タイマスターズ(SUPER300)準々決勝、大堀彩は開催国期待の第2シード、ラッチャノク・インタノンを破り、山口茜、西本拳太とともに準決勝に進んだ
この大会、2016年以来4年ぶりの自国優勝に期待のかかるラッチャノクに、大堀は、アウェイの雰囲気の中、16-21で第1ゲームを奪われる。しかし第2ゲームは中盤、14-16から連続得点で抜け出し、試合をふりだしに戻す
ファイナルゲームに入ると、疲れからか精度の落ちた世界ランク上位の地元エースを序盤からリード、前半を11-4で折り返す。後半も点差を広げて、最後は4連続得点で締め、後方に座る所属チームのコーチに笑みを送った
大堀は BadPaL の取材に対し、「相手のホームで勝てたことは自信になる」と勝利の感想を述べた。昨年のデンマークオープン(SUPER750)でラッチャノク相手に初勝利を挙げていたことで、この試合にも自信を持って臨めたかと問うと、「前回勝っていた分、今回は作戦を講じてくると思い、相手のエースショットを意地でも拾い続ける、と強い気持ちで臨んだ」と明かした
また、前日の課題を引きずらず、その日のうちに消化できたことの意義も強調した
第1シードの山口は、インドネシアの若きエース、グレゴリア・マリスカ・トゥンジュンと対戦。前週のインドネシアマスターズ(SUPER500)でも1回戦でぶつかり勝っているが、ファイナルゲーム22-22までもつれる辛勝だった
今回は、第1ゲーム終盤にもつれた。山口が先にゲームポイントを握るが、2度凌がれ、追い抜かれて、ゲームポイントを握り返されてしまう。それでも何とか25-23で競り勝つと、続く第2ゲームは逆に、後半突き放して勝利した
山口は試合後、BadPaL に対し、「多分いい所もあったと思うが、しっくりこないなと感じることが多かった」と明かし、「先々週、先週もそうだが、だめなところを悩んでいてもしようがない。開き直って」と、自らに言い聞かせるよう語った
また、「自分メーンで早く動かなきゃ、ではなく、相手の考えを読み取った上で。(相手との)リズムが合わないといいラリーにならない」との自身の考えも述べた
22歳山口は今大会ここまで、マレーシアの19歳、タイの18歳、インドネシアの20歳と、年下との対戦が続いている。この点を指摘すると、「年下にも負けることがある。向上心を持って」と、持つべき姿勢を示した
一方、男子シングルスの西本は、初めて対戦した昨年11月のコリアマスターズでストレート負けした中国6番手、ツァオ・ジュンペンと2カ月ぶりの再戦に挑んだ
第1ゲームは西本が21-11と圧倒。エンドの変わった第2ゲームは前半リードを許すが、徐々に主導権を奪い返し19-16。20-18のマッチポイントからいったん追いつかれるも、22-20で振り切った
西本に試合後、勝因を尋ねると、「全体的にいいパフォーマンスで、風上のコートでの第1ゲームを凌げた」点を挙げた。第2ゲームについては「終盤、攻め急いて追い上げられたが、ファイナル勝負でもと、気持ちに余裕もあった」と述べた
西本は、昨年末の全日本総合選手権から、持ち味の泥臭いプレーに、ある気づきを加えて、パフォーマンスが上向いていると話す。それでも自ら、「まだまだ」とくぎを刺している
この種目ではほかに、第2、第3シードのシー・ユーチ(中国)とウン・カロン(香港)が勝ち上がり。準決勝最後の1枠には、タイ5番手の18歳クンラウット・ウィティサンが、同6番手の30歳スッパンユ・アビヒンサノンにストレート勝ちし、入った
女子シングルスでラッチャノクが敗退したことで、クンラウットは全種目を通じ、開催国唯一の勝ち残りに。決勝進出の期待を背負い、あす、西本と初めて対戦する
日本のシングルス陣でもうひとり、準々決勝に臨んだ高橋沙也加は、第4シードのカロリナ・マリン(スペイン)にストレート負けを喫し、準決勝進出を逃した
高橋は試合後、BadPaL の取材に応じ、「復帰後のマリンは特に出だしがいいイメージがあり、集中して入ったが、(自分が)堅くなってしまった」と説明した上で、「男子並みのスピードがあるが、やはり速かった。(前回、ファイナルゲーム18-21まで競り合った)昨年9月中国オープンの時よりレベルアップしていた」と指摘。1ケタ得点に抑え込まれた第1ゲームは、勢いに押されラリーもできず、嫌な雰囲気の中、どうすればいいか、なすすべがなかったことを率直に認めた。第2ゲームに入り、後半には対応できたが、「遅かった」という
3連戦を振り返ってもらうと、「前週インドネシアマスターズで、(約4年4カ月ぶりに)プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥに勝てて自信になった。きょう(マリンに)勝ってさらに自信をつけたかったが、やはり簡単ではなかった」と淡々と話した。その上で、あまり休む間もないが、次に控える大会にリセットして臨む、と述べた
ダブルス陣は、勝ち残りの男子A代表2ペアともに、ここで大会を終えた
勝利へあと一歩まで詰めたのは、4番手の古賀輝・齋藤太一。前々週のマレーシアマスターズ(SUPER500)、ファイナルゲーム23-21で競り勝った中国5番手リュウ・チェン/ホワン・カイシアンと再度フルゲームを戦うが、20-22で敗れた
ただ、結果を見れば惜敗だが、2人の自己評価は、「ファイナルゲームは負けゲーム。(16-20から)何とか追いついたが勝てなかった。この試合全体のパフォーマンスも満足いくものではない」(古賀)と厳しかった
また、初めて挑んだ3週連続の大会でこの日は終盤、疲れも見えたが、「(3週連続は)この後、まだ2回ある。対応できるよう、食事の面なども含め準備して臨む」(齋藤)と語った
混合ダブルスは、シードの4ペアが準決勝の4枠を占めた
準々決勝の結果、
【男子シングルス】
(タイ)<10-21,17-21>クンラウット・ウィティサン(タイ)スッパンユ・アビヒンサノン
西本拳太<21-11,22-20>(中国)ツァオ・ジュンペン
ウン・カロン(香港、第3シード)<21-16,13-21,21-11>(韓国)ホ・クワンヒ
シー・ユーチ(中国、第2シード)<21-19,21-15>(インドネシア)シェサル・ヒレン・ルスタビト
【女子シングルス】
山口茜(第1シード)<25-23,21-14>(インドネシア)グレゴリア・マリスカ・トゥンジュン
カロリナ・マリン(スペイン、第4シード)<21-9,21-16>(第8シード)高橋沙也加
アン・セヨン(韓国、第3シード)<21-11,21-12>(フランス※予選繰り上がり)チー・シュエフェイ
(タイ、第2シード)<21-16,17-21,11-21>大堀彩ラッチャノク・インタノン
【男子ダブルス】
リー・ジェフエイ/ヤン・ポシュアン(台湾)<21-8,21-11>(香港※予選勝ち上がり)ユン・ミンノク/チャン・タクチン
(第7シード)<15-21,17-21>テオ・イーイ/オン・ユーシン(マレーシア)小林優吾・保木卓朗
ゴー・ウェイシェム/タン・ウィーキョン(マレーシア、第4シード)<21-13,16-21,21-15>(イングランド)クリス・ラングリッジ/マーカス・エリス
リュウ・チェン/ホワン・カイシアン(中国)<21-18,16-21,22-20>古賀輝・齋藤太一
【女子ダブルス】
チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、第1シード)<21-16,21-16>(中国、第5シード)リ・インフェイ/ドゥ・ユエ
キム・ソヨン/コン・ヒヨン(韓国、第3シード)<22-20,15-21,21-14>>ツェン・ユー/リ・ウェンメイ(中国、第8シード)リー
(韓国、第4シード)<19-21,14-21>チャン・イエナ/キム・ヘリン(韓国)シン・スンチャン/イ・ソヒ
チョン・ギョンウン/ペク・ハナ(韓国)<21-12,21-15>(マレーシア)ビビアン・フー/ヤップ・チェンウェン
【混合ダブルス】
タン・キアンメン/ライ・ペイジン(マレーシア、第8シード)<21-16,21-9>(デンマーク※予選繰り上がり)ニクラス・ノール/サラ・チューセン
ハフィズ・ファイザル/グロリア・エマヌエル・ウィジャジャ(インドネシア、第4シード)<21-19,21-18>(インドネシア)アドラン・マウラナ/ミシェル・クリスティン・バンダソ
ゴー・スーンフアト/シェボン・ジェミー・ライ(マレーシア、第3シード)<23-21,21-17>(香港※予選勝ち上がり)ユン・ミンノク/ウン・ツーヤウ
マーカス・エリス/ローレン・スミス(イングランド、第6シード)<14-21,21-10,21-7>(韓国※予選繰り上がり)チェ・ソルギュ/シン・スンチャン
準決勝の対戦カード
【男子シングルス】
西本拳太対クンラウット・ウィティサン(タイ)
シー・ユーチ(中国、第2シード)対ウン・カロン(香港、第3シード)
【女子シングルス】
山口茜(第1シード)対カロリナ・マリン(スペイン、第4シード)
アン・セヨン(韓国、第3シード)対大堀彩
【男子ダブルス】
リー・ジェフエイ/ヤン・ポシュアン(台湾)対テオ・イーイ/オン・ユーシン(マレーシア)
ゴー・ウェイシェム/タン・ウィーキョン(マレーシア、第4シード)対リュウ・チェン/ホワン・カイシアン(中国)
【女子ダブルス】
チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、第1シード)対キム・ソヨン/コン・ヒヨン(韓国、第3シード)
チャン・イエナ/キム・ヘリン(韓国)対チョン・ギョンウン/ペク・ハナ(韓国)
【混合ダブルス】
ハフィズ・ファイザル/グロリア・エマヌエル・ウィジャジャ(インドネシア、第4シード)対タン・キアンメン/ライ・ペイジン(マレーシア、第8シード)
ゴー・スーンフアト/シェボン・ジェミー・ライ(マレーシア、第3シード)対マーカス・エリス/ローレン・スミス(イングランド、第6シード)