
香港オープンSS準々決勝、女子2種目の日本選手が相次ぎ敗れた後、日本勢で最後に登場した男子ダブルスの園田啓悟・嘉村健士組が、前日、遠藤大由・渡辺勇大組を破った韓国ペアを封じ込め、韓国、デンマーク、フランス、中国と4大会続いていたSSベスト8の壁をようやく破った。同時に、日本のSS2大会連続準決勝進出なし、を防いだ
昼の部で、女子シングルスの山口茜、大堀彩両選手、女子ダブルスの高橋礼華・松友美佐紀組が相次いで姿を消した後、夜の部1番にコートに立った園田・嘉村組。「リードした場面での点の取られ方が悪かった」(嘉村)など、反省点を挙げながらも、「終始自分たちのリズムで、自分らしいプレーができた」(園田)と試合後、述べたように、強打のコ・ソンヒョン選手が若いチェ・ソルギュ選手を引っ張る韓国ペアを、きっちり抑え込んだ
先に、ほかの日本選手が全員敗れていたことの影響を聞いたところ、園田選手は「目の前の試合をやるだけ」と答え、惑わされることなく、集中していたことを説明した
9月のジャパンオープン以来のSS準決勝でぶつかるのは、第2シードの中国ホン・ウェイ/チャイ・ビアオ組。過去の対戦成績は、園田・嘉村組が4戦負けなし。それでも「意識せずにやりたい」(嘉村)と、静かに抱負を語った

女子シングルスの山口選手は、五輪/世界選手権チャンピオン、スペインのカロリナ・マリン選手と2勝2敗で迎えた5度目の対戦。第1ゲームは7-21と圧倒される。第2ゲームに入りようやくリズムをつかんだか、序盤リードする。しかし、6-3から6連続得点を決められ逆転を許すと、その後は追いついても追い抜けない状態で最後まで進み、大きな見せ場もつくれぬまま敗戦となった
山口選手は試合後、BadPaL に対し、「集中できていなかった」と敗因を語った。前日までの試合に比べスピードが急に上がったことのほか、相手のロングサービス、1点目のチャンス球をネットにかけてしまったこと、なども影響したといい、「得るものがなかった試合だった」と話した
リオ五輪後のSS6大会で、優勝2回、ベスト4が1回、ベスト8が3回という結果を残したことを自らどう評するか尋ねると、「結果としては評価できると思うが、全部良かったとも悪かったとも言えない。まだまだできる」ときっぱり答えた
日本の女子シングルス陣で唯一、出場資格を得た12月14~18日のSSファイナルに向けては、「今日のような、得るものがない試合にならないように。勝っても負けて3試合できる。何かを吸収できるかどうか、自分の内容次第」と語った

女子ダブルス第1シード、高橋・松友組の相手は、かつて日本選手キラーとして知られたバオ・イーシン選手が強打のユー・シャオハン選手と組む新たな中国ペア。ゆっくりとした展開から、時折速度を上げる相手のペースに付き合わされる形で本来のスムースな動きが見えないリオ五輪金メダリストはファイナルゲーム、14-15から突き放され敗れた
高橋、松友両選手は試合後、BadPaL の取材に応じ、「相手がやりにくいのもあるが、自分たちの形がガチャガチャ。いつものようなローテーションができなかった」(高橋)。「リズムに変化をつけられればよかったのだが」(松友)とコメントした
優勝したデンマークオープンSSプレミアの後、フランス、中国、香港のSS3大会でそれぞれ、チェン・チンチェン/ジア・イーファン組、ホワン・ドンピン/リ・インフェイ組、バオ・イーシン/ユー・シャオハン組と異なる3つの中国ペアに敗れる結果となった。来月に控えるSSファイナルに向けては、「ファイナルまで時間がないが、しっかりいい試合ができるようにしたい」(松友)。「昨年準決勝で負けているので、(初優勝した2014年に続いて)もう一度優勝できるようにがんばる」(高橋)と、意気込みを語った

日本から女子シングルス準々決勝に進んだもう1人、大堀選手は、優勝した10月タイマスターズグランプリ(GP)ゴールドをはさんで、9月韓国オープン、11月チャイナオープンと出場したSS2大会で続けて敗れている台湾タイ・ツーイン選手とまたしても対峙。世界ランク3位に浮上したタイ選手に抑え込まれて、今年最後の国際大会をベスト8で終えた
大堀選手は BadPaL に対し、「試合をする回数が増えるごとに良くなっているという感じはなく、毎回同じようにやられている。100%の状態でやっても勝てるかどうか」と述べ、長く世界ランク1ケタにいるタイ選手と現在の自分の実力差を潔く認めた
この後すぐ東京で全日本総合選手権が開催されるが、連戦による疲れに不安はないか問うと、「今回、遠征のため富山を出た時から、中国、香港、全日本総合と3週間続くイメージを持っていた」と説明した。その上で、「今の自分にとっては全日本総合が一番大事」と強調。国際大会から国内大会へ切り替えるというより、中国、香港と回った遠征の一環として全日本総合に乗り込み、優勝を目指す考えを示した

女子シングルスでは、地元香港のチュン・ガンイ選手がインドのサイナ・ネワル選手との接戦をファイナルゲーム21-19で振り切って勝利。この日、同じインドのプサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ選手が勝ったため、SSファイナル女子シングルスの最後の1枠(8人目)には、シンドゥ選手が滑り込んだ

SSファイナル男子シングルスの出場資格争いに絡む香港の2人、フ・ユン選手とウォン・ウィンキ選手のうち、フ・ユン選手はこの日も勝利。準決勝のウン・カロン選手との同国対決に勝って決勝に進めば、その時点で、SSランキングでマレーシアのリー・チョンウェイ選手を抜いて、ドバイ行きの切符を得る
準々決勝の結果
【男子シングルス】
サミール・ヴェルマ(インド、世界43位※予選繰り上がり)〈21-17,23-21〉チョン・ウェイフェン(世界53位※予選繰り上がり)
ヤン・ヨルゲンセン(デンマーク、世界3位)〈21-19,21-17〉ウォン・ウィンキ(香港、世界18位)
フ・ユン(香港、世界17位)〈22-20,21-12〉ソニー・ドゥイ・クンチョロ(インドネシア、世界33位)
ウン・カロン(香港、世界14位)〈21-15,21-14〉アジャイ・ジャヤラム(インド、世界19位)
【女子シングルス】
カロリナ・マリン(スペイン、世界1位)〈21-7,21-18〉山口茜(世界8位)
タイ・ツーイン(台湾、世界3位)〈21-9,21-14〉大堀彩(世界22位)
サイナ・ネワル(インド、世界11位)〈8-21,21-18,19-21〉チュン・ガンイ(香港、世界26位)
プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(インド、世界9位)〈21-17,21-23,21-18〉リャン・シャオユ(シンガポール、世界32位)
【男子ダブルス】
ゴー・ウェイシェム/タン・ウィーキョン(マレーシア、世界1位)〈11-21,21-17,17-21〉モハンマド・アーサン/ライアン・アグン・サプトロ(インドネシア、世界333位)
マシアス・ボー/カールステン・モゲンセン(デンマーク、世界2位)〈21-14,18-21,21-13〉オン・ユーシン/テオ・イーイ(マレーシア、世界29位※予選勝ち上がり)
園田啓悟・嘉村健士(世界10位)〈21-18,21-10〉コ・ソンヒョン/チェ・ソルギュ(韓国、世界211位)
ホン・ウェイ/チャイ・ビアオ(中国、世界3位)〈21-17,21-13〉リー・チュンヘイ/ロウ・チュクヒム(香港、世界210位※予選勝ち上がり)
【女子ダブルス】
高橋礼華・松友美佐紀(世界1位)〈17-21,21-14,15-21〉バオ・イーシン/ユー・シャオハン(中国、世界ランクなし)
クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール(デンマーク、世界3位)〈19-21,21-16,21-18〉ラウィンダ・プラジョンジャイ/ジョンコンパン・キッティハラクン(タイ、世界13位)
チャン・イエナ/イ・ソヒ(韓国、世界6位)〈19-21,13-21〉チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、世界9位)
チョン・ギョンウン/シン・スンチャン(韓国、世界2位)〈21-8,16-21,17-21〉ホワン・ドンピン/リ・インフェイ(中国、世界40位)
【混合ダブルス】
クリス・アドコック/ガブリエル・アドコック(イングランド、世界8位)〈19-21,20-22〉タン・チュンマン/ツェ・インシュー(香港、世界71位)
タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル(インドネシア、世界3位)〈21-13,21-14〉リュウ・チェン/リ・インフェイ(中国、世界ランクなし)
ツァン・ナン/ホワン・ドンピン(中国、世界ランクなし)〈19-21,21-14,19-21〉チェ・ソルギュ/チェ・ユジョン(韓国、世界69位※予選勝ち上がり)
プラビーン・ジョーダン/デビー・スサント(インドネシア、世界5位)〈17-21,22-20,21-14〉リー・チュンヘイ/チャウ・ホイワー(香港、世界12位)
準決勝の対戦カード
【男子シングルス】
ヤン・ヨルゲンセン(デンマーク、世界3位)対サミール・ヴェルマ(インド、世界43位※予選繰り上がり)
フ・ユン(香港、世界17位)対ウン・カロン(香港、世界14位)
【女子シングルス】
カロリナ・マリン(スペイン、世界1位)対タイ・ツーイン(台湾、世界3位)
プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(インド、世界9位)対チュン・ガンイ(香港、世界26位)
【男子ダブルス】
マシアス・ボー/カールステン・モゲンセン(デンマーク、世界2位)対モハンマド・アーサン/ライアン・アグン・サプトロ(インドネネシア、世界333位)
ホン・ウェイ/チャイ・ビアオ(中国、世界3位)対園田啓悟・嘉村健士(世界10位)
【女子ダブルス】
クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール(デンマーク、世界3位)対バオ・イーシン/ユー・シャオハン(中国、世界ランクなし)
チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、世界9位)対ホワン・ドンピン/リ・インフェイ(中国、世界40位)
【混合ダブルス】
タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル(インドネシア、世界3位)対タン・チュンマン/ツェ・インシュー(香港、世界71位)
プラビーン・ジョーダン/デビー・スサント(インドネシア、世界5位)対チェ・ソルギュ/チェ・ユジョン(韓国、世界69位※予選勝ち上がり)