マレーシアマスターズ(SUPER500)決勝、桃田賢斗は、昨年末からの過密スケジュールでコンディションが万全でないにもかかわらず、2020年開幕戦を優勝で飾った

同世代のライバル、ビクター・アクセルセン(デンマーク)との決勝対決は、昨年3月の全英オープン以来となった
試合開始直後、互いに知り合う相手の出方を警戒するあまり、1-7と大きく点差を広げられ、今大会のアクセルセンの勝ち上がりを鑑み「ちょっと厳しいかな」と感じたという。それでも、「1球1球返していけば流れはこちらにくる」との思いで、気持ちを切らすことなく冷静にラリーを続けると、ほどなく追いつき(8-8)、そのまま逆転する
後半18-13とリードするが、ここから今大会好調のアクセルセンの追い上げに遭い、19-20と先にゲームポイントを握られる。ここは何とか凌ぐが、相手2つ目のゲームポイント(20-21)で、ネット際に浮いた球をアクセルセンにプッシュで決められる。しかし直後に主審がフォルト(=タッチネット)の判定。同点に追いついた桃田は、続いて献上した3つ目のゲームポイントも凌ぐと、気持ちを完全に切り替えられないアクセルセンから次の2点を奪って、第1ゲームを先取する
桃田は試合後、この場面を振り返り、やられたと思った。次の「ゲーム」に気持ちを切り替えようと思ったが、フォルトの判定が下ったことで、次の「ラリー」に切り替えられた、と説明した
第2ゲームは、精神面の安定を欠いたアクセルセンを桃田が出だしから圧倒。17-3と大量リードを奪い、最後は21-11で勝負あり。年間11勝を記録した昨シーズンの好成績を忘れて1からスタートすると語っていた今シーズン、最初の1勝を挙げるとともに、マレーシアで開催される主要な国際大会(マレーシアオープン、マレーシアマスターズ、マレーシアインターナショナルチャレンジ、マレーシアインターナショナルシリーズ)で、男子シングルス優勝を遂げた1人目の日本人となった
桃田は表彰式後のインタビューに、昨年は、この大会1回戦負け(相手は西本拳太)で滑り出しが良くなかった。今年は(優勝で)最高のスタートを切れた、と笑顔で答えた

一方、「身体のコンディションが万全ではない中、シーズン初戦、勝ててうれしい」と率直な感想を述べたのに対し、「それでも誰も(桃田に)勝てなかった。万全ならどれほど強いのか」と尋ねられ、「そういうことではない」と苦笑い。その上で、昨年末のワールドツアーファイナル優勝で得た自信に加え、身体のコンディションが万全でなかったことで、逆に感覚が鋭くなり、相手に決められた後の切り替えや攻守のメリハリがうまくつけられたことを、今大会の勝因として挙げた
昨年末の過密なスケジュールの後、年明け早々に始まる「SUPER500」2連戦に向け、急速に仕上げてきたため、「(ケガではないが)体にガタがきている。このままではケガしてしまう」と判断。早い段階で2週目のインドネシアマスターズ欠場を決め、1週目のマレーシアマスターズのみに絞った。その背景には、「色々なところで応援してくれる人の期待に応えたいが、ケガをしてしまえば、長期にわたりそれができなくなってしまう」との思いがあったことを大会期間中、BadPaL に明かしていた
帰国後は暫時休養を取ってリセットし、関係者と話をしながら次の予定を決めていくという

ワールドツアーファイナル決勝と同一カード、女子シングルスと混合ダブルスは、いずれも世界ランク1位が同2位をストレートで破り、シーズン初戦を制した

この結果、女子シングルスのチェン・ユーフェイ(中国)はタイ・ツーイン(台湾)を抑え、世界トップの座を堅持。混合ダブルスのツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン(中国)は、出場しなかった昨年、渡辺勇大・東野有紗が獲得したタイトルをペアとして初めてつかんだ
なお、ヤチオンはルー・カイ、シウェイはリ・インフェイと組んで、それぞれ2014年と16年にこのタイトルを手にしている

中国ペア同士の対戦となった女子ダブルスは、3番手ツェン・ユー/リ・ウェンメイが、2番手リ・インフェイ/ドゥ・ユエにファイナルゲーム21-19で競り勝ち、ノーシードから上位大会初優勝と躍進を遂げた
今大会、日本から出場した3ペアのうち、福島由紀・廣田彩花(第2シード)は2回戦で優勝ペアに、高橋礼華・松友美佐紀(第4シード)と志田千陽・松山奈来はそれぞれ準々決勝、準決勝で準優勝ペアに敗れている

男子ダブルスでは、韓国のベテラン、イ・ヨンデ/キム・ギジョンが、世界ランク4位のリュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ(中国)にストレート勝ちし、中国勢の4種目制覇を阻止した
31歳ヨンデと29歳ギジョンは試合後、今シーズン最初の大会、しかも初めて「SUPER500」で勝ててうれしい、と率直に喜びを表した
決勝の結果
【男子シングルス】桃田賢斗(第1シード)<24-22,21-11>ビクター・アクセルセン(デンマーク、第5シード)
【女子シングルス】タイ・ツーイン(台湾、第1シード)<17-21,10-21>チェン・ユーフェイ(中国、第2シード)
【男子ダブルス】リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ(中国、第3シード)<14-21,16-21>イ・ヨンデ/キム・ギジョン(韓国※予選繰り上がり)
【女子ダブルス】リ・インフェイ/ドゥ・ユエ(中国、第7シード)<19-21,21-16,19-21>ツェン・ユー/リ・ウェンメイ(中国)
【混合ダブルス】ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン(中国、第1シード)<21-19,21-12>ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン(中国、第2シード)