インドネシアマスターズグランプリ(GP)ゴールドが6~11日、東カリマンタン州バリクパパンで行われ、男子シングルスで中国シー・ユーチ選手がシニア大会初優勝を果たした。女子シングルスではタイのブサナン・ウンバンルンパン選手がGPゴールド2勝目。東京五輪でのメダル獲得を目指す1996年生まれの2人は、ジュニア時代に争った同年生まれの日本勢にシニアの実績で差をつけた

20歳のシー選手は現在、世界ランク41位。チェン・ロン(同2位、27歳)、リン・ダン(3位、32歳)、ティエン・ホウウェイ(6位、24歳)、ワン・ツェンミン(18位、26歳)、チアオ・ビン(40位、23歳)に次ぐ中国6番手につける
ジュニア時代は◆12年アジアジュニアベスト32◆13年アジアジュニアベスト8◆13年世界ジュニアベスト16◆14年アジアジュニア金メダル◆14年世界ジュニア銀メダル――と結果を残し、最後に14年南京ユース五輪で金メダルを獲得して、シニアへと進んだ
シニアの大会ではこれまで結果(優勝)が出ていなかったが、今回、ジュニア時代に活躍した各国・地域の若手が実力を試される舞台と位置づけられるGPゴールドのタイトルを手にしたことで、ここから先、GPゴールド以上の大会への出場機会が増え、徐々に世界上位に食い込んでいくと予想される

日本男子シングルスの96年生まれは、佐々木翔選手が現役を引退したことで世界ランクで日本1番手の座についた常山幹太選手。シー選手とはジュニア時代からライバルで、2014年アジアジュニアでは決勝を戦い、第1ゲームを先取しながら逆転負けを喫して、田児賢一(06年)、桃田賢斗(12年)に次ぐ、この種目日本人3人目となるアジアジュニアチャンピオンの称号を逃している。シニアの大会に戦いの場を移してからは今年4月、フィンランドで下位大会インターナショナルチャレンジの優勝実績はあるが、GPゴールドでは同7月USオープンの準優勝が最高で、シー選手に一歩先を越される格好となった
同じ96年生まれには、インドネシア5番手のアンソニー・シニスカ・ギンティン選手もいる。15年香港オープン、16年オーストラリアンオープンと、GPゴールドより上位のスーパーシリーズ(SS)で2度のベスト4入り。男子国・地域別対抗戦トマス杯では主力メンバーに選ばれるなど、こちらもシニア大会の経験、実績の両面で常山選手より前を走っている

女子シングルスを制したタイ3番手のブサナン選手も96年生まれの1人。今回、通算6度目のGPゴールド決勝進出で、2012年マレーシアマスターズに続く2勝目を挙げた。リオ五輪出場にはわずかに届かなかったが、そのプレーには年々力強さと安定感が増してきており、東京五輪でメダルに絡む潜在力を持つ強豪だ
ジュニア時代は、世界ジュニア3連覇(2009~11年)の快挙を遂げたラッチャノク・インタノン選手に続くタイの若き後継者として期待が高かった。しかし、◆12年アジアジュニア銅メダル(※インドのプサルラ・ヴェンカタ・シンドゥに敗退)◆12年世界ジュニアベスト8(※大堀彩に敗退)◆13年アジアジュニア銀メダル(※大堀彩に敗退)◆13年世界ジュニア銅メダル(※山口茜に敗退)◆14年アジアジュニア銅メダル(※山口茜に敗退)◆14年世界ジュニアベスト8(※中国ホー・ビンジャオに敗退)◆14年ユース五輪銅メダル(※中国ホー・ビンジャオに敗退)――。12年と14年の世界ジュニアを除き、勝ち上がりの途中、それぞれの大会の優勝者にぶつかり敗れ、無冠に終わった

日本女子シングルス陣の中で96年生まれは大堀彩選手。千葉開催の2012年世界ジュニア準々決勝で第2シードだったブサナン選手を破って銅メダル。13年アジアジュニアでは決勝で再びブサナン選手を下し、日本女子史上初の優勝を成し遂げた。世界ジュニアは優勝こそなかったが、12年銅メダル(優勝:奥原希望※95年生まれ)、13年銀メダル(優勝:山口茜※97年生まれ)、14年銅メダル(優勝:山口茜)とコンスタントな成績を収めた。ただ、シニアの大会ではこれまで、GPの2勝(13、14年ロシアオープン)どまり。GPゴールドでは16年ニュージーランドオープンの準優勝が最高で、GPゴールド2勝のブサナン選手とは立ち位置が逆転している
今大会ではもう1人、ペア組み替えで36歳のベテラン、ワヒュ・ナヤカ・アルヤ・パンカルヤニラ選手を新たなパートナーとして優勝した男子ダブルスのケビン・サンジャヤ・スカムルジョ選手が96年生まれ。ジュニア時代には、2013年アジアジュニア男子ダブルス銅メダル、13年世界ジュニア混合ダブルス銀メダルと実績を残した若手実力者で、今後誰と組むにせよ、4年後の東京五輪に向けインドネシアダブルス陣の中核を担っていくことになりそう
決勝の結果
【男子シングルス】 シー・ユーチ(中国、世界41位)〈21-12,11-0棄権〉ホワン・ユーシアン(中国、世界44位)
【女子シングルス】 ブサナン・ウンバンルンパン(タイ、世界18位)〈21-15,21-13〉ゴー・ジンウェイ(マレーシア、世界50位)
【男子ダブルス】 ワヒュ・ナヤカ・アルヤ・パンカルヤニラ/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ(インドネシア、世界ランクなし※組み替え)〈21-16,21-18〉ツォウ・ハオドン/ハン・チェンカイ(中国、世界135位)
【女子ダブルス】 ラウィンダ・プラジョンジャイ/ジョンコンパン・キッティハラクン(タイ、世界21位)〈18-21,20-22〉キム・ソヨン/チェ・ユジョン(韓国、世界23位)
【混合ダブルス】 ロナルド・アレキサンダー/メラティ・ダエバ・オクタビアンティ(インドネシア、世界19位)〈21-16,21-17〉タン・キアンメン/ライ・ペイジン(マレーシア、世界24位)