スディルマン杯決勝、日本は4大会連続で中国の前に屈し、初優勝ならず。山口茜が前回決勝で敗れたチェン・ユーフェイに勝って一矢報いたが、中国勢が攻めの姿勢を貫いた男子2種目で明暗が分かれた ~photo courtesy of BWF/BadmintonPhoto
2015年東莞大会(決勝)、17年ゴールドコースト大会(準決勝)、19年南寧大会(決勝)に次いで、スディルマン杯では4大会連続で中国に挑んだ日本チーム。最初の種目、男子ダブルスが双方にとって重要な意味を持っていた
先行きに不透明さを残す1番手(リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ)の不在、2番手(ツォウ・ハオドン/ハン・チェンカイ)のペア解消という状況で今大会、最適なペアリングを探っていた中国。一次リーグで主に起用した3番手ホー・ジティン/タン・チアンは、最終戦でタイペアに敗れる。準々決勝では、2番手と3番手の組み換えペア、ホー・ジティン(23)/ツォウ・ハオドン(23)で臨むが、デンマークペアに黒星。そのため準決勝では、結局出番は回ってこなかったものの、実績・経験豊富なリュウ・チェン(29)と混合ダブルスのワン・イーリュ(26)を組ませてエントリーするなど(※混合ダブルスを最初に持ってくる狙いも)、揺れていた
ただ、中国ヘッドコーチのツァン・ジュンは、男子ダブルスの起用が難しかったことを認めつつも、大事な決勝の舞台は、能力を信じて若手を使う方針を変えず、ベテランではなく、2日前に敗れたホー・ジティン/ツォウ・ハオドンを再び送り出した
起用された2人は、「準々決勝デンマークペア相手の僅差の敗戦<21-17,16-21,19-21>から、より粘り強くいかなければいけないことを学んだ」と試合後話したように、終盤まで攻撃を続ける姿勢を崩さず、ファイナルゲームまでもつれる1時間16分に及んだ小林優吾(26)・保木卓朗(26)との接戦に勝ち切った
ツァン・ジュンは、よく期待に応えてくれたと2人を称賛。次に控える男子の国・地域別対抗戦トマス杯での起用法が注目される
2種目目の女子シングルスは、0―1で出番が回ってきた山口茜(24)がチェン・ユーフェイ(23)と2大会続けて決勝で対峙。第1ゲームは序盤のミスによる失点を修正してリズムをつかむと、中盤以降抜け出し20-15。そこから1点差まで詰め寄られながら振り切り、第2ゲームは16-15から突き放してストレート勝ち。オープニングゲームを奪いながら、第2,3ゲームはともに後半15点辺りから抜け出され逆転負けした前回<21-17,16-21,17-21>とは違う結果を導き出した
山口は、「前回同じ状況(0-1)で試合をして、負けて(0-2で次へ)つないでしまったので、同じように繰り返したくないという気持ちと、東京の金メダリストなので向かっていく気持ちをしっかりもって試合に臨めたのが勝利につながった」と振り返った。その上で、「相手はここまで長い試合を連続で戦ってきていた。自分は(フルゲームの試合は)なかったので、体力面で有利に試合を運べた」と淡々と語った。ただ、最後に対戦した2019年ワールドツアーファイナルで2回敗れた時に相手の口から出た「スピードがない」との指摘は完全に払しょくしてみせた
日本が試合を1-1のタイに戻して迎えた3種目目の男子シングルスも、女子シングルスに続き前回と同一カード、桃田賢斗(27)対シー・ユーチ(25)。ただ、その時以来約2年4カ月ぶりの顔合わせで、それぞれ故障と事故による戦線離脱があり、再戦というより仕切り直しの一戦となったが、結果は2年前と同じに
シー・ユーチの今回の勝因は、相手と自分、両方の現状を知って対応したこと。試合後に明かされたのは、今大会の桃田はよりディフェンシブになっていると事前に分析し、そこをついていくべく序盤から攻勢をかけた。さらに、第1ゲームを先取した後の息の上がった自らの状態から判断して、第2ゲーム途中からエネルギーを温存し、ファイナルゲームにすべてをぶつける決断をした。結果として、「準々決勝は(敗れた)ビクター・アクセルセンに自分がコントロールされたが、決勝は桃田を自分がコントロールできた」という
「チームに貢献できて非常にうれしい」と話すが、完全に満足したわけではなく、「勝てたのはよかったが、自分の復調具合はまだベスト時の90%程度。目指すのは、故障以前と同じに戻る、ではなく、それを超える120%」と強調した
一方、敗れた桃田は、相手の攻撃力に押されて気持ちが引いてしまったのが敗因とした上で、準決勝、決勝とチームに貢献はできなかったが、たくさん試合ができ自分の中では吹っ切れた部分はあると述べ、前を向いた
1-2と日本が追い詰められた状況で出番が回ってきた女子ダブルスの松友美佐紀(29)/松本麻佑(26)。急造ペアながら、個々の能力の高さで準々決勝、準決勝と連勝したが、決勝の相手、東京銀メダルのチェン・チンチェン(24)/ジア・イーファン(24)とはペアとしての力の差があり、第1、第2ゲームともに、ラリーはできるもほとんど優位に立つ機会なくストレート負け。混合ダブルスを残して、チームの敗戦が決まった
この結果、日本は2大会連続、通算3度目の準優勝。ベスト8どまりでまだメダルに手が届いていなかった2013年<https://badpal.net/2013/05/22/day-3-of-sudirman-japan-to-face-thailand-after-overcoming-denmark/>以来5大会連続のスディルマン杯出場となった松友は、「攻めていった結果がこれ。悔しいがまた次も試合があるのでそこに向けてがんばりたい」と述べた。19年に次ぐ2度目の出場の松本は、実績・経験豊富な先輩でライバルでもあった松友と急遽、組むことになり、「いい経験ができた。自分たちのダブルスにも活きる試合になった」とした
一方、勝った中国は、日本より若い選手主体で大会2連覇を成し遂げ、ここまで全17回開催された大会で12度目のカップを手にした
◆決勝の結果
①中国(A組1位)3-1日本(D組1位)
【男子ダブルス】ホー・ジティン/ツォウ・ハオドン<21-17,14-21,21-16>小林優吾・保木卓朗
【女子シングルス】チェン・ユーフェイ<19-21,16-21>山口茜
【男子シングルス】シー・ユーチ<21-13,8-21,21-12>桃田賢斗
【女子ダブルス】チェン・チンチェン/ジア・イーファン<21-17,21-16>松友美佐紀・松本麻佑
【混合ダブルス】ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン<打ち切り>渡辺勇大・東野有紗
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◆優勝:中国(※2大会連続、通算12回目)~photo courtesy of BWF/BadmintonPhoto
◆準優勝:日本(※2大会連続、3回目の銀メダル)~photo courtesy of BWF/BadmintonPhoto
◆3位タイ:マレーシア ~photo courtesy of BWF/BadmintonPhoto
◆3位タイ:韓国 ~photo courtesy of BWF/BadmintonPhoto
◆5位以下
5~8位)デンマーク、インドネシア、タイ、台湾
9~16位)イングランド、ドイツ、ロシア、インド、カナダ、フィンランド、エジプト、タヒチ