香港オープン(SUPER500)準々決勝、遠藤大由・渡辺勇大は、大会3連覇を狙っていたマルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョに逆転勝ち。世界ランク1位を相手に今年、負けなしの3連勝とした

日本男子唯一の勝ち残り、遠藤・渡辺は、今シーズンここまでワールドツアー8勝と、名実ともに男子ダブルスのトップに君臨するギデオン/スカムルジョを相手に、オープニングゲームを落とす。第2ゲームは取り返すが、ファイナルゲームに入ると主導権を奪われ、15-19と追い込まれる。しかしこの窮地にも気持ちを切らさず、1点ずつ返していき追いつくと、その直後、先にマッチポイント(19-20)を握られても、劣勢をはね返して勝ちを掴んだ
これで、昨年のこの大会で敗れた後、2019年は4月のアジア選手権、8月のタイオープン(SUPER500)に続く3度目の勝利。通算対戦成績も、3勝2敗と1つ勝ち越した
遠藤、渡辺両選手は試合後、BadPaL の取材に応じ、「ファイナルゲームは相手のリズムになったが、あきらめずにやれた」、「しぶとくいって勝ちを拾えた」と、それぞれ勝因を挙げた。前衛でスカムルジョに触らせないことが有効な作戦になるか、の問いには、「前衛を抜いてもカバーが速い」と指摘し、かわすだけで優位に立てるわけではないことを示唆。「プレッシャーに対応していかないと」(遠藤)と述べた
世界1位を破って臨む準決勝に向けては、「次も強い相手」と、変わらず気を引き締めて臨む意向を確認した。その上で、相手が誰であろうと、いつも通りに楽な意識でプレー出来れば、と抱負を語った

山口は、ジュニア時代から対戦し、6勝1敗と大きく勝ち越している1歳上のブサナン・ウンバンルンパン(タイ)に、あっさり第1ゲームを奪われる。第2ゲームも前半6-11とリードを許すが、徐々に球を追えるようになり、8-13から7連続得点を決め逆転、そのままこのゲームを取る。迎えたファイナルゲームは、前半もみあいになるも、後半、13-14から6連続得点を決めるなどして、振り切った
山口選手は試合後、BadPaL に対し、「第1ゲームと第2ゲーム中盤までは、(世界選手権以降)1回戦負けしていた時と同じ。ただその後、負けても最後まで、もう一本頑張って、といった気持ちを持てたのは前進かな」と遠慮がちに述べた
現在、身体には懸念すべき故障個所がないことを確認した。ただ、「量と質の両面で練習不足のコンプレックスがあり、復調に向け戻ってきている、と自信を持って試合に臨めているわけではない」と説明。「今できることでやらないといけないのだが、前できていたこととのギャップで気持ちが落ちたりする」と認めた
そうした葛藤を抱えながら、今、どういう意識を持ってプレーしているのか尋ねると、「元の状態に戻す、ではなく、前より良いプレーをやろう」と答えた

山口の準決勝の対戦相手になる可能性があったディフェンディングチャンピオン奥原希望は、ラッチャノク・インタノン(タイ)にストレートで敗れ、ベスト8どまり。7月のジャパンオープン(SUPER750)決勝以来となる2人の対決は実現しなかった
奥原はこの2週間、中国・福州オープン決勝でチェン・ユーフェイ(中国)、香港オープン準々決勝でラッチャノクと、倒すべき相手である世界のトップ5に続けて敗れた。ただ、相手の強さを率直に認めた上で、自らの前進の過程に手応えを実感していると強調。来月のワールドツアーファイナルに向けても迷いは見せず、これまで通り積み上げを継続していく意志を明確にした
女子ダブルスでは、第1シードの永原和可那・松本麻佑が、昨年のこの大会、8月タイオープンと連敗していた中国2番手、リ・インフェイ/ドゥ・ユエをストレートで仕留めた
一方、第4シードの高橋礼華・松友美佐紀は、7月ジャパンオープンで勝っていた韓国3番手チャン・イエナ/キム・ヘリンに、第1ゲームを先取しながら、逆転負けを喫した。高橋選手は敗戦後、自分たちが今、落ちてきている現実を直視した上で、今後どのようにプレーしていくかを探る姿勢をうかがわせた。また韓国ペアについて、とりわけ(準決勝に進んだ)3、4番手は、チャン・イエナ、チョン・ギョンウンというベテラン2人に若手が必死についていっている印象で、仮に東京五輪には出られなかったとしても、その後、怖い存在になる、との見方を示した
混合ダブルスでは、第4シードの渡辺勇大・東野有紗が、直近の2度の対戦で連敗していた第5シードのソ・スンジェ/チェ・ユジョン(韓国)にストレート勝ちを収め、ベスト4入り。通算対戦成績も3勝3敗の五分に戻した
ノーシードからここまで勝ち上がってきた金子祐樹・松友美佐紀は、世界9位につけるインドネシア2番手ペア、ハフィズ・ファイザル/グロリア・エマヌエル・ウィジャジャに敗れ、ここで姿を消した
日本勢不在の男子シングルス準々決勝4試合は、いずれも世界ランク下位の選手が勝ち抜けた。とりわけ予選繰り上がりのリー・チュクイウが、会場の大声援をバックに初対戦のビクター・アクセルセン(デンマーク)を破り、全種目を通じて香港勢で唯一、勝ち残った
準々決勝の結果
【男子シングルス】
(中国、第5シード)<13-21棄権>キダンビ・スリカンス(インド)チェン・ロン
(デンマーク、第7シード)<14-21,19-21>リー・チュクイウ(香港※予選繰り上がり)ビクター・アクセルセン
(インドネシア、第4シード)<15-21,13-21>ジョナタン・クリスティ(インドネシア、第6シード)アナース・アントンセン
(台湾、第2シード)<21-8,19-21,13-21>アンソニー・シニスカ・ギンティン(インドネシア、第8シード)チョウ・ティエンチェン
【女子シングルス】
ツァン・ベイウェン(USA)<21-17,21-17>(インドネシア※予選繰り上がり)ルセリ・ハリタワン
チェン・ユーフェイ(中国、第3シード)<16-21,21-9,21-15>(中国、第7シード)ホー・ビンジャオ
(第4シード)<14-21,19-21>ラッチャノク・インタノン(タイ、第5シード)奥原希望
山口茜(第2シード)<9-21,21-17,21-15>(タイ)ブサナン・ウンバンルンパン
【男子ダブルス】
(インドネシア、第1シード)<21-16,14-21,20-22>遠藤大由・渡辺勇大(第6シード)マルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ
チェ・ソルギュ/ソ・スンジェ(韓国)<21-13,21-19>(マレーシア)テオ・イーイ/オン・ユーシン
リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ(中国、第3シード)<21-17,19-21,23-21>(マレーシア)アーロン・チア/ソー・ウーイイク
ヘンドラ・セティアワン/モハンマド・アーサン(インドネシア、第2シード)<21-11,21-11>(デンマーク)マシアス・ボー/マッズ・コンラド・ペターセン
【女子ダブルス】
永原和可那・松本麻佑(第1シード)<21-19,21-18>(中国、第7シード)リ・インフェイ/ドゥ・ユエ
(第4シード)<21-17,14-21,21-17>チャン・イエナ/キム・ヘリン(韓国)高橋礼華・松友美佐紀
チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、第3シード)<22-20,21-18>(デンマーク)サラ・チューセン/マイケン・フォーゴール
(韓国、第5シード)<17-21,7-21>チョン・ギョンウン/ペク・ハナ(韓国)シン・スンチャン/イ・ソヒ
【混合ダブルス】
ハフィズ・ファイザル/グロリア・エマヌエル・ウィジャジャ(インドネシア)<21-13,21-14>金子祐樹・松友美佐紀
渡辺勇大・東野有紗(第4シード)<21-18,21-19>(韓国、第5シード)ソ・スンジェ/チェ・ユジョン
(タイ、第3シード)<21-16,21-23,12-21>ゴー・スーンフアト/シェボン・ジェミー・ライ(マレーシア)デチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・テラッタナチャイ
(香港)<17-21,17-21>ホー・ジティン/ドゥ・ユエ(中国)タン・チュンマン/ツェ・インシュー
準決勝の対戦カード
【男子シングルス】
キダンビ・スリカンス(インド)対リー・チュクイウ(香港※予選繰り上がり)
ジョナタン・クリスティ(インドネシア、第6シード)対アンソニー・シニスカ・ギンティン(インドネシア、第8シード)
【女子シングルス】
チェン・ユーフェイ(中国、第3シード)対ツァン・ベイウェン(USA)
山口茜(第2シード)対ラッチャノク・インタノン(タイ、第5シード)
【男子ダブルス】
遠藤大由・渡辺勇大(第6シード)対チェ・ソルギュ/ソ・スンジェ(韓国)
ヘンドラ・セティアワン/モハンマド・アーサン(インドネシア、第2シード)対リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ(中国、第3シード)
【女子ダブルス】
永原和可那・松本麻佑(第1シード)対チャン・イエナ/キム・ヘリン(韓国)
チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、第3シード)対チョン・ギョンウン/ペク・ハナ(韓国)
【混合ダブルス】
渡辺勇大・東野有紗(第4シード)対ハフィズ・ファイザル/グロリア・エマヌエル・ウィジャジャ(インドネシア)
ゴー・スーンフアト/シェボン・ジェミー・ライ(マレーシア)対ホー・ジティン/ドゥ・ユエ(中国)