位)〈21-9,21-12〉佐々木翔(世界22位)
チョウ・ティエンチェン(台湾、世界5位)〈21-13,15-21,21-10〉グ・カロン(香港、世界29位)
ヤン・ヨルゲンセン(デンマーク、世界2位)〈21-18,21-19〉ティエン・ホウウェイ(中国、世界11位)
【女子シングルス】
サイナ・ネワル(インド、世界2位)〈9-21,15-21〉ラッチャノク・インタノン(タイ、世界7位)
ワン・シーシャン(中国、世界6位)〈21-17,27-25〉奥原希望(世界9位)
タイ・ツーイン(台湾、世界4位)〈22-20,21-14〉リ・シュエリ(中国、世界5位)
カロリナ・マリン(スペイン、世界1位)〈21-16,21-10〉マリア・フェベ・クスマストゥティ(インドネシア、世界33位)
【男子ダブルス】
イ・ヨンデ/ユ・ヨ ンソン(韓国、世界1位)〈21-11,21-11〉早川賢一・遠藤大由(世界5位)
フー・ハイファン/ツァン・ナン(中国、世界4位)〈21-15,21-23,20-22〉キム・サラン/キム・ギジョン(韓国、世界13位)
マシアス・ボー/カールステン・モゲンセン(デンマーク、世界3位)〈16-21,21-17,13-21〉マッズ・コンラド・ペターセン/マッズ・ピーラー・コルディング(デンマーク、世界9位)
ヘンドラ・セティアワン/モハンマド・アーサン(インドネシア、世界2位)〈21-12,21-19〉ワン・チリン/チェン・フンリン(台湾、世界26位)
【女子ダブルス】
キム・ハナ/オム・ヘウォン(韓国、世界131位)〈18-21,6-21〉タン・ジンフア/ホワン・ヤチオン(中国、世界316位)
ガブリエラ・ストエバ/ステファニ・ストエバ(ブルガリア、世界14位)〈21-17,8-21,12-21〉チョン・ギョンウン/シン・スンチャン(韓国、世界51位※予選勝ち上がり)
グレイシア・ポリー/ニトヤ・クリシンダ・マヘスワリ(インドネシア、世界4位)〈21-12,21-17〉キム・ソヨン/チェ・ユジョン(韓国、世界31位)
ルオ・ユー/ルオ・イン(中国、世界2位)〈棄権〉セリーナ・ピーク/イーフィア・ムスケンス(オランダ、世界9位)
【混合ダブルス】
ルー・カイ/ホワン・ヤチオン(中国、世界8位)〈21-18,21-15〉リュウ・ユーチェン/タン・ジンフア(中国※予選勝ち上がり)
シュー・チェン/マー・ジン(中国、世界4位)〈8-21,21-19,21-23〉プラビーン・ジョーダン/デビー・スサント(インドネシア、世界9位)
リュウ・チェン/バオ・イーシン(中国、世界3位)〈18-21,21-12,3-10棄権〉クリス・アドコック/ガブリエル・アドコック(イングランド、世界7位)
コ・ソンヒョン/キム・ハナ(韓国、世界6位)〈21-18,21-13〉園田啓悟・福万尚子(世界56位)
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準決勝の対戦カード
【男子シングルス】
ワン・ツェンミン(中国、世界9位)対リー・チョンウェイ(マレーシア、世界19位)
ヤン・ヨルゲンセン(デンマーク、世界2位)対チョウ・ティエンチェン(台湾、世界5位)
【女子シングルス】
ワン・シーシャン(中国、世界6位)対ラッチャノク・インタノン(タイ、世界7位)
カロリナ・マリン(スペイン、世界1位)対タイ・ツーイン(台湾、世界4位)
【男子ダブルス】
イ・ヨンデ/ユ・ヨ ンソン(韓国、世界1位)対キム・サラン/キム・ギジョン(韓国、世界13位)
ヘンドラ・セティアワン/モハンマド・アーサン(インドネシア、世界2位)対マッズ・コンラド・ペターセン/マッズ・ピーラー・コルディング(デンマーク、世界9位)
【女子ダブルス】
タン・ジンフア/ホワン・ヤチオン(中国、世界316位)対チョン・ギョンウン/シン・スンチャン(韓国、世界51位※予選勝ち上がり)
ルオ・ユー/ルオ・イン(中国、世界2位)対グレイシア・ポリー/ニトヤ・クリシンダ・マヘスワリ(インドネシア、世界4位)
【混合ダブルス】
ルー・カイ/ホワン・ヤチオン(中国、世界8位)対プラビーン・ジョーダン/デビー・スサント(インドネシア、世界9位)
コ・ソンヒョン/キム・ハナ(韓国、世界6位)対クリス・アドコック/ガブリエル・アドコック(イングランド、世界7位)