マレーシアマスターズ(SUPER500)準々決勝、志田千陽・松山奈未が連日のシードペア越えに成功し、桃田賢斗とともに準決勝へ進んだ
準々決勝に臨んだ日本選手10人のうち、これを突破しベスト4に入ったのは3人。前回対戦時の敗戦の雪辱を果たす勝利だった
女子ダブルス志田・松山の相手は、昨年9月韓国オープン(SUPER500)準決勝でオープニングゲームを奪いながら逆転負け(21-15,19-21,15-21)したシン・スンチャン/イ・ソヒ(韓国)。今回はオープニングゲームを落とすも、第2ゲームを取り返してタイに戻す。ファイナルゲームは競り合いから中盤15-10とリードを広げながら、直後に連続失点で1点差まで詰められ、試合の流れが相手方に傾きかける。しかし、韓国ペアの強みである攻撃に対し、レシーブから相手を崩して攻めに持ち込む姿勢を崩さず、再度突き放して21-17で勝利。昨年の敗戦の借りを返した
志田・松山に試合後、BadPaL が、前回の敗戦を踏まえ今回、技術的・精神的に変えて臨んだことは何か尋ねると、「前回は、ファイナルゲームでフィジカルがもたず、第1ゲームと同じプレーができなかった。今回はファイナルゲームに入り、足を使っていこうと心掛けた」(志田)。「前衛で触らないと、という気持ちで入った。第1ゲームは(相手に回され)それどころではなくなったが、気持ちを上げていった。第2ゲーム以降は徐々に合ってきた」(松山)と答えた
A代表として臨む「SUPER500」は、B代表だった昨年までの韓国オープンなどと違うか、問うと、初めは「不安があった」(志田)と認めながら、「やることは一緒。向かっていくだけ。これまでは(A代表だから勝たなければといった)プレッシャーなくやれている」と、ともに笑顔を見せた
男子シングルスの桃田は、昨年7月インドネシアオープン(SUPER1000)2回戦で不覚(16-21,21-11,18-21)を取った、中国5番手ホワン・ユーシアンと半年ぶりの再戦となった
昨シーズン1年間を通じ、国際大会(個人戦)で桃田に勝利した5人(西本拳太、アナース・アントンセン、ジョナタン・クリスティ、ホワン・ユーシアン、アンソニー・シニスカ・ギンティン)のうちの1人であり、対策を講じるなど特別な意識はあるか、前日尋ねると、「それはない」とさらり。当日もやり難さはないと語ったが、第1ゲームを21-13で奪った後、第2ゲームは18-16から逆転を許し、20-22で落としてしまう
この点について、桃田は試合後、「思い切りのいい選手で、変則的なところがあり、それに対応できなかった部分があった」と反省を込めて振り返った。ただファイナルゲームに入ると、「やり難さはない」と指摘した通り、失点を1ケタに抑えて勝利。インドネシアオープンでの「借り」をきっちり返した
志田・松山、桃田とは対照的に、高橋礼華・松友美佐紀は昨年8月、世界選手権の準々決勝でフルゲームを戦った末に競り負けた(25-23,18-21,23-25)、リ・インフェイ/ドゥ・ユエ(中国)に続けて敗れた
1ゲームずつ取り合い迎えたファイナルゲーム、前半からリードし、後半に入り14-8までリードを広げる。しかし、ここから連続得点を許すなどして16-16で追いつかれると、そのまま一気にマッチポイント(16-20)を握られる。万事休すかと思われたが、今度は日本ペアが追い上げ20-20で並び、流れをつかみ返した。しかし次のチャンスボールを決めにいった松友がネットにかけ勢いが止まると、次もミスで失点し20-22。悔やまれる敗戦となった
ただ、4年前のリオデジャネイロ五輪イヤー初戦、マレーシアマスターズGP(グランプリ)ゴールド時と同じく、東京五輪イヤーも世界ランク4位でスタートとした高橋・松友は大会期間中、結果がどうなろうとも、どっしり構えて4月末まで五輪レースを戦い抜く決意をあらためて BadPaL に示した
女子シングルス第3シードの奥原希望は中国2場手、第7シードのホー・ビンジャオと対戦。過去8勝1敗と大きく勝ち越している相手ながら、この日は主導権をつかめず、ストレート負け。昨年4月のアジア選手権に次ぐ2敗目を喫した
A代表として出場した最初の大会でベスト8まで勝ち上がった男子ダブルスの古賀輝・齋藤太一は、2018年世界チャンピオン、中国1番手のリュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイに挑んだ
ただ、第1ゲーム中盤辺りから徐々に引き離されると、流れを押し戻すことができないまま2ゲーム続けて落として敗退。現時点における力の差を見せつけられる結果に終わった
古賀・齋藤は試合後、BadPaL の取材に応じ、コートの前方部で構える中国ペアの圧を感じた、と認めた。外国のトップ選手に対し、挑戦者として当たって砕けろの姿勢だったが、「ベスト4への欲が出て、少し堅くなってしまった部分があったかもしれない」(古賀)と振り返った
それでも、A代表として大会に臨む気持ちに、B代表の時と比べ変化はあるか尋ねると、「やることは変わらない。向かっていくだけ」(齋藤)と回答。今大会での経験も踏まえ、まず改善に取り組むべき課題を聞くと、自分たちが攻撃の態勢にもっていくための「サーブ周りの強化」(古賀)を挙げた
混合ダブルスでは保木卓朗・永原和可那が、昨年、全英オープンと世界選手権で敗れたホスト国マレーシアのチャン・ペンスーン/ゴー・リュウインから「3度目の正直」を狙った。しかし、第1ゲームを14-14から抜け出されて落とし、第2ゲームは16-11とリードしながら、観客の声援にも後押しされたマレーシアペアに逆転され、敗れた
日本選手以外では、男子シングルスでベスト8に残っていた中国選手3人が全員敗退。中でもシー・ユーチは依然として動きに精彩を欠き、ファイナルゲーム19-21で敗れ、勝ったリー・ヅージア(マレーシア)が桃田の準決勝の相手となった
男子ダブルスでは、第1シードのマルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョが、ムハンマド・リアン・アルディアント/ファジャル・アルフィアンとの同国対決に敗れ、準決勝に進めなかった
準々決勝の結果
【男子シングルス】
桃田賢斗(第1シード)<21-13,19-21,21-9>(中国※予選繰り上がり)ホワン・ユーシアン
(中国、第7シード)<21-12,16-21,19-21>リー・ヅージア(マレーシア)シー・ユーチ
(中国、第4シード)<11-21,21-12,20-22>ビクター・アクセルセン(デンマーク、第5シード)チェン・ロン
(インドネシア、第6シード)<21-15,12-21,18-21>ウン・カロン(香港)ジョナタン・クリスティ
【女子シングルス】
タイ・ツーイン(台湾、第1シード)<21-16,21-16>(インド、第6シード)プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ
(第3シード)<17-21,10-21>ホー・ビンジャオ(中国、第7シード)奥原希望
カロリナ・マリン(スペイン)<21-8,21-7>(インド)サイナ・ネワル
チェン・ユーフェイ(中国、第2シード)<21-19,21-14>(中国)ワン・ジューイ
【男子ダブルス】
(インドネシア、第1シード)<19-21,21-17,21-23>ムハンマド・リアン・アルディアント/ファジャル・アルフィアン(インドネシア、第5シード)マルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ
(マレーシア)<21-19,15-21,20-22>イ・ヨンデ/キム・ギジョン(韓国※予選繰り上がり)テオ・イーイ/オン・ユーシン
リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ(中国、第3シード)<21-12,21-15>(※予選繰り上がり)古賀輝・齋藤太一
ヘンドラ・セティアワン/モハンマド・アーサン(インドネシア、第2シード)<20-22,21-18,21-19>(台湾、第7シード)リー・ヤン/ワン・チリン
【女子ダブルス】
(韓国、第5シード)<21-16,15-21,17-21>志田千陽・松山奈未シン・スンチャン/イ・ソヒ
(第4シード)<21-17,19-21,20-22>リ・インフェイ/ドゥ・ユエ(中国、第7シード)高橋礼華・松友美佐紀
グレイシア・ポリー/アプリヤニ・ラハユ(インドネシア、第8シード)<21-19,21-19>(韓国)チャン・イエナ/キム・ヘリン
(韓国、第6シード)<16-21,12-21>ツェン・ユー/リ・ウェンメイ(中国)キム・ソヨン/コン・ヒヨン
【混合ダブルス】
ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン(中国、第1シード)<21-11,21-9>(マレーシア、第8シード)ゴー・スーンフアト/シェボン・ジェミー・ライ
ハフィズ・ファイザル/グロリア・エマヌエル・ウィジャジャ(インドネシア)<21-19,22-20>(台湾※予選繰り上がり)リー・ヤン/ヤン・チントゥン
チャン・ペンスーン/ゴー・リュウイン(マレーシア、第6シード)<21-15,21-18>保木卓朗・永原和可那
ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン(中国、第2シード)<19-21,21-8,21-15>(オランダ)ロビン・タベリング/セリーナ・ピーク
準決勝の対戦カード
【男子シングルス】
桃田賢斗(第1シード)対リー・ヅージア(マレーシア)
ビクター・アクセルセン(デンマーク、第5シード)対ウン・カロン(香港)
【女子シングルス】
タイ・ツーイン(台湾、第1シード)対ホー・ビンジャオ(中国、第7シード)
チェン・ユーフェイ(中国、第2シード)対カロリナ・マリン(スペイン)
【男子ダブルス】
ムハンマド・リアン・アルディアント/ファジャル・アルフィアン(インドネシア、第5シード)対イ・ヨンデ/キム・ギジョン(韓国※予選繰り上がり)
ヘンドラ・セティアワン/モハンマド・アーサン(インドネシア、第2シード)対リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ(中国、第3シード)
【女子ダブルス】
リ・インフェイ/ドゥ・ユエ(中国、第7シード)対志田千陽・松山奈未
グレイシア・ポリー/アプリヤニ・ラハユ(インドネシア、第8シード)対ツェン・ユー/リ・ウェンメイ(中国)
【混合ダブルス】
ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン(中国、第1シード)対ハフィズ・ファイザル/グロリア・エマヌエル・ウィジャジャ(インドネシア)
ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン(中国、第2シード)対チャン・ペンスーン/ゴー・リュウイン(マレーシア、第6シード)