韓国オープン(SUPER500)準々決勝、女子ダブルスで第1~3シードのA代表がすべて姿を消す中、B代表の志田千陽・松山奈未と櫻本絢子・髙畑祐紀子がそろって、ベスト4に名乗りを上げた
志田・松山の相手は、中国2番手、第7シードのリ・インフェイ/ドゥ・ユエ。2015年世界ジュニア選手権準決勝で一度対戦したことがあるが、現在は世界ランク7位。1~3位につける日本3ペアからいずれも複数回勝利を挙げている世界の強豪のひとつだ
ただ、22歳志田と21歳松山は臆することなく向かっていき、競り合いとなった第1ゲーム、15-15から抜け出し20-16。ここから1点差まで詰め寄られるが、振り切る。第2ゲームは逆に後半抜け出されて16-21。ファイナルゲームに突入する
地力を見せ始めた中国ペアに、それでもプレッシャーをかけ続ける志田・松山。この積極策が奏功し、最後は上位大会での経験豊富な同世代の格上を押し切った
志田・松山は試合後、BadPaL の取材に応じ、今大会を上のグレードの海外の選手と試合ができる好機ととらえ、「勝ちたい気持ちもあったが、楽しめていいプレーができた」(志田)と笑顔でこの日の試合を振り返った。格上の相手にどんどんプレッシャーをかけていたが、の問いかけには、「自分たちの(持ち味である)攻めとスピードが出せた。でも、もし交わされたら」(松山)と今後を見据えた不安も口にした
準決勝への意気込みとしては、「向かっていく気持ちで」。世界のトップが揃う今大会に出場するチャンスをもらえたこの機を活かし、日本のA代表と羽根を打ち合っても感じる球の質の違いを、海外のトップ選手からも体感したい意向を示した
櫻本・髙畑は、2回戦で世界選手権2連覇の第1シード、永原和可那・松本麻佑を破り勢いに乗る、ホスト国韓国の29歳チャン・イエナ、24歳キム・ヘリンの2人と対戦した。ベテランとそれに続く世代を戦略的に組ませた力強い攻撃が武器のペアで、初顔合わせの7月ジャパンオープンでは敗れていた
しかし志田・松山に次ぐ日本6番手、24歳櫻本と21歳髙畑は、第1ゲームを22-20で競り勝つ。第2ゲームは序盤から相手に主導権を握られ、終始追いかける展開になるが、後半徐々に点差を詰め19-19で追いつくと、そのまま一気に抜き去った
櫻本・髙畑は BadPaL に対し、「第2ゲーム、引いている時に点を取られていたが、立て直していけた」と勝因に触れた。前日、シードのグレイシア・ポリー/アプリヤニ・ラハユ(インドネシア)に初めて勝てたことが、ひとつ乗り越えた感があり自信になっていると話す。それでも、「トップはこういうところでずっと勝ち続けている」と現時点での差を率直に認める。その上で、準決勝も「勝ちにこだわりすぎず、向かっていくだけ」と真摯に述べた
日本のもうひとペア、第2シードの高橋礼華・松友美佐紀は、オープニングゲームを奪いながら、会場の声援に後押しされた韓国1番手シン・スンチャン/イ・ソヒにファイナルゲーム18-21で逆転負け
韓国は2番手キム・ソヨン/コン・ヒヨンも第4シードのチェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国)を破り、この種目、日本と準決勝枠4つを分け合った
一方、A代表は男子の桃田賢斗と園田啓悟・嘉村健士が勝ち残った
男子シングルス第1シードの桃田は、ビクター・アクセルセン(デンマーク)を破って上がってきた次期マレーシアのエースとして躍進が期待されるリー・ヅージアと今シーズン3度目の顔合わせ。第2ゲーム、リードを奪われる場面はあったものの、ストレート勝ちできっちり締めた
桃田は、以前も話していた連戦後半(特に優勝後)の「SUPER500」について、「疲労や痛い所がないわけではない。気持ちを振るい立たせるモチベーションを保つのが難しい部分もある」と認めた。ただ、流れも良く、出させてもらっている以上はベストを尽くす、とのスタンスをあらためて確認した
男子ダブルス第4シードの園田・嘉村は、デンマークのベテラン、マシアス・ボー/マッズ・コンラド・ペターセンを寄せつけずに快勝。当時、組み替えペアとして出てきた2018年トマス杯での敗戦の雪辱を果たした
園田・嘉村は試合後、BadPaL に対し、昨日ぐらいから、これまで浮いていた「球が沈んで」自分たちのプレーができるようになった、と明かした。今大会も調子を戻すのが一義的な目的、と話し、自分たちのプレーができるようになってきたことに「嬉しい」と率直な気持ちを表した
なお、男子ダブルスではこの日、前週中国オープン優勝の第1シード、マルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョが、ムハンマド・リアン・アルディアント/ファジャル・アルフィアンとのインドネシアペア対決に敗れ、姿を消した
女子シングルス準々決勝に臨んだ奥原希望と高橋沙也加だが、それぞれミシェル・リ(カナダ)、ラッチャノク・インタノン(タイ)に敗れ、準決勝には進めなかった
このうち高橋は、前週、中国オープンで勝っていたラッチャノクに雪辱を許す形に。「前週より攻める数が少なかった。(前週の敗戦を踏まえ)相手の方が冷静に対応していた」と指摘。もう少しガツガツいってもよかった所で慎重になった。堅くなってしまった部分もあった、と認めた。ただこの2連戦、トップ10から久々の勝利を挙げるなどいい形で試合ができ、やれるという気持ちを持てたという。同時に、かけひきなどトップとの差もあらためて感じたといい、「この先も上の選手から学んでいきたい」と前を向いた
混合ダブルスの勝ち残り2ペアもこの日ともに敗れ、大会を終えた。とりわけ第3シードの渡辺勇大・東野有紗は、第6シードのソ・スンジェ/チェ・ユジョン(韓国)に中国オープンに続いて連敗。現在、頭一つ抜け出ている世界1、2位につける中国2ペアを追う「2番手グループ」は、渡辺・東野とデチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・テラッタナチャイ(タイ)、それに勢いの出てきたこの韓国ペアを加えた三つ巴の様相を呈してきた
準々決勝の結果
【男子シングルス】
桃田賢斗(第1シード)<21-15,21-19>(マレーシア)リー・ヅージア
(デンマーク)<22-21,8-21>カシャップ・パルパリ(インド※予選繰り上がり)ヤン・ヨルゲンセン
(インドネシア、第4シード)<10-21,21-15,13-21>ワン・ツーウェイ(台湾)ジョナタン・クリスティ
チョウ・ティエンチェン(台湾、第2シード)<21-18,21-9>(インドネシア)シェサル・ヒレン・ルスタビト
【女子シングルス】
ラッチャノク・インタノン(タイ、第6シード)<21-9,23-21>高橋沙也加
タイ・ツーイン(台湾、第3シード)<24-22,22-20>(インドネシア)グレゴリア・マリスカ・トゥンジュン
(第4シード)<23-21,16-21,19-21>ミッシェル・リ(カナダ)奥原希望
(中国、第2シード)<21-15,17-21,18-21>ホー・ビンジャオ(中国、第7シード)チェン・ユーフェイ
【男子ダブルス】
(インドネシア、第1シード)<20-22,17-21>ムハンマド・リアン・アルディアント/ファジャル・アルフィアン(インドネシア、第6シード)マルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ
リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ(中国、第2シード)<21-14,17-21,22-20>(中国※予選勝ち上がり)リュウ・チェン/ホワン・カイシアン
園田啓悟・嘉村健士(第4シード)<21-13,21-17>(デンマーク)マシアス・ボー/マッズ・コンラド・ペターセン
チェ・ソルギュ/ソ・スンジェ(韓国)<21-18,18-21,21-18>(マレーシア)ヌル・イズディン/ゴー・ジーフェイ
【女子ダブルス】
櫻本絢子・髙畑祐紀子対<22-20,21-19>(韓国)チャン・イエナ/キム・ヘリン
(中国、第4シード)<18-21,16-21>キム・ソヨン/コン・ヒヨン(韓国、第8シード)チェン・チンチェン/ジア・イーファン
(中国、第7シード)<19-21,21-16,13-21>志田千陽・松山奈未リ・インフェイ/ドゥ・ユエ
(第2シード)<21-16,19-21,18-21>シン・スンチャン/イ・ソヒ(韓国、第6シード)高橋礼華・松友美佐紀
【混合ダブルス】
ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン(中国、第1シード)<21-10,21-18>(インドネシア、第7シード)プラビーン・ジョーダン/メラティ・ダエバ・オクタビアンティ
(第3シード)<14-21,16-21>ソ・スンジェ/チェ・ユジョン(韓国、第6シード)渡辺勇大・東野有紗
デチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・テラッタナチャイ(タイ、第4シード)<21-15,21-12>金子祐樹・松友美佐紀
(中国)<24-26,24-22,20-22>リノブ・リバルディ/ピサ・ハニントヤス・メントリ(インドネシア)ホー・ジティン/ドゥ・ユエ
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準決勝の対戦カード
【男子シングルス】
桃田賢斗(第1シード)対カシャップ・パルパリ(インド※予選繰り上がり)
チョウ・ティエンチェン(台湾、第2シード)対ワン・ツーウェイ(台湾)
【女子シングルス】
タイ・ツーイン(台湾、第3シード)対ラッチャノク・インタノン(タイ、第6シード)
ホー・ビンジャオ(中国、第7シード)対ミッシェル・リ(カナダ)
【男子ダブルス】
リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ(中国、第2シード)対ムハンマド・リアン・アルディアント/ファジャル・アルフィアン(インドネシア、第6シード)
園田啓悟・嘉村健士(第4シード)対チェ・ソルギュ/ソ・スンジェ(韓国)
【女子ダブルス】
キム・ソヨン/コン・ヒヨン(韓国、第8シード)対櫻本絢子・髙畑祐紀子
シン・スンチャン/イ・ソヒ(韓国、第6シード)対志田千陽・松山奈未
【混合ダブルス】
ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン(中国、第1シード)対ソ・スンジェ/チェ・ユジョン(韓国、第6シード)
デチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・テラッタナチャイ(タイ、第4シード)対リノブ・リバルディ/ピサ・ハニントヤス・メントリ(インドネシア)