リオ五輪バドミントン最終日、男子シングルスの決勝が行われ、3連覇を狙った宿敵リン・ダン選手を倒し悲願達成にあと一勝と迫ったマレーシアのリー・チョンウェイ選手は、中国チェン・ロン選手に敗れ、3大会連続で銀メダルに終わった。また、銅メダルはデンマークのビクター・アクセルセン選手が手にし、ようやく、この種目の世代交代が進んだ

27歳のチェン・ロン選手は、リオ五輪に照準を合わせた準備がしっかりできていた。五輪前は5月の男子国地域別対抗戦トマス杯で、プレッシャーから韓国戦ソン・ワンホ選手に敗北。チームもメダルなしの惨敗に終わり、エースの役割を果たせなかったことで、その実力を疑問視する声が上がった。チョンウェイ選手に対しても、昨年8月の世界選手権で勝利した後、4連敗と精彩を欠いていた
しかしこの日の試合では、チョンウェイ選手の繰り出すショットにことごとく対応した。第1ゲームは前半7-11と先行されるが、13-13で追いつき逆転して21-18。第2ゲームも5-8のビハインドから6連続得点で11-5とひっくり返して折り返すと、リードを保ったまま20-16と4つのマッチポイントを握る。2つ凌がれるが、最後はチョンウェイ選手の放ったショットがアウトとなり、21-18で勝利。準決勝で敗れた前回ロンドンのリベンジを果たし、初の五輪金メダルを手にした
チェン・ロン選手は試合後、世界選手権は既に勝っていた(2014、15年)が、4年に一度の五輪で勝つのはまったく別で最高の気分。トマス杯敗戦を受け、約2ヵ月間行われたトレーニングの成果を強調。前日の男子ダブルス(フー・ハイファン/ツァン・ナン組)の優勝にも力付けられた、と語った。ただ、ストレート勝ちに終わったが、厳しい試合だったとし、最後まであきらめない6つ年上のチョンウェイ選手に対する敬意と感謝を口にした
一方、チョンウェイ選手はマレーシアのメディアに対し、ベストを尽くしたが、チェン・ロン選手の方が良いプレーをしたと認めた上で、金メダル獲得を期待してくれた国民に謝罪したいとコメントした。今後について尋ねられると、来年8月の世界選手権まではプレーを続けるとしたが、4年後の東京五輪を狙う可能性は否定した
決勝に先立ち行われた3位決定戦では、22歳のアクセルセン選手が第1ゲームを失いながら、続く2ゲームを奪い返して32歳リン・ダン選手に競り勝ち、初めての五輪出場で銅メダルを手にした。次の東京五輪への抱負を聞かれると、もちろん金メダルを取りたいが、まだ先の話。それまでに数多くの大会があると答えた。なお、男子シングルスでのデンマーク選手のメダル獲得は、1996年アトランタで現在世界バドミントン連盟(BWF)会長を務めるポール・エリック・ホイヤー氏が取った金メダル以来、20年ぶり3つ目



10日日(20日)の結果
◆男子シングルス3位決定戦
リン・ダン(中国、第3シード)〈21-15,10-21,17-21〉ビクター・アクセルセン(デンマーク、第4シード)
◆男子シングルス決勝★
リー・チョンウェイ(マレーシア、第1シード)〈18-21,18-21〉チェン・ロン(中国、第2シード)
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各種目のメダリスト
【男子シングルス】

金メダル : チェン・ロン(中国、第2シード※初、前回銅)
銀メダル : リー・チョンウェイ(マレーシア、第1シード※3大会連続)
銅メダル : ビクター・アクセルセン(デンマーク、第4シード)
【女子シングルス】

金メダル : カロリナ・マリン(スペイン、第1シード※初)
銀メダル : プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(インド、第9シード)
銅メダル : 奥原希望(第6シード)
【男子ダブルス】

金メダル : フー・ハイファン/ツァン・ナン(中国、第4シード※フー選手は2大会連続)
銀メダル : ゴー・ウェイシェム/タン・ウィーキョン(マレーシア)
銅メダル : クリス・ラングリッジ/マーカス・エリス(英国)
【女子ダブルス】

金メダル : 高橋礼華・松友美佐紀(第1シード※初)
銀メダル : クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール(デンマーク)
銅メダル : チョン・ギョンウン/シン・スンチャン(韓国、第4シード)
【混合ダブルス】

金メダル : タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル(インドネシア、第3シード※初)
銀メダル : チャン・ペンスーン/ゴー・リュウイン(マレーシア)
銅メダル : ツァン・ナン/ツァオ・ユンレイ(中国、第1シード※前回金)