
マレーシアオープンSSプレミア、準決勝に進んだ日本勢、シングルス1人、ダブルス3組のうち、決勝への切符を手にしたのは、昨年に続いて高橋礼華・松友美佐紀組のみ
前田美順・垣岩令佳組との1時間半に及ぶ、文字通り打ち合いを制しての勝利だった。高橋・松友組は BadPaL に対し、どちらに転んでもおかしくない試合に勝利できた大切な要因の1つとして、試合前のコート選びをあげた
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互いによく知る日本ペア同士の対戦は、第1ゲームから1点を取り合う接戦となる。先にゲームポイントを握ったのは前田・垣岩組だったが、高橋・松友組が追い付き、その後、逆に合わせて3つのゲームポイントを得る。しかし、それらをすべて凌いだ前田・垣岩組が25-23でこのゲームを先取する。続く第2ゲームは、第1ゲームの疲れからか、動きの落ちた前田・垣岩組を高橋・松友組が圧倒し、21-15で取り返す。迎えたファイナルゲームでは前田・ 垣岩組が盛り返し、再び競り合いに持ち込むが、ペアとしての経験と実績で上回る高橋・松友組が9-9から抜け出すと、前田・垣岩組はついていけず、21-13でゲームオーバー。高橋・松友組がマレーシアオープンで2年連続となる決勝進出を決めた
高橋、松友両選手は試合後、BadPaL の取材に応じ、「長い試合になることは予想していた。第1ゲームを取れたらよかったが落としてしまった。ただ結果的に、あれが相手の体力を消耗させたと思う」と述べた。また、勝敗を決したファイナルゲームについて、「後半に入ったコートの方がスマッシュが走り、逆のコートはレシーブが難しい。試合開始前、ファイナルまでもつれることを見越して(戦略的に)コートを選んだことが奏功した」と説明した。内容的には、相手の形で試合をしてしまい満足できていない部分もあるというが、「最後まで切れずに打ち続けられ、レシーブも安定してやり抜いた」ことへの評価を口にした
2年連続で立つ決勝に臨む気持ちを尋ねると、高橋選手は「昨年は雰囲気にのまれて自分たちらしさが出せなかった。今年は勝つに越したことはないが、それよりも自分たちらしいプレーをする」。松友選手は「勝ち負けは別にして、何かを得て終われるようにしたい」と述べた

悲願のSS初優勝に向け順当に勝ち上がってきた男子ダブルスの早川賢一・遠藤大由組は、準々決勝までに世界ランク上位のシードペアがすべて姿を消すという追い風が吹く中、準決勝のコートに立った。しかしこの日は、長身の中国ペアに序盤から主導権を握られてしまう。得意のラリーでも上から攻め込まれる場面が多く、第1、第2ゲームとも流れを押し戻すことができないまま完敗した
遠藤選手は試合後、BadPaL に対し、「パワーとドライブで敵わない相手にはショットのクオリティで勝負しなければならないが、そこがだめだった」と指摘。2週連続でSS準決勝進出となったことによる疲れは理由とせず、「単純に敗れた」と認めた。早川選手は「サーブから3球目を先に沈められてしまった。第1ゲーム序盤、隣のコートで行われていた地元マレーシア選手への歓声が大きく、集中を妨げられたが、相手も同じ条件なので」と敗戦を振り返った。今大会ベスト4という結果については、遠藤選手は「この敗戦で評価なし」。早川選手は「年初に2人でSS優勝を狙っていくと話しているので、ベスト4は悔しい」と述べ、ともに満足しなかった
第6シードの早川・遠藤組が敗れたことで、世界ランク1位のヘンドラ・セティアワン/モハンマド・アーサン組をはじめとするシードペアが連日敗れる波乱が続いた男子ダブルスの決勝は、ノーシード同士の顔合わせとなった。なお、1回戦負けを喫した第7シード、開催国マレーシアのクー・ケンケット/タン・ブンヒョン組のペア解消が、この日行われたマレーシアバドミントン協会(BAM)の会議で決まった。若手と組んでナショナルチームに残るか、それともこのままナショナルチームを去るか、最終決定は後日正式発表される

男子シングルスの田児賢一選手は、前月、別の会場ながら同じマレーシア・クアラルンプールで開催された昨シーズンを締めくくるSSファイナルで、2連敗を喫したインドネシアのトミー・スギアルト選手と対戦。第1ゲームは中盤まで競り合うも、終盤、ショットの精度に差が出てスギアルト選手に軍配。第2ゲームは田児選手が主導権を握り、前半10-3と点差を広げ、後半も16-12までリードを保つ。しかしここからスマッシュをネットにかけるなどのミスが増え、安定感のあるプレーを続けるスギアルト選手に連続得点で逆転を許すと、そのまま18-21と振り切られ敗退。SSファイナルのリベンジに失敗すると同時に、決勝進出を逃した
田児選手は BadPaL に対し、「(今回の負けは)自分の問題。試合直後で、何が悪かったのかまだ分からない。疲れはあった」と述べ、控室に消えた。準決勝で世界1位のリー・チョンウェイ選手から初勝利を上げながら、決勝で同3位(現在)のヤン・ヨルゲンセン選手に敗れSS初優勝を逃した昨年のフレンチオープンに続いて、世界2位のチェン・ロン選手に勝った後、同4位のスギアルト選手に屈し、世界のトップ選手2人を2日続けて倒すことの難しさを味わう結果となった。一方、勝ったスギアルト選手は、BadPaL の質問に答え、「田児選手のプレーはSSファイナルの時より良かった。ただ自分の放ったショットが顔に当たって感情的になり変わった。友人なのでこちらも気分が良くなく謝ったが、あれがなければもっと厳しい試合になっていたと思う」とコメントした

男子シングルスもう1つの山からは、前日、桃田賢斗選手の挑戦を退けたデンマークのヤン・ヨルゲンセン選手が、足の故障で準決勝を第2ゲーム序盤で棄権したことから、自国開催のこの大会で通算10回目の優勝を目指す第1シード、リー・チョンウェイ選手が労せず勝ち上がった
準決勝の結果
【男子シングルス】
リー・チョンウェイ(マレーシア、世界1位)〈21-13,3-0棄権〉ヤン・ヨルゲンセン(デンマーク、世界3位)
トミー・スギアルト(インドネシア、世界4位)〈21-13,21-18〉田児賢一(世界5位)
【女子シングルス】
リ・シュエリ(中国、世界1位)〈21-17,21-8〉ヤオ・シュエ(中国、世界25位)
ワン・シーシャン(中国、世界4位)〈21-9,21-16〉ベ・ヨンジュ(韓国、世界7位)
【男子ダブルス】
早川賢一・遠藤大由(世界5位)〈12-21,12-21〉ホン・ウェイ/チャイ・ビアオ(中国、世界20位)
ライアン・アグン・サプトラ/アンガ・プラタマ(インドネシア、世界11位)〈25-23,13-21,20-22〉リム・キムワー/ゴー・ウェイシェム(マレーシア、世界17位)
【女子ダブルス】
高橋礼華・松友美佐紀(世界4位)〈23-25,21-15,21-13〉前田美順・垣岩令佳(世界8位)
クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール(デンマーク、世界2位)〈13-21,11-21〉タン・ジンフア/バオ・イーシン(中国、世界11位)
【混合ダブルス】
ツァン・ナン/ツァオ・ユンレイ(中国、世界1位)〈10-21,12-21〉ヨアキム・フィッシャー・ニールセ ン/クリスティナ・ペダーセン(デンマーク、世界4位)
タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル(インドネシア、世界2位)〈14-21,13-21〉シュー・チェン/マー・ジン(中国、世界3位)
決勝の対戦カード
【男子シングルス】 リー・チョンウェイ(マレーシア、世界1位)対トミー・スギアルト(インドネシア、世界4位)
【女子シングルス】 リ・シュエリ(中国、世界1位)対ワン・シーシャン(中国、世界4位)
【男子ダブルス】 リム・キムワー/ゴー・ウェイシェム(マレーシア、世界17位)対ホン・ウェイ/チャイ・ビアオ(中国、世界20位)
【女子ダブルス】 高橋礼華・松友美佐紀(世界4位)対タン・ジンフア/バオ・イーシン(中国、世界11位)
【混合ダブルス】 シュー・チェン/マー・ジン(中国、世界3位)対ヨアキム・フィッシャー・ニールセ ン/クリスティナ・ペダーセン(デンマーク、世界4位)