Kento, Yuki/Sayaka reach top of Asia

アジア選手権決勝、日本勢は男子シングルスで桃田賢斗、女子ダブルスで福島由紀・廣田彩花組が勝ち、2冠を達成した。男子選手の優勝はシングルス、ダブルス通じて史上初

桃田は今大会ノーシードながら、2回戦以降、世界ランク1ケタのシード選手3人を連破して決勝に進んだ。対するは、リオデジャネイロ五輪金メダリストでアジア選手権2連覇を狙う中国チェン・ロン。過去4度の対戦では、桃田はチェン・ロンから1ゲームも取れていない

第1ゲーム、前日、リー・チョンウェイを初めて破った勢いそのままに桃田が前半9-2とリードを広げる。ほどなくチェン・ロンに追い上げられ、インターバルを挟んで12-14と逆転を許す。しかし桃田は崩れず、5連続得点を決め主導権を奪い返すと、そのまま21-17で振り切る

第2ゲーム、桃田は開始直後からリードを保ち、逆転の機会をうかがうチェン・ロンに2点を越える連続得点を許さない安定したプレーで中盤まで進む。次第に打つ手を失っていった前年覇者に焦りからかミスが続くようになると、14-13から一気に突き放して21-13。5度目の対戦でチェン・ロンから初勝利を挙げるとともに、1962年創設から半世紀を越えるアジア選手権の歴史の中で、日本の男子としては初めて金メダルを手にした

桃田選手は表彰式後の優勝記者会見で、これまで一度も勝ったことがなかった、自ら格上と認めるリーチョンウェイ、リンダン、チェンロンの3人のうち、チョンウェイとチェン・ロンの2人を1つの大会で破った意義を聞かれ、「価値あること」と答えた。ただ、この結果に満足することなく、さらに上を目指して精進する考えを明確にした。チョンウェイを破った準決勝の直後にも、かつていた世界2位に「戻す」のではなく、その上の世界1位を狙うと述べていた

BadPaL が、桃田選手にチョンウェイとチェン・ロンの位置付けを聞くと、「あこがれの選手だが、今は勝たなければいけない相手」との認識を示す。2人を比べた場合は、「チョンウェイの方が上」。そのチョンウェイに勝てたこともあり、「チェン・ロンとはラリーはできる」と自信を持っていたという。ただ、チェン・ロンのフィジカルの強さには一目置いており、「長い試合になってもメンタルで負けないように」との気持ちで試合に臨んだと説明。その上で、「ネット(際のショット)の感覚がよかった」ことを勝利の主因に挙げた

次は残る1人、リン・ダンを倒したいか、と問うと、「そういう意識は特にない」と答えた。代わりに、視線の先に置いているのは「五輪レース前に世界ランキングでいい位置につけること」。当面は、「年内に8シード(世界ランク8位内)を取る」を目標に進むという

桃田に初黒星を喫しアジア選手権のタイトルを失ったチェン・ロンは試合後、「逆転されプレッシャーのかかる場面でも、粘り強く戦術的にプレーしていた」と桃田を評した

日本のトップ2ペア、高橋礼華・松友美佐紀組、福島由紀・廣田彩花組による同国対決となった女子ダブルス決勝。最大の注目点は、高橋・松友組による、ダブルスでは前人未踏の3連覇達成なるか、にあった

しかし先制したのは福島・廣田組。オープニングゲームを終盤の逆転で21-17で取る。続く第2ゲームは、高橋・松友組が13-16の劣勢から逆転で奪い返し、試合はふりだしへ

迎えたファイナルゲームは、福島・廣田組が中盤以降抜けだし点差を広げていく。結局、最後まで攻撃の手を緩めなかった福島・廣田組が21-15で勝利し、「SUPER500(=SS相当)」以上の上位大会では、1年前のマレーシアオープンスーパーシリーズ(SS)プレミアに次ぐ、2勝目を挙げた

福島・廣田組は、2017年4月マレーシアオープンで上位大会初優勝を飾って以降、◆同年8月世界選手権◆12月SSファイナル◆18年3月全英オープン――と、決勝まで進みながら敗れ、準優勝が続いていた(※3月、1つ下位の大会ドイツオープンでは優勝)

福島・廣田組は表彰式後に BadPaL の取材に応じ、決勝について、「自分たちらしさを出し切れてよかった」(廣田)。「長い試合を勝てたのはうれしい」(福島)と、それぞれ笑顔でコメントした。今大会全体を総括してもらうと、厳しい試合はあったものの、「大きく崩れることがなかった」(福島)点を自己評価した。ただ、アジア選手権の優勝に特別の感慨があるか、聞くと、そろって「特には」と首をかしげ、通過点の1つととらえていることを印象づけた

福島・廣田組はこの日の勝利で、国際大会における高橋・松友組との通算対戦成績を3勝2敗とし、1つ勝ち越した

一方、敗れた高橋・松友組は、3連覇を達成できなかったのは残念、としながらも、すっきりした表情で取材に応じた

高橋選手は、「気持ちはつくって試合に入っているが、やはり自分の中で、(自分たちの主戦場と考える国際大会で)日本人相手だと気が緩み、余計なことを考えてしまう」と認め、決勝の反省点とした。それでも、自分たちのプレーを通して、「前向きな敗戦」と受け止めていると強調した

大会全体で見ると、とりわけ準々決勝で、世界のライバルペアの1つと目するインドネシアのグレイシア・ポリー/アプリヤニ・ラハユ組に勝って、「今年に入り3連勝。通算でも5戦負けなしとしたことは自信になる」と述べた

なお、中国勢が2006年以降10年連続でタイトルを独占していたこの種目、16年以降は日本勢の3連覇となっている

日本勢がタイトル獲得を目指したもうひと種目、男子ダブルスには園田啓悟・嘉村健士組が登場

2011年の平田典靖・橋本博且組<https://badpal.net/2011/04/24/hiratahashimoto-non-chinese-finalists/>、12年の早川賢一・遠藤大由組<https://badpal.net/2012/04/22/hayakawaendo-non-chinese-finalist-in-asia-championship/>に続く決勝進出で、この種目の日本勢初優勝を狙い、昨年準決勝で敗れたディフェンディングチャンピオン、中国リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ組に挑んだ

「自分たちのプレーができた」という第1ゲームを21-11と快勝するが、中国ペアが「戦略を変えた」と試合後明かした第2ゲーム以降、相手の攻撃に押される一方となり、結局、一度もリードを奪えぬまま完敗。2年連続の銅メダルから前進したものの、頂点には一歩届かなかった

園田・嘉村組は試合後、BadPaL に対し、「悔しい敗戦」としながらも、「今の調子からしたら、相手の変化に十分対応できずに、崩れてしまう」と率直に結果を受け止めた。ただ、「この大会で復調のきっかけはつかんだ」。「準決勝で、世界チャンピオンの中国ツァン・ナン/リュウ・チェン組に初めて勝てたことも自信になる」と指摘。ここから調子を上げて、よりコンスタントに自分たちのプレーを出せるようにしていきたい、と前を向いた

このほかの2種目、女子シングルスでは第1シードの台湾タイ・ツーインが、「ミスが多かった」としながら、中国チェン・ユーフェイを第1、第2ゲームともに終盤の逆転で降して、大会2連覇を達成した

タイ・ツーインはこの勝利で、アジア選手権のタイトル防衛とともに、4月19日、山口茜に明け渡した世界ランク1位の座を5月3日、2週ぶりに取り戻すことが確定した

混合ダブルスは、準決勝で優勝候補の一角、中国ツェン・シウェイ/ホワン・ドンピン組を一蹴した第1シード、インドネシアのタントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル組の優勝が確実とみられた。しかし、いざふたを開けてみると、第2シードの中国ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン組にあえなく敗退。2015年に次ぐ2度目のタイトル獲得を逃した

この結果、4種目で決勝に進んだ開催国の中国のタイトル獲得数は、日本と同じ2つ(男子ダブルス、混合ダブルス)となった

決勝の結果

【男子シングルス】チェン・ロン(中国、第3シード)<17-21,13-21>桃田賢斗

【女子シングルス】タイ・ツーイン(台湾、第1シード)<21-19,22-20>チェン・ユーフェイ(中国、第6シード)

【男子ダブルス】リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ(中国、第1シード)<11-21,21-10,21-13>園田啓悟・嘉村健士(第3シード)

【女子ダブルス】高橋礼華・松友美佐紀(第2シード)<18-21,21-18,15-21>福島由紀・廣田彩花(第3シード)

【混合ダブルス】タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル(インドネシア、第1シード)<17-21,17-21>ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン(中国、第2シード)

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各種目のメダリスト

【男子シングルス】

金メダル: 桃田賢斗(日本※初)

銀メダル: チェン・ロン(中国※前回覇者)

銅メダル: リー・チョンウェイ(マレーシア)、プラノイ・ハシーナ・スニルクマール(インド)

【女子シングルス】

金メダル: タイ・ツーイン(台湾※2年連続)

銀メダル: チェン・ユーフェイ(中国)

銅メダル: ソン・ジヒョン(韓国)、サイナ・ネワル(インド)

【男子ダブルス】

金メダル: リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ(中国※2年連続)

銀メダル: 園田啓悟・嘉村健士(日本※前回銅メダル)

銅メダル: ツァン・ナン/リュウ・チェン(中国)、ワン・イーリュ/ホワン・カイシアン(中国)

【女子ダブルス】

金メダル: 福島由紀・廣田彩花(日本※初)

銀メダル: 高橋礼華・松友美佐紀(日本※前回覇者)

銅メダル: リズキ・アメリア・プラディプタ/デラ・デスティアラ・ハリス(インドネシア)、キム・ソヨン/コン・ヒヨン(韓国)

【混合ダブルス】

金メダル: ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン(中国※初)

銀メダル: タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル(インドネシア)

銅メダル: ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン(中国)、ツァン・ナン/リ・インフェイ(中国)

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