世界選手権・ウエルバ大会は18日、準決勝が行われ、山口茜、小林優吾・保木卓朗、渡辺勇大・東野有紗が勝利。自身初の金メダル獲得へ、最終日、今シーズン最後の一戦に挑む
日本勢最初に登場した山口の相手は、同じ歳ながらこれまで対戦機会のなかった、遅咲きの中国ツァン・イーマン。今大会はノーシードから勝ち上がり、準々決勝では、2013年に金メダル、19年に銅メダルを手にしているラッチャノク・インタノンを破って「初出場でメダル」を既に成し遂げている
第1ゲームは山口が優位に試合を進め中盤12-7と5点差をつける。いったん15-15で追いつかれるも、主導権は譲らず取り切る。第2ゲームは逆に11-11から離され13-17とリードを許すが、ここから一気に追いつき、振り切った
山口は、18歳で初めて世界選手権に出場できる資格を得ながら高校総体を優先し辞退した2015年の後、◆17年:3回戦敗退(対チェン・ユーフェイ)◆18年:準決勝敗退(対プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ)◆19年:初戦=2回戦敗退(対ヨー・ジアミン)――に次ぐ4度目の挑戦で、初めて決勝までたどりついた
一方、反対の山から決勝に勝ち上がったタイ・ツーインは長く、実力・実績ともに世界トップの1人に位置づけられている。ただ、世界選手権ではこれまで、◆2011年:1回戦棄権◆13年:準々決勝敗退(対リ・シュエリ)◆14年:準々決勝敗退(対カロリナ・マリン)◆15年:準々決勝敗退(対リンダウェニ・ファネトリ)◆17年:出場辞退◆18年:準々決勝敗退(対ホー・ビンジャオ)◆19年:準々決勝敗退(対プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ)――と、決勝はおろか準決勝にすら一度も届いていなかった
第1シードのタイ・ツーイン、第2シード山口による頂上対決は、ともに初タイトルをかけた戦いとなる
男子ダブルスは、第5シードの小林・保木が、バリ島開催のワールドツアーファイナルで2日続けて敗れた雪辱を期すテオ・イーイ/オン・ユーシンを返り討ちにし、前回、世界選手権・バーゼル大会に続いて最終日に残った
日本のエースペアが決勝でぶつかるのは、対戦成績では負け越している中国のホー・ジティン/タン・チアン。今大会では、3回戦で第4シードのアーロン・チア/ソー・ウーイイク、準々決勝で第10シードのゴー・ウェイシェム/タン・ウィーキョン、準決勝で第7シードのアナース・スカールプ・ラスムセン/キム・アストルプと上位シード勢を連破し、2回目の世界戦出場で初のメダルを確定させている
2日続けて同国対決となった混合ダブルス準決勝、渡辺・東野は山下恭平・篠谷菜留の挑戦を受けるも寄せ付けず、第1、第2ゲームともに開始から一度もリードを許さぬ快勝。2年前のバーゼル大会で刻んだ記録「混合ダブルス日本勢初のメダル獲得」を一歩進めて、「日本勢初の決勝進出」に上書きした
決勝は、世界選手権の直前にバリ島で行われた「インドネシアバドミントンフェスティバル(IBF)」の3大会すべてを制し、世界ランク1位に立ったデチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・テラッタナチャイが相手。今シーズン最後の3大会続けて、同一カードとなった
女子ダブルスでは、永原和可那・松本麻佑が2年ぶりにチェン・チンチェン/ジア・イーファンと対戦した。しかし、櫻本絢子と組んでインドネシアオープンに出場していた松本がバリ島で BadPaL に話していた通り、2人組んでの練習が十分できていない状態では、中国のエース相手に本来のパフォーマンスは望むべくもなく、ストレート負け。決勝には届かなかった
それでも来年の再スタートに向け、シーズン最後、万全には程遠い状況であっても2人で実戦のコートに立ち銅メダルまで獲得できたことは、一定の評価に値する
なお決勝は、チェン・チンチェン/ジア・イーファンと韓国シン・スンチャン/イ・ソヒによる、第1シードと第2シードの対戦になることが決まった
男子シングルスでは、シンガポールのロー・キーンユーが、第3シードのアナース・アントンセンをストレートで破り、全種目を通じて唯一、ノーシードから決勝まで駆け上がった
もうひとつの山からは、ラクシャ・センとの同国対決を制したインドのキダンビ・スリカンスが、2014年以降連続出場している世界選手権6度目の挑戦で、初のメダル獲得。加えて、この種目インド勢初の決勝進出を決めた。これまでの自己最高成績は、17年のベスト8だった
準決勝の結果
【男子シングルス】
①キダンビ・スリカンス(インド、第12シード)<17-21,21-14,21-17>ラクシャ・セン(インド)
②アナース・アントンセン(デンマーク、第3シード)<21-23,14-21>ロー・キーンユー(シンガポール)
【女子シングルス】
①タイ・ツーイン(台湾、第1シード)<21-17,13-21,21-14>ホー・ビンジャオ(中国、第8シード)
②山口茜(第2シード)<21-19,21-19>ツァン・イーマン(中国)
【男子ダブルス】
①小林優吾・保木卓朗(第5シード)<21-13,21-9>テオ・イーイ/オン・ユーシン(マレーシア、第9シード)
②アナース・スカールプ・ラスムセン/キム・アストルプ(デンマーク、第7シード)<16-21,21-13,15-21>ホー・ジティン/タン・チアン(中国、第16シード)
【女子ダブルス】
①チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、第1シード)<21-15,21-12>永原和可那・松本麻佑(第4シード)
②シン・スンチャン/イ・ソヒ(韓国、第2シード)<21-18,21-17>キム・ソヨン/コン・ヒヨン(韓国、第3シード)
【混合ダブルス】
①渡辺勇大・東野有紗(第3シード)<21-13,21-8>山下恭平・篠谷菜留
②デチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・テラッタナチャイ(タイ、第2シード)<15-21,21-7,21-10>タン・チュンマン/ツェ・インシュ―(香港、第5シード)
---------------
決勝の対戦カード
【男子シングルス】キダンビ・スリカンス(インド、第12シード)対ロー・キーンユー(シンガポール)
【女子シングルス】タイ・ツーイン(台湾、第1シード)対山口茜(第2シード)
【男子ダブルス】小林優吾・保木卓朗(第5シード)対ホー・ジティン/タン・チアン(中国、第16シード)
【女子ダブルス】チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、第1シード)対シン・スンチャン/イ・ソヒ(韓国、第2シード)
【混合ダブルス】デチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・テラッタナチャイ(タイ、第2シード)対渡辺勇大・東野有紗(第3シード)