Another challenge for Tokyo ~Para world champs from Denmark and Japan

ブラジル・リオデジャネイロで現地時間の7日、五輪から1カ月遅れでパラリンピックが開幕した。今回、リオでは実施されないが、4年後の東京で初めて正式種目になるパラバドミントン競技について、BadPaL が昨年来取材した東西の世界選手権覇者2人の話とともに紹介する

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2015 Para-Badminton World championships ~photo courtesy of Julie THRANE

2015年9月、イングランド・ストークマンデビルで開催されたパラバドミントン世界選手権で立位上肢障害クラス(SU5)女子シングルスを制したデンマークのユリー・トレン選手は1995年生まれの21歳

最初に出会ったのは、2014年10月のデンマークオープンスーパーシリーズ(SS)プレミア。ホストを務めるデンマーク第3の都市オーデンセを生活の拠点とするトレン選手はこの時、海外から訪れた選手や関係者の送迎などを手伝うボランティアの1人として大会に携わっていた。運転手も務めてくれた当時19歳の彼女に、国際パラリンピック委員会(IPC)が同月初め、バドミントンを東京パラリンピックの正式種目に採用すると発表した話をふると、関心を示しながらもこの時は、「学業との両立も難しく、それ(2020年)まで競技を続けていけるか分からない」と答え、冴えない表情を見せていた

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Reigning World champ, Julie THRANE of Denmark

ところが翌15年10月のデンマークオープンでは、前月に行われた世界選手権で優勝したことで、ボランティアではなくゲストコメンテーターとして大会に招かれるなど、置かれた状況は一変していた。単独取材を依頼すると快く応じてくれ、「世界チャンピオンになれたことで、スポンサーの獲得に動ける」と自信にあふれた笑顔を見せた。その上で、1年前とは異なり、「2020年東京(パラリンピック)を目指す」と明言した

ただ、この後の予定を聞くと、「欧州では出場すべきパラバドミントンの大会があまりない」と現状を吐露。とりあえず、欧州選手権(2016年)と次の世界選手権(17年)を目標にする考えを示した。トレン選手は、「練習で同じパラの選手とシャトルを打ち合う機会はめったになく、ほぼ試合の時だけ」と説明している

◆トレン選手の2015年世界選手権・英国大会結果

【一次リーグ第1戦】 ユリー・トレン(デンマーク、第3シード)〈21-13,21-11〉ミーガン・ホーランダー(オランダ)

【一次リーグ第2戦】 ユリー・トレン(デンマーク、第3シード)〈21-16,21-10〉ノリザー・ラヒム(マレーシア)

【準々決勝】 ユリー・トレン(デンマーク、第3シード)〈21-8,21-8〉アビゲイル・ルイズ・リチャーズ(イングランド)

【準決勝】 ユリー・トレン(デンマーク、第3シード)〈22-20,21-13〉シントヤ・オリベイラ(ブラジル)

【決勝】 豊田まみ子(ヨネックス、第1シード)〈19-21,21-10,17-21〉ユリー・トレン(デンマーク、第3シード)

トレン選手はこの大会、女子シングルスの金メダルのほか、クラス(障害)の異なるインドのパルマル・パルル・ダルスクバイ選手と組んだ女子ダブルスで銀メダル、イングランドのダニエル・べセル選手と組んだ混合ダブルスで銅メダルを、それぞれ手にしている

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Former World champ, Mamiko TOYODA of Japan

一方、前回、2013年ドイツ・ドルトムント開催の世界選手権を制したのは、豊田まみ子選手(24)。連覇のかかった15年は、ライバルで日本チームの先輩でもある杉野明子選手がアキレス腱断裂の大ケガを負い途中棄権したこともあり集中を欠き、決勝でトレン選手に敗れ準優勝に終わった。それでも女子シングルスで銀、女子ダブルスで銅と、2つのメダルを持ち帰った

高校2年の時からパラ大会への出場を始め、今では世界チャンピオンの肩書も持つ豊田選手だが、2015年から所属するヨネックスの本社で BadPaL の取材に応じ、世界選手権の優勝者が最強ではなく、「もっと強い選手がいくらでもいる」と明かした。とりわけ、パラバドミントンにおいても中国勢は強豪で、「彼らが出場してくる中国開催のアジア選手権やアジア大会の方が勝つのは難しい」との認識を示す。さらに、日本国内にもまだ勝ったことがない相手がいると話す

豊田選手は日ごろ、実業団ヨネックスチームのメンバーと一緒に練習している。会場やスパーリングパートナーを含む練習環境を作り出すのに苦慮している選手も少なくない状況に照らせば、恵まれている。しかし、日本リーグ一部でプレーするトップ選手との競技レベルの違いや、パラバドミントン選手への指導実績のあるコーチの不在といった難しさもあると認める。その上で、パラバドミントンで勝っていくため、独特なフォーム、配球や球出しに癖のあるパラ選手との練習も増やしたいとし、パラの選手が一堂に会する強化合宿や練習会などの機会拡大に期待を示す。一方、「パラのスポーツと言えば障害者のリハビリの延長と思われてしまうところがあるが、競技性の高いスポーツであることを見て知ってもらいたい」と強調。競技の促進に意欲を見せ、自らも積極的にPRしていく考えを示している

◆豊田選手の2013年世界選手権・ドイツ大会結果

【一次リーグ第1戦】 豊田まみ子(筑紫女学園大、第1シード)〈21-3,21-4〉トゥラシマトヒ・ムルゲサン(インド)

【一次リーグ第2戦】 豊田まみ子(筑紫女学園大、第1シード)〈21-10,21-7〉ゼフラ・バーラル(トルコ)

【準決勝】 豊田まみ子(筑紫女学園大、第1シード)〈21-8,17-8棄権〉ユリー・トレン(デンマーク、第2シード)

【決勝】 豊田まみ子(筑紫女学園大、第1シード)〈11-21,21-14,25-23〉杉野明子(ヤフー)

 

パラバドミントン2016年のシーズンはここまで、5月にトルコ、6月にアイルランド、8月にインドネシアでの大会を終えた。このうち、アイルランド大会の立位上肢障害クラス(SU5)では出場5人の総当たり戦となり、東京パラリンピック出場を視野に現役復帰を果たした鈴木亜弥子選手(七十七銀行)が、前世界チャンピオンの豊田選手(第2シード)と現世界チャンピオンのトレン選手(第1シード)を抑えて優勝した。鈴木選手は続くインドネシア大会でも、豊田、トレン両選手不在の中、勝利を収め、世界ランクを4位まで引き上げてきた

この後、トレン選手はオランダで行われる欧州選手権(10月27~30日)、豊田選手は中国・北京が会場となるアジア選手権(11月22~27日)が、それぞれ今シーズン最後の国際大会となる予定。来年以降は、主要大会である17年世界選手権(開催地16年内決定)、18年アジア大会(インドネシア・ジャカルタ)、19年世界選手権(東京開催予定)などを経て、20年の東京パラリンピックを迎える運び

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世界バドミントン連盟(BWF)の現行規定では、パラバドミントンの出場資格は◆車いす◆立位◆低身長――の3つのカテゴリーに大別され、さらにそこから障害の度合いによって6つのクラスに細分化。これに基づき国際大会が実施されている。ただ、パラリンピックで出場の対象となる障害の種類、クラス分けなどはまだ決まっていない、

クラス別の最新(8月22日時点)の世界ランク上位4選手は以下の通り。なお、ダブルスは、クラスの枠を越えてペアを組む場合がある(WH1~WH2、SL3~SU5)のでここでは省略。シングルスのみとする

①車いすクラス1(WH1=両方の下肢と体幹に機能障害)

【男子】〈1位〉トマス・ワンシュナイダー(ドイツ)〈2位〉イ・サムソプ(韓国)〈3位〉デビッド・トープ(フランス)〈4位〉コナー・ドゥア・ハーパー(イングランド)

【女子】〈1位〉カリン・スッター・エラス(スイス)〈2位〉ワン・ピン(中国)〈3位〉ソン・オクチャ(韓国)〈4位〉ヴァレスカ・クノーブラウホ(ドイツ)

②車いすクラス2(WH2=片方または両方の下肢に機能障害。体幹には機能障害なし、もしくは軽微)

【男子】〈1位〉キム・チョンジュ(韓国)〈2位〉キム・キョンフン(韓国)〈3位〉チャン・ホユエン(香港)〈4位〉マズラン・サイボン(マレーシア)

【女子】〈1位〉ウェットウィトハン・アムノウィ(タイ)〈2位〉エミン・セチキン(トルコ)〈3位〉イ・スンエ(韓国)〈4位〉ナリン・ユリク(トルコ)

③立位下肢障害クラス1(SL3=片方または両方の下肢に機能障害。歩行・走行時のバランス障害)

【男子】〈1位〉ダニエル・べセル(イングランド)〈2位〉サルカル・マノジ(インド)〈3位〉バーガト・プラモド(インド)〈4位〉シモン・クルス・モンデハル(スペイン)

【女子】〈1位〉パルマル・パルル・ダルスクバイ(インド)〈2位〉カムタム・ワンナパトディー(タイ)〈3位〉カタジナ・ジービク(ポーランド)〈4位〉パンヤチャエム・パラミー(タイ)

④立位下肢障害クラス2(SL4=SL3より機能障害が軽微なもの)

【男子】〈1位〉リュカ・マズール(フランス)〈2位〉タルン・タルン(インド)〈3位〉バクリ・オマール(マレーシア)〈4位〉フレディ・セティアワン(インドネシア)

【女子】〈1位〉ヘル・ソフィ・サゴイ(ノルウェー)〈2位〉フォスティーヌ・ノエル(フランス)〈3位〉チェン・ヘファン(中国)〈4位〉カトリン・シーベルト(ドイツ)

⑤立位上肢障害クラス(SU5=上肢に機能障害)

【男子】〈1位〉チェア・リックホウ(マレーシア)〈2位〉バルトゥオミエイ・ムロス(ポーランド)〈3位〉イルケル・トゥズジュ(トルコ)〈4位〉プトラ・オディ・クルニア・ドゥイ・リスティアント(インドネシア)

【女子】〈1位〉ユリー・トレン(デンマーク)〈2位〉豊田まみ子〈3位〉スン・ショウチュン(中国)〈4位〉鈴木亜弥子

⑥低身長クラス(SS6=小人症と称される、遺伝子状態に起因して低身長をきたすもの)

【男子】〈1位〉ディディン・タレソー(マレーシア)〈2位〉アンドリュー・マーティン(イングランド)〈3位〉クリステン・クームス(イングランド)〈4位〉ナイル・マクヴェイン(アイルランド)

【女子】〈1位〉レイチェル・チューン(イングランド)〈2位〉レベッカ・ベッドフォード(イングランド)〈3位タイ〉マリア・バルトゥス(ポーランド)〈3位タイ〉ランディカ・ドリン(スリランカ)

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