韓国オープン(SUPER500)準決勝、男子2種目のエース、桃田賢斗と園田啓悟・嘉村健士が強さを見せ、決勝に進んだ。一方、今大会躍進したB代表の女子ダブルス2ペアはここで力尽きた
2015年インドネシアオープン以来4年ぶりにカシャップ・パルパリ(インド)と対戦した桃田は、「疲れで昨日以上に動けず、スピードを上げられなかった」と試合後、自ら認め、楽しみに見てくれた人にどう映ったか、と自嘲気味に語った。しかし、攻守ともに相手を上回ってのストレート勝ち。プレーで随所に韓国の観客をどよめかせた。敗れたカシャップも、桃田がほかの選手より先にいることを認めた
桃田に、いかなる状況下でも勝つことが世界ランク1位としての仕事や使命と考えるか、と問うと、「(世界1位だから)勝たなければではなく、純粋に自分が勝ちたいという気持ち」と説明した
第1シードの桃田は、アジア選手権、世界選手権を除くワールドツアーで、今シーズン7度目の決勝進出。決勝では、6つ目のタイトル奪取を目指し、もうひとつの山を勝ち上がった第2シードのチョウ・ティエンチェン(台湾)とぶつかる
なお、韓国オープンの男子シングルスで優勝した日本選手は過去にいない
園田・嘉村の相手は、ホスト国のチェ・ソルギュ/ソ・スンジェ。世界ランク1位のマルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ(インドネシア)から8月、世界選手権で初勝利。9月の中国オープンでは敗れたものの、ファイナルゲーム21-23まで競り合った
また今大会でも、イ・ヨンデ/キム・ギジョン(韓国)、アナース・スカールプ・ラスムセン/キム・アストルプ・ソレンセン(デンマーク)という実力あるペアを連破するなど好調を維持していて、苦戦を強いられることも予想された。しかし、いざふたを明けてみると、今大会、復調の手応えを感じている日本のエースペアが第1ゲームは一度もリードを許さず、第2ゲームも後半一気に抜け出し、快勝した
園田・嘉村は試合後、8月のタイオープン(SUPER500)1回戦で負けを喫した相手に雪辱を果たし、決勝に進めたことを素直に喜んだ。今大会で取り戻しつつある自分たちのプレーも持続し、「きょうもいい試合ができた」(嘉村)と述べた。決勝に向けての意気込みを聞くと「やることは変わらない」(園田)と淡々と答えながら、表情は明るかった
一方、最近結果とともに世界ランクも上げてきている韓国ペアの印象を聞くと、レシーブの堅実さに加え、チェ・ソルギュのミスが減り、前衛でのタッチが速くコンパクトになった、と指摘。気を抜けばやられる、警戒すべき強豪のひとつに成長したとの認識を示した
決勝では、準々決勝で今大会第1シードのギデオン/スカムルジョ、準決勝で第3シードのリュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ(中国)を打ち破ってきた第6シード、ムハンマド・リアン・アルディアント/ファジャル・アルフィアン(インドネシア)と対戦。4月のシンガポールオープン(SUPER500)に次ぐ、今シーズン2つ目のワールドツアータイトル奪取を狙う
一方、今大会ここまで、世界ランク上位のペアを倒すなど活躍を見せてきたB代表の志田千陽・松山奈未と櫻本絢子・髙畑祐紀子は、ともに韓国ペアに敗れ、決勝には進めなかった
志田・松山は、前日、高橋礼華・松友美佐紀を破った韓国1番手、シン・スンチャン/イ・ソヒと互角に渡り合い、第1ゲームを奪う。第2ゲームは経験、実績共に上の相手に主導権を握られ13-19とリードされる。それでも集中力を切らさず、6連続得点で追いついてみせたが、地元で負けられない韓国ペアも意地を見せ、日本ペアに傾いた流れを断ち切り、試合はふりだしに
ファイナルゲームは志田・松山が先行するが、前半終了間際に逆転を許してしまう。後半はその流れのまま韓国ペアのペースで進み、志田・松山はこれを押し戻すことができずに15-21で敗れた
志田選手は試合後、BadPaL に対し、「初めての相手で向かっていった。自分たちの攻撃が決まる場面もあり、(課題だった)レシーブも前よりは上のレベルのペア相手でも通用する」との実感を得たと話した。それだけに、「勝つチャンスがあったのにとりこぼした」と悔しさを隠さなかった。松山選手は、「(韓国1番手と)実際にやってみて、自分たちのプレーができた。でも勝ち切れなかった。それが差。悔しい気持ちの方が大きい。前衛を極めたい」との思いを述べた
その上で、2人は準決勝で敗れた悔しさと、このレベルの選手が集まる大会で初めて準決勝に進んだ自信を手に、次週のインドネシアマスターズ(SUPER100)以降、戦っていく覚悟を示した
準決勝もうひと試合に登場した櫻本・髙畑は、キム・ソヨン/コン・ヒヨンの攻撃力に圧倒され、オープニングゲームを13-21で落とす。続く第2ゲームは、レシーブをコート奥、さらには左右に大きく振ってコン・ヒヨンの強打に対応することで勝機をつかみ、ゲームカウント1対1のタイに戻す
しかしファイナルゲームに入ると、再び韓国ペアの圧に押し込められ、前半を2-11。後半も会場の声援を背に勢いを増した相手から3点しか奪うことができず、5-21と完敗した
櫻本・髙畑は、「攻撃の形に持っていかれると差し込まれた。構えて自分のプレーが止まってしまった」と、攻撃主体の韓国ペアの強さを体感した。同時に、第2ゲームのように「やり方次第ではこのクラスでも通用する」との感じも掴んだ。ただ、ファイナルゲームに入ってからの差もはっきり認識。その上で、いい形も多く1つ壁を越えられた今大会をプラスにとらえ、次戦デンマークオープン(SUPER750)以降も良い結果が出せるよう挑んでいく姿勢を明確にした
日本選手不在の残り2種目、女子シングルスは、ラッチャノク・インタノン(タイ)が本調子ではなかったと感じたタイ・ツーイン(台湾)をストレートで破り、ホー・ビンジャオ(中国)とともに決勝へ
混合ダブルスは、前週中国オープン優勝の第1シード、ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン(中国)と、今週、渡辺勇大・東野有紗を抜いて世界3位に浮上した第4シード、デチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・テラッタナチャイ(タイ)が最終日に残った
準決勝の結果
【男子シングルス】
桃田賢斗(第1シード)<21-13,21-15>(インド※予選繰り上がり)カシャップ・パルパリ
チョウ・ティエンチェン(台湾、第2シード)<12-21,21-13,21-11>(台湾)ワン・ツーウェイ
【女子シングルス】
(台湾、第3シード)<19-21,11-21>ラッチャノク・インタノン(タイ、第6シード)タイ・ツーイン
ホー・ビンジャオ(中国、第7シード)<21-9,21-15>(カナダ)ミッシェル・リ
【男子ダブルス】
(中国、第3シード)<25-27,20-22>ムハンマド・リアン・アルディアント/ファジャル・アルフィアン(インドネシア、第6シード)リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ
園田啓悟・嘉村健士(第4シード)<21-13,21-14>(韓国)チェ・ソルギュ/ソ・スンジェ
【女子ダブルス】
キム・ソヨン/コン・ヒヨン(韓国、第8シード)<21-13,13-21,21-5>櫻本絢子・髙畑祐紀子
シン・スンチャン/イ・ソヒ(韓国、第6シード)<15-21,21-19,21-15>志田千陽・松山奈未
【混合ダブルス】
ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン(中国、第1シード)<21-11,21-16>(韓国、第6シード)ソ・スンジェ/チェ・ユジョン
デチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・テラッタナチャイ(タイ、第4シード)<20-22,21-11,21-18>(インドネシア)リノブ・リバルディ/ピサ・ハニントヤス・メントリ
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決勝の対戦カード
【男子シングルス】桃田賢斗(第1シード)対チョウ・ティエンチェン(台湾、第2シード)
【女子シングルス】ラッチャノク・インタノン(タイ、第6シード)対ホー・ビンジャオ(中国、第7シード)
【男子ダブルス】園田啓悟・嘉村健士(第4シード)対ムハンマド・リアン・アルディアント/ファジャル・アルフィアン(インドネシア、第6シード)
【女子ダブルス】シン・スンチャン/イ・ソヒ(韓国、第6シード)対キム・ソヨン/コン・ヒヨン(韓国、第8シード)
【混合ダブルス】ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン(中国、第1シード)対デチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・テラッタナチャイ(タイ、第4シード)