
アジア選手権最終日、中国選手以外で唯一、決勝のコートに立った男子ダブルスの平田典靖・橋本博且組は、今大会第1シードの中国カイ・ユン/フー・ハイファン組に敗れ準優勝に終わった。ただこの結果は、いよいよ目前に迫ったオリンピックレースに向け、大きな自信となったようだ
この試合は、男女シングルスの決勝とともに、地元テレビ局CCTV5が生中継した
第1ゲーム、出だしは互いに点を取り合う展開ながら、カイ/フー組が押し気味にゲームを進め、ゲーム中盤9-7とリードしたところから7連続ポイントで平田・橋本組を突き放すと、その流れのまま21-12で勝利した

第2ゲームに入ると、平田・橋本組がペースをつかみはじめたか、カイ/フー組がわずかにリードするも14-13まで最少得点差で食らいつく。しかし、ここから地力に勝る中国ペアがじりじりと点差を広げ、21-15で日本ペアの初挑戦を退けた
平田・橋本組は試合後、BadPaL の取材に応じ、球の強さやサーブから3球目までに主導権を奪ううまさなど、「これまでの相手とは違った」と率直に中国ペアの強さを認めた。ほかにも、日本のヘッドコーチ、パク・ジュボン氏から事前に指摘されていたものの、フー選手の左からのクロススマッシュなどが効いたという
フー/カイ組と同レベルに位置する世界ランカーには、マレーシアのクー・ケンケット/タン・ブンヒョン組やインドネシアのマルキス・キド/ヘンドラ・セティアワン組がいる。ただ、平田・橋本組はこの2つのペアには勝利している。平田選手は、今回初めて対戦したカイ/フー組と彼らの違いとして、「崩れない」強さを感じたという。ただ、決勝のコーチ席についた、かつてダブルスの神様と呼ばれたパク氏と試合後に話し合い、次回の対戦に向けた攻略のためのヒントはつかんだと述べた
なお、カイ/フー組は試合後の記者会見で、平田・橋本組のサーブにてこずったとコメントしていた
また、今大会の成果について橋本選手は、「今回、アジア選手権の決勝を戦えたことは、今後、大きな舞台での試合に臨む上での経験として非常に意味がある」と強調した。その上で、アウェーの雰囲気に慣れ緊張しないようにする、などといった目的のためにも、これからも可能なかぎりこうした大舞台にどんどん出ていきたいと語った
現在、世界10位に位置する平田、橋本両選手にマレーシアオープングランプリ(GP)ゴールド(5月3~8日)からスタートする1年間のオリンピックレースに臨む上で当面の目標に置く世界ランクを尋ねると、橋本選手が上位大会でのシードにつながる8位以上としたのに対し、平田選手は「高ければ高いほど」と、常により上を目指す姿勢を示した
平田・橋本組はこの後、インドオープンスーパーシリーズ(SS)とマレーシアオープンGPゴールドを転戦。それからいったん日本に戻り、男女混合国別対抗戦スディルマンカップに備える予定だ

一方、地元中国メディアが注目した男子シングルスと女子シングルスの決勝は、大方の予想通り、リン・ダン選手とワン・イーハン選手がそれぞれ勝利した。このうちワン選手は、中国国内のスーパーリーグで負傷した右ひざの状態について、回復してきているが、試合中は注意を払っていると述べた
両選手を含む決勝に臨んだほとんどの中国選手は次の目標として、オリンピックレースには言及せず、中国・青島で5月22~29日に開催されるスディルマンカップを挙げている
ただ、全試合終了後、中国選手が完全優勝を果たした今大会を総括するためメディアルームに現れた中国ナショナルチームのヘッドコーチ、リ・ヨンボ氏は、中国チームが今後、ロンドン五輪出場枠獲得を最優先させる方針であることを明言した

リー氏はまた、「中国の格上選手を破った男子ダブルスの平田・橋本組、男子シングルスの佐々木翔選手、女子シングルスの三谷美菜津選手ら日本選手の活躍をどう見るか」とのBadPaL の問いに対し、日本選手の躍進を認めた上で、これまでの中国チームとの交流の成果でもあると指摘。日本と中国の選手がともに高めあうのはバドミントン界全体にとって良いこと、と回答した
各種目決勝の結果は以下の通り
【男子シングルス】 リン・ダン(中国、世界3位)〈21-19,21-13〉バオ・チュンライ(中国、世界13位)
【女子シングルス】 ワン・イーハン(中国、世界2位)〈21-15,23-21〉ルー・ラン(中国、世界27位)
【男子ダブルス】 カイ/フー組(中国、世界4位)〈21-12,21-15〉平田・橋本組(世界10位)
【女子ダブルス】 ワン・シャオリ/ユー・ヤン組(中国、世界2位)〈21-13,21-10〉ツァオ・ユンレイ/ティエン・チン組(中国、世界36位)
【混合ダブルス】 ツァン・ナン/ツァオ・ユンレイ組(中国、世界1位)〈15-21,21-15,25-23〉シュー・チェン/マー・ジン組(中国、世界54位)