インドネシアオープン(SUPER1000)2回戦、山口茜が奥原希望に競り勝ち、モチベーションを模索する中にあっても「ある程度の結果は残していきたい」と語っていた通り、ベスト8を守って、この種目唯一の勝ち残りとなった
世界ランク1位の台湾タイ・ツーインに次ぐ第2シードの山口に対し、奥原は今回ノーシードのため、2回戦という早い段階で両者の対戦が実現した
山口が第1ゲーム、奥原が第2ゲームをそれぞれ取り合い迎えたファイナルゲーム、山口が前半11-7とリードする。奥原は後半追い上げ逆転に成功すると、そのまま20-19と先にマッチポイントをつかむ。しかし、奥原のマッチポイント2つを凌いだ山口が、土壇場の再逆転で勝利をつかんだ
ギリギリの同国対決を制した山口選手は試合後、 BadPaL の取材に応じ、「(昨年の世界選手権の後)これまでベスト8以上の結果を残し続けてきた。ここで積み上げてきたものを崩したくないという気持ちが、がんばれた要因」と話し、「次1点、と感じられた。この気持ちは大事」と強調した。ただ、ファイナルゲーム後半は逆に、「(点を)取りにいこうという気持ちが裏目に出た。バランスが難しい」とし、「(湧き上がる)気持ちとプレーを一緒にしてはいけない」と語った
山口選手は前週マレーシアオープンの期間中、BadPaL に対し、何にモチベーションを見出すか「考え中」と、率直な思いを明かしていた<https://badpal.net/2018/06/29/japanese-shuttlers-surprise-and-surprised-in-2nd-round/>
一方、1回戦で世界ランク1けたの上位選手を破る活躍を見せた佐藤冴香と大堀彩だが、この日はそれぞれ、カースティ・ギルモア(スコットランド)、プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(インド)の前に敗退。この種目で準々決勝に進んだのは、前週に続き山口ただ1人となった
これに対し男子シングルスは、エースの桃田賢斗のほか、常山幹太が2日連続でヨーロッパの強豪を破り、2人が勝ち残った
桃田は、前週のマレーシアオープンでファイナルゲームまでもつれた相手、インドネシア期待のアンソニー・シニスカ・ギンティンと再び顔を合わせた。第1ゲームを危なげなく先取するが、第2ゲームは前半5点に抑えられ、後半も7-13と6点リードされる。しかしここから6連続得点を決め一気に追いつくと、さらに連続得点で突き放し、終わってみれば、逆に6点差をつけて勝利した
桃田選手は試合後、スピードのある相手の攻撃を封じる作戦に出たことを明かし、第1ゲームはうまく機能したという。しかし第2ゲーム前半は相手が上手でリードを許してしまい、後半6点のビハインドから追いついた場面は、ファイナルゲームに突入することも視野に「開き直って長いラリーを心掛けたのが良かった」と振り返った
ギンティン選手もこの点、「第2ゲーム途中から攻撃させてもらえなくなり、ミスが増え、第1ゲームと同じになった。桃田はリードされても落ち着いていた」と試合後、認めた
常山は、初戦で現世界チャンピンの中国チェン・ロンを破る番狂わせを演じたフランスのブリス・レベルデスと初めて対戦。第1ゲーム、18-12と終盤大きくリードするが、ここから逆転を許し、19-20と先にゲームポイントを握られる。しかしこれを凌いで取ると、第2ゲームは持ち味の緩急織り交ぜたプレーで相手をさらに翻弄。インドネシアの観客の声援を受けながら、一度も主導権を譲らぬまま勝利を手にした
常山選手は試合後、BadPaL の取材に応じ、「強い相手だが、柔らかな球ではこちらに分があった」とニヤリ。勝因としては、「第1ゲーム、リードしながら追いつかれたが、集中力を切らさずにできた」ことを挙げ、上位大会「SUPER1000」でのベスト8入りに、ヤン・ヨルゲンセン、レベルデスとヨーロッパの雄2人を相手に、チャンスを活かせてしてやったり、の笑顔を見せた
この種目、2回戦に挑んだもう1人、坂井一将は、全英オープン覇者、第3シードの中国シー・ユーチに力及ばずストレート負け。1月に同じ会場で行われたインドネシアマスターズでの準優勝に続く好結果は残せなかった。それでも、現在の自分の状況を踏まえ、「今回、1勝挙げることができたのは大きい」と繰り返した
男子優勢のシングルスとは対照的に、ダブルスは、男子の勝ち残り1ペアに対し、女子は3ペアが勝ち上がった
男子ダブルスは、前週マレーシアオープン優勝の園田啓悟・嘉村健士組が1回戦で姿を消したのに続き、準優勝の遠藤大由・渡辺勇大組がこの日、台湾の1番手に浮上してきたリャオ・ミンチュン/スー・チンヘン組と大接戦の末、ファイナルゲーム20-22で敗退となった。遠藤選手は試合後、BadPaL に「ああいうの(接戦)をしっかり勝てるようにしないと」と語った
もうひとペア、金子祐樹・井上拓斗組は、タイのティン・イスリヤネト(25)/キッティサク・ナムダッシュ(22)組からストレート勝ちを挙げ、準々決勝に進んだ。ただ、世界ランク25位(5日付)の「SUPER1000ではラッキーな相手」に17点、18点を失ったこの日の試合を、「今日の内容はダメ」(金子)と切り捨てた
その上で、次のロシアペア、ウラジミール・イワノフ/イワン・ソゾノフ組との対戦に向け、「昨年のジャパンオープンで勝っているが、今回はまた別。気持ちを整理して立ち向かっていけるようにしないと」(井上)と引き締めた
また、この種目、日本唯一の勝ち残りになったことについては、金子選手が「それはあまり気にしない」としたのに対し、井上選手は「誇りを持って戦いたい」と答えた
女子ダブルスでは、初戦を突破した4ペアのうち、第4シードの米元小春・田中志穂組が中国ホワン・ドンピン/リ・ウェンメイ組にストレートで敗れ、マレーシアオープン(SUPER750)に次いで、2週連続でベスト8に届かず大会を終えた
第2シードの福島由紀・廣田彩花、第5シードの高橋礼華・松友美佐紀、ノーシードの永原和可那・松本麻佑の3ペアは勝って、順当に準々決勝へ進んだ
このうち永原・松本組は、過去2戦負けなしと相性の良い第8シードのタイペア、ラウィンダ・プラジョンジャイ/ジョンコンパン・キッティハラクン組にストレート勝ち。この会場特有の風と音の「洗礼」を受けたことを認めながらも、勝てたことに安ど感を示した上で、「どの大会でもベスト8を最低限越えるべきハードルにしていく」と、この大会以降も見据え力強く語った
一方、開催国インドネシア期待の17歳、シッティ・ファディア・シルバ・ラマダンティを擁するジュニアのペアを相手に第1ゲームを落とした高橋・松友組。試合後、BadPaL の取材に対し、「いらないミスが多い。1点の大事さを再度認識しないと、ここではどんな相手に負けてもおかしくない」(高橋)と、厳しい表情を見せた
混合ダブルスでは、渡辺勇大・東野有紗組が、優勝した3月の全英オープンで破った第8シード、イングランドのクリス・アドコック/ガブリエル・アドコック組からまたも勝利を挙げ、これで負けなしの3連勝。大物食いぶりを発揮した
渡辺選手は試合後、BadPaL に対し、「リズムに乗せると怖い相手。今回は、審判や隣のコートの声援で(相手の集中力が切れ)助けられた。自分のプレーにはまだまだ満足していない」とコメント。東野選手は、第2ゲームを落として追いつかれた後、「ファイナルゲーム、コミュニケーションを取れて強気でいけたのがよかった。この(ファイナルゲームの)ような試合をこの先もできれば」と述べた
世界ランク上位ペアを倒すジャイアントキリング(大物食い)が続いているが、の問いには、「相手のランキングは意識していない。自分たちのプレーをするだけ」と淡々と返した
また、敗れはしたものの、もうひとつの日本ペア、小林優吾・松友美佐紀組は、優勝候補筆頭の第1シード、タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル組にあとわずかのところまで迫り(21-23,19-21)、とりわけ、目の肥えた地元のメディアを驚かせた
日本選手2回戦(5日)の結果
【男子シングルス】
桃田賢斗<21-14,21-15>アンソニー・シニスカ・ギンティン(インドネシア)
シー・ユーチ(中国、第3シード)<21-14,21-17>坂井一将
ブリス・レベルデス(フランス)<22-24,13-21>常山幹太(※リザーブ繰り上がり)
【女子シングルス】
山口茜(第2シード)<21-9.14-21,24-22>奥原希望
佐藤冴香<19-21,21-17,14-21>カースティ・ギルモア(スコットランド)
プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(インド、第3シード)<21-17,21-14>大堀彩
【男子ダブルス】
金子祐樹・井上拓斗(第7シード)<21-17,21-18>ティン・イスリヤネト/キッティサク・ナムダッシュ(タイ)
リャオ・ミンチュン/スー・チンヘン(台湾)<19-21,12-21,22-20>遠藤大由・渡辺勇大
【女子ダブルス】
福島由紀・廣田彩花(第2シード)<21-19,23-21>ビビアン・フー/ヤップ・チェンウェン(マレーシア)
米元小春・田中志穂(第4シード)<16-21,18-21>ホワン・ドンピン/リ・ウェンメイ(中国)
高橋礼華・松友美佐紀(第5シード)<17-21,21-12,21-11>シッティ・ファディア・シルバ・ラマダンティ/アガサ・イマヌエラ(インドネシア)
ラウィンダ・プラジョンジャイ/ジョンコンパン・キッティハラクン(タイ、第8シード)<14-21,18-21>永原和可那・松本麻佑
【混合ダブルス】
クリス・アドコック/ガブリエル・アドコック(イングランド、第8シード)<19-21,21-16,13-21>渡辺勇大・東野有紗
タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル(インドネシア、第1シード)<23-21,21-19>小林優吾・松友美佐紀
準々決勝(6日)の対戦カード
【男子シングルス】
ビクターアクセルセン(デンマーク、第1シード)対常山幹太(※リザーブ繰り上がり)
シー・ユーチ(中国、第3シード)対H.S.プラノイ(インド、第8シード)
桃田賢斗対トミー・スギアルト(インドネシア)
リー・チョンウェイ(マレーシア、第7シード)対カンタポン・ワンチャロン(タイ)
【女子シングルス】
タイ・ツーイン(台湾、第1シード)対カースティ・ギルモア(スコットランド)
プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(インド、第3シード)対ホー・ビンジャオ(中国、第8シード)
ラッチャノク・インタノン(タイ、第4シード)対ソン・ジヒョン(韓国、第7シード)
山口茜(第2シード)対チェン・ユーフェイ(中国、第5シード)
【男子ダブルス】
マルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ(インドネシア、第1シード)対マッズ・コンラド・ペターセン/マッズ・ピーラー・コルディング(デンマーク、第5シード)
ツァン・ナン/リュウ・チェン(中国、第3シード)対ムハンマド・リアン・アルディアント/ファジャル・アルフィアン(インドネシア)
金子祐樹・井上拓斗(第7シード)対ウラジミール・イワノフ/イワン・ソゾノフ(ロシア)
ハルディアント/ベリー・アングリアワン(インドネシア)対リャオ・ミンチュン/スー・チンヘン(台湾)
【女子ダブルス】
チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、第1シード)対シン・スンチャン/イ・ソヒ(韓国、第6シード)
永原和可那・松本麻佑対スー・ヤチン/ウ・ティジュン(台湾)
高橋礼華・松友美佐紀(第5シード)対ホワン・ドンピン/リ・ウェンメイ(中国)
福島由紀・廣田彩花(第2シード)対グレイシア・ポリー/アプリヤニ・ラハユ(インドネシア、第7シード)
【混合ダブルス】
タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル(インドネシア、第1シード)対ツェン・ナン/リ・インフェイ(中国、第5シード)
リッキー・カランダスワルディ/デビー・スサント(インドネシア)対ハフィズ・ファイザル/グロリア・エマヌエル・ウィジャジャ(インドネシア)
ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン(中国、第4シード)対渡辺勇大・東野有紗
ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン(中国、第2シード)対チャン・ペンスーン/ゴー・リュウイン(マレーシア)