

勝ち上がってくることは分かっていた――。世界ジュニア選手権個人戦5日目、女子シングルス準決勝に臨んだ大堀彩選手と山口茜選手は BadPaL に対し、試合が始まる前から互いに、決勝は日本人対決になると予想していたことを明かした
大堀選手の相手は、団体戦3位決定戦で山口選手が倒した中国ホー・ビンジャオ選手。山口選手の相手はアジアジュニア選手権決勝で大堀選手が破ったタイのブサナン・ウンバンルンパン選手。いずれもシード選手で強豪だが、まず先にコートに立った山口選手が、チームメイトで最大のライバルでもある大堀選手の期待に応えた

山口選手は第1ゲーム、ジュニア世界ランク1位で地元期待のブサナン選手を抜群のコートカバー力で圧倒。ほとんど何もさせないまま21-12と快勝する。第2ゲームも前半10-3と大きくリードするが、ここから10月にオランダオープンで優勝したばかりのタイの17歳が意地を見せ10-9まで追い上げ、後半14-12から連続得点で一気に抜き去ると、タイ特有の鳴り物入りの応援をバックに15-18までリードを広げ、会場全体にファイナルゲーム突入か、という空気が漂う。しかし、9月にジャパンオープンを制した日本の16歳は、チームメイトの声援も力にして5連続得点でタイの応援団を静まらせると、そのまま21-19で勝利。2年連続の世界ジュニア決勝進出を決めた
山口選手は試合後、BadPaL の取材に応じ、「シニアの大会でも勝っている選手で格上だったので、最初から向かっていけた。一番楽しめた試合だった。地元応援に負けないくらいのチームメイトの 声援が聞こえ、第2ゲームに追いつかれて嫌な感じになった時、後ろにみんなの顔が見えて力づけられた」と笑顔で話した。あすの決勝に向けた意気込みを尋ねると、遅れて始まったもう1つの準決勝は試合が続いているにもかかわらず、「決勝は日本人同士になる」と明言。その上で「勝ちたいという思いはもちろんあるが、気楽にプレーしたい」と語った

山口選手の試合後半とかぶる形でスタートした大堀選手の試合は、第1ゲームから気合のこもった表情で積極果敢に攻める大堀選手が圧倒。続く第2ゲームも、相手の追い上げに遭い流れを持っていかれそうな場面はあっても、渾身のスマッシュで断ち切る豪快な試合運びで、終わってみれば第1、第2ゲームを通じて、ホー選手にただの1度もリードを許すことなく完勝し、山口選手の待つ決勝へ進んだ
大堀選手は BadPaL に対し、まず「3位に終わった去年の壁(準決勝)を越えられた」と試合直後の感想を述べた。過去に対戦したことのない相手への対策として、「前夜にビデオを見たところ、ネットがうまい選手との印象を持ち、そこで勝負せず長い球を返すようにした」という。第2ゲームで相手に持っていかれそうな流れを力で引き戻しているように見えたが、と問うと、好きなようにプレーしようと心掛けた結果で、何より「打たないと勝てないと思っていた」と説明した
決勝について、アジアジュニア選手権を制した際、「たまたま勝てただけ」と話していて、今大会団体戦で敗れたタイのブサナン選手ともう一度やりたかったという気持ちはなかったのか尋ねると、「そんな気持ちも確かにあったが、試合前から、山口選手が ブサナン選手に勝つと思っていた」ときっぱり答えた。その上で「山口選手との決勝にはもちろん勝ちたいが、その強い気持ちが悪い方に回らないようにしたい」と述べ、気を引き締め直した
国際大会における大堀、山口両選手の対戦は、昨年の世界ジュニア選手権の準決勝に続き2度目。昨年は山口選手が、第1ゲームを失いながら、逆転(17-21,21-10,21-15)で勝っていた。なお、大堀選手が優勝した今年のアジアジュニア選手権に、山口選手はケガのため出場していなかった
準決勝の結果
【男子シングルス】 イーサン・マウラナ・ムストファ(インドネシア)〈18-21,21-13,16-21〉ホ・クワンヒ(韓国)、ツァオ・ジュンペン(中国)〈12-21,16-21〉ワン・ツーウェイ(台湾)
【女子シングルス】 大堀彩(第1シード)〈21-16,21-17〉ホー・ビンジャオ(中国)、ブサナン・ウンバンルンパン(タイ、第2シード)〈11-21,19-21〉山口茜(第3シード)
【男子ダブルス】 リ・ジュンフェイ/リュウ・ユーチェン(中国、第1シード)〈21-10,21-17〉ワン・チリン/ティエン・ツーチエ(台湾)、ホワン・カイシアン/ツェン・シウェイ(中国)〈21-11,21-13〉ソ・スンジェ/チェ・ジョンウ(韓国)
【女子ダブルス】 ジア・イーファン/ホワン・ドンピン(中国、第1シード)〈20-22,21-16,20-22〉キム・ジウォン/チェ・ユジョン(韓国)、チェン・チンチェン/ヘ・ジエシン(中国、第2シード)〈21-11,21-17〉ナリサパト・ラム/プティタ・スパジラクン(タイ、第3シード)
【混合ダブルス】 チェ・ソルギュ/チェ・ユジョン(韓国、第1シード)〈13-21,11-21〉ホワン・カイシアン/チェン・チンチェン(中国、第4シード)、リュウ・ユーチェン/ホワン・ドンピン(中国、第2シード)〈21-6,17-21,19-21〉ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ/マシタ・マームディン(インドネシア)
決勝の対戦カードは以下の通り。5種目合わせて10枠の国・地域別振り分けは、中国4、日本2、韓国2、台湾1、インドネシア1となった
【男子シングルス】 ホ・クワンヒ(韓国)対ワン・ツーウェイ(台湾)
【女子シングルス】 大堀彩(第1シード)対山口茜(第3シード)
【男子ダブルス】 リ・ジュンフェイ/リュウ・ユーチェン(中国、第1シード)対ホワン・カイシアン/ツェン・シウェイ(中国)
【女子ダブルス】 チェン・チンチェン/ヘ・ジエシン(中国、第2シード)対キム・ジウォン/チェ・ユジョン(韓国)
【混合ダブルス】 ホワン・カイシアン/チェン・チンチェン(中国、第4シード)対ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ/マシタ・マームディン(インドネシア)