今シーズン最後の「SUPER1000」、中国オープンは17日に開幕し、日本女子シングルスのトップ2人がそろって初戦で敗れる波乱があった
上位大会のため予選がなく、各種目32選手/ペアによる1回戦が2日間(17~18日)かけて行われた
8月の世界選手権で準優勝した奥原希望は初日、1月末に襲った右ひざ前十字靭帯断裂による戦線離脱から、長い治療とリハビリを経て今月復帰を果たした、リオデジャネイロ五輪金メダリスト、カロリナ・マリン(スペイン)と対戦した

マリンは、「久しぶりの試合でナーバスになり、勝ちたい気持ちが強すぎて余計に緊張が高まり、何をすればよいか分からなくなった」と振り返った、1回戦負けに終わった復帰初戦、前週のベトナムオープン(SUPER100)とは異なり、この日は、「奥原相手に何をすべきかだけを考えていた」という。その言葉通り、力強いショットに加え、躊躇のない素早い動きが戻り、第1ゲームを中盤の連続得点で逆転して奪うと、第2ゲームは終盤抜け出しストレート勝ち。1月26日、インドネシアマスターズの準決勝でチェン・ユーフェイ(中国)を破って以来、約7カ月半ぶりの白星を挙げ、「いい試合ができた、ヒザに痛みもない」と述べ、喜んだ
一方、昨年のこの大会から1年ぶりとなる対戦に敗れた奥原だが、試合直後にはライバルのカムバックを笑顔で称えた
また、奥原よりも先に試合をした今大会第1シードの山口茜は、優勝した7月のジャパンオープン(SUPER750)の後、発症したという腰痛に端を発した体調の崩れが戻っておらず、精彩を欠いた動きで、これまで負けたことがなかったエフゲニヤ・コセツカヤ(ロシア)に初黒星。世界選手権に続いて初戦敗退に終わった
早々にツートップを失った日本だが、3番手の高橋沙也加は初日、ニチャオン・ジンダポン(タイ)に、4番手の大堀彩が2日目、チュン・ガンイ(香港)にそれぞれしっかり勝ち、トーナメントに残った

2日目には、3年連続の世界選手権決勝でようやく金メダルを手にした第5シード、プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(インド)も登場。インド史上初となる偉業を成し遂げたことで、凱旋帰国した後、式典参加や表敬訪問などコート外のスケジュールが多忙になり、今大会に向けた準備の不足が懸念されていた
しかしいざふたを明けてみると、ロンドン五輪金メダリストのリ・シュエリ(中国)にストレート勝ち<21-18,21-12>。周囲の懸念を払しょくして、2回戦に進んだ
対照的に、同じインドの第8シード、サイナ・ネワルは初戦、2年ぶりの対戦となったブサナン・ウンバンルンパン(タイ)にストレート負けを喫し、2回戦には進めなかった
タイでは、エースのラッチャノク・インタノンに次ぐ2番手争いが3選手を軸に激化しているが、今大会初戦を突破できたのは、ブサナンとポーンパウィー・チョチュウォンの2人。高橋沙に敗れたニチャオンは一歩後退

男子シングルスでは、世界選手権2連覇を達成した桃田賢斗が、北京、ロンドン五輪2大会連続金メダルのリン・ダンといきなりぶつかった。しかし、現世界チャンピオンと元世界チャンピオンの現時点における力の差は明白で、桃田が寄せ付けない強さを見せ、ストレート勝ちした
敗れたリン・ダンは試合後、桃田のスピードとディフェンスにより、点を奪うのが難しかったと認めた。この先については、東京五輪への出場資格を得るのに近道はない、とし、どんなレベルの大会でも可能な限り出場し、地道にポイントを積み重ねていく考えを示した
リン・ダンの先を行く中国勢のうち、2番手チェン・ロンは、リー・ヅージア(マレーシア)にファイナルゲーム23-21の僅差ながら勝利を収めた。一方、エースのシー・ユーチは、7月のインドネシアオープン(SUPER1000)で痛めた足首の回復が遅れ医師からブレーキがかかり、世界選手権に続いて、当初は今大会も欠場の意向を示していた。しかし自国開催の大会ということもありコートに立つことを決めたが、満足に動ける状態になく、第1ゲームを5-21で終えた時点で見かねたレフェリーが棄権を勧告。シー・ユーチはこれを受け入れず試合を続けたが、結局、所要時間わずか15分で同じ中国のルー・グアンズに敗れ、「復帰戦」を終えた
今大会ではもう1人、ビクター・アクセルセン(デンマーク)が5月のスディルマン杯以来初めて、国際大会に戻ってきた。日本3番手の常山幹太からオープニングゲームを21-10と幸先よく奪うも、続く2ゲームを失い、復帰戦を白星で飾ることはできなかった
同じデンマークで世界選手権準優勝と躍進を遂げたアナース・アントンセンは、対戦相手マーク・カーリョウ(オランダ)の試合開始後間もなくの棄権で、労せず勝ち上がった
男子シングルスではほかに、日本2番手の西本拳太が、ディフェンディングチャンピオンのアンソニー・シニスカ・ギンティン(インドネシア)に挑んだ。先行を許し、第2ゲームを奪い返したものの、ファイナルゲームは地力の差を見せられ、ゲームカウント1対2。初戦で姿を消した
日本のダブルス陣は、男子が第1シードのマルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョに挑むも跳ね返された世界選手権銀メダルの小林優吾・保木卓朗、女子は同国対決に敗れたB代表の櫻本絢子・髙畑祐紀子、混合は第1、2シードの中国ペアの前に屈した保木卓朗・永原和可那と権藤公平・栗原文音、これらを除く、3種目で合わせて8ペアが2回戦に進んだ
日本選手1回戦の結果
【男子シングルス】
桃田賢斗(第1シード)<21-14,21-14>(中国)リン・ダン
アンソニー・シニスカ・ギンティン(インドネシア、第7シード)<21-14,19-21,21-13>西本拳太
(デンマーク、第6シード)<21-10,14-21,16-21>常山幹太ビクター・アクセルセン
【女子シングルス】
(第1シード)<22-20,17-21,22-24>エフゲニヤ・コセツカヤ(ロシア)山口茜
(第4シード)<16-21,18-21>カロリナ・マリン(スペイン)奥原希望
高橋沙也加<12-21,21-17,21-19>(タイ)ニチャオン・ジンダポン
大堀彩<21-9,21-10>(香港)チュン・ガンイ
【男子ダブルス】
園田啓悟・嘉村健士(第4シード)<15-21,21-13,21-16>(マレーシア)ヌル・イズディン/ゴー・ジーフェイ
遠藤大由・渡辺勇大(第5シード)<21-14,21-17>(マレーシア)アーロン・チア/ソー・ウーイイク
マルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ(インドネシア、第1シード)<21-17,21-15>小林優吾・保木卓朗
(ドイツ)<17-21,19-21>金子祐樹・井上拓斗マーク・ラムスフス/マルビン・シーデル
【女子ダブルス】
永原和可那・松本麻佑(第1シード)<21-15,22-24,21-17>(中国)フェン・シュエイン/ドン・ウェンイン
高橋礼華・松友美佐紀(第2シード)<16-21,21-18,21-8>(中国)ツェン・ユー/リ・ウェンメイ
福島由紀・廣田彩花(第3シード)<21-13,21-15>櫻本絢子・髙畑祐紀子
【混合ダブルス】
渡辺勇大・東野有紗(第3シード)<17-21,21-17,21-14>(香港)タン・チュンマン/ツェ・インシュー
ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン(中国、第1シード)<21-12,21-12>保木卓朗・永原和可那
金子祐樹・松友美佐紀<21-9,21-7>(アイルランド)サム・マギー/クロエ・マギー
ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン(中国、第2シード)<21-9,21-18>権藤公平・栗原文音
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日本選手2回戦の対戦カード
【男子シングルス】
桃田賢斗(第1シード)対トミー・スギアルト(インドネシア)
常山幹太対ダレン・リュー(マレーシア※リザーブ繰り上がり)
【女子シングルス】
高橋沙也加対エフゲニヤ・コセツカヤ(ロシア)
タイ・ツーイン(台湾、第2シード)対大堀彩
【男子ダブルス】
園田啓悟・嘉村健士(第4シード)対シラグ・シェッティ/サトウィクサイラジ・ランキレディ(インド)
遠藤大由・渡辺勇大(第5シード)対リー・ヤン/ワン・チリン(台湾)
ヘンドラ・セティアワン/モハンマド・アーサン(インドネシア、第2シード)対金子祐樹・井上拓斗
【女子ダブルス】
永原和可那・松本麻佑(第1シード)対チャン・イエナ/キム・ヘリン(韓国)
高橋礼華・松友美佐紀(第2シード)対アシュウィニ・ポンナッパ/ネラクリヒ・シキ・レディ(インド)
福島由紀・廣田彩花(第3シード)対セリーナ・ピーク/シェリル・セイネン(オランダ)
【混合ダブルス】
渡辺勇大・東野有紗(第3シード)対ホー・ジティン/ドゥ・ユエ(中国)
金子祐樹・松友美佐紀対サトウィクサイラジ・ランキレディ/アシュウィニ・ポンナッパ(インド)