Day 7 of WC : Kento, Wakana/Mayu retain world titles

世界選手権・バーゼル大会7日目(最終日)、5種目中4種目の決勝に進んだ日本選手のうち、桃田賢斗永原和可那・松本麻佑が優勝し、2連覇を達成した

Wakana / Mayu became World champion again, as World no.1 this time ~photo courtesy of SportsPix360

前回、南京大会と同じ顔合わせとなった女子ダブルス決勝、第1シードの永原・松本が先制、第2シードの福島由紀・廣田彩花が追いかける展開に。1ゲームずつ取り合いファイナルゲームに突入すると、永原・松本が攻勢をかけ中盤以降、点差を広げていき、そのまま20-15と5つのマッチポイントを握る

この時点で、観戦者の多くが勝負ありと思ったが、このまま終わりたくない福島・廣田はここから粘りを見せる。まず松本の返球がバックラインを越えてアウトとなり1点を返すと、その後、サーバーに立った福島の絶妙なサーブを起点にし果敢に攻め、相手のミスを誘って4連続得点。20-20で追いついてみせる。そして集中を切らさず次の1点も奪い取って、逆にマッチポイントを握り返す

永原・松本は一転して後のない状況に追い込まれたが、攻めの姿勢を崩さず、次のサーブから数えて8球目、永原の放ったプッシュはネット上部をかすめて福島・廣田側のコートに落ち、21-21。続けて、次のラリーで松本がサイドライン際にスマッシュを決め22-21、通算6つ目のマッチポイントを迎える。最後は、強打に備え少し後ろ目に構えていた福島の前に永原のドロップが決まり、昨年と同じ結果で、約1時間半に及んだ接戦に終止符が打たれた

Silver thrice for Sayaka / Yuki (L) ~photo courtesy of SportsPix360

松本は試合後、「攻めの段階で自分たちのペースを崩さずいけた」ことを勝因の1つに挙げた。永原は2連覇達成の感想を聞かれ、「まさかできると思っていなかったので本当にうれしい」とコメントした

永原・松本にとって今年、世界選手権のタイトルを獲れたことは2連覇という記録達成のほかに、もうひとつ大きな意義がある。12月のワールドツアーファイナル(以下ファイナル)への出場権が得られ、この先、「SUPER300」以下の大会に、必ずしも出場しなければいけない状況がなくなることだ

獲得できるポイントの大きいファイナルへの出場資格は昨年より、シーズン中に出場した「SUPER100」「SUPER300」「SUPER500」「SUPER750」「SUPER1000」の大会すべてで得たポイントの総計(※)で、各種目上位8人/ペアまでに付与される。これに、国・地域ごとに各種目最大2人/ペアまでとする出場枠の上限が加味されるため、とりわけ、世界の上位に固まる日本の女子ダブルス陣は、世界バドミントン連盟(BWF)に出場義務を課せられている「SUPER500(一部)~1000」の上位大会のほかに、「SUPER300」や「SUPER100」でポイントを上乗せする必要性も生じる

(※一方、世界ランキングは、1年以内に出場した大会で、獲得したポイントが大きい順に「10大会」までの合計を基に算定する)

今回の優勝で、永原・松本が既に出場資格を得たため、女子ダブルスで日本に残された出場枠はあと1つ。現在4番手につける米元小春・田中志穂はケガにより暫時戦線離脱を余儀なくされるため、今大会準優勝の福島・廣田とベスト8の高橋礼華・松友美佐紀によるポイント争いが一層激化するのは避けられない情勢だ

男子シングルスの桃田は、上り調子にあるデンマークのアナース・アントンセンとの「東西対決」に臨んだ。1月のインドネシアマスターズ(SUPER500)決勝で初黒星を喫した相手。ただ、アントンセン自ら、「ものすごく疲れていた」と明かした通り、この日は、通常ならスマッシュからネット前に詰めるような積極的な動きが影をひそめ、簡単なミスも連発。完全にワンサイドゲームとなり、第1ゲームが9点、第2ゲームはわずか3点という、桃田の完勝で幕を閉じた

男子シングルスでここれまでに世界選手権連覇を成功させているのは。ヤン・ヤン(2連覇)、リン・ダン(3連覇、2連覇)、チェン・ロン(2連覇)と、いずれも中国の3人だけ。桃田は今回、4人目としてその名を記録に刻んだ

桃田は試合後、「優勝したいと思って挑んだ大会(世界選手権)で2連覇できたのは自信になった。うれしい」と率直な思いを口にした。決勝は、アントンセンに特別な対策を持って臨んだわけではなく、「自分のできることを全力でやる。それ以上のことはできない」という気持ちで入っていったという。試合では、相手の疲労を感じ取った上で圧倒。初戦から決勝までの大会全体を考えた準備や戦い方で相手を上回れたことへの手ごたえをのぞかせた。同時に、「試合を終え一気にプレッシャーから解き放たれた」と安ど感も吐露している

Kento knows far better than Antonsen how to prepare for a whole tournament ~photo courtesy of SportsPix360

一方、敗れたアントンセンは試合後、朝起きたら体が重く、こういう結果に終わることも予想していた、と明かした。それでもベストを尽くそうとし、出だしは桃田にミスも出て6-2とリード。チャンスがあるかもと思った。しかし、いったん桃田がペースをつかむと、相手が質の高いプレーでくるのに対し、自分が何かしようとするには疲れすぎていた、と半ば観念せざるを得なかったという

こんな負けは楽しくない。今この時点では、デンマークからを含め、会場に来た多くの観客の前でいいパフォーマンスを見せられなかったことにがっかりしている。それでも、今大会、チェン・ロンらトップ選手に勝つことができ、目標としていたメダル獲得も達成した。数日経てば。銀メダルを手にできたことを誇りに思うだろう、と述べた

ほかの2種目も、男子シングルスと類似した一方的展開が待っていた。稀に見る激闘で会場が大いに盛り上がった2017年グラスゴー大会決勝と同じ顔合わせになった女子シングルスでは、奥原希望プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(インド)の2人が、今度はどんな試合を見せてくれるかと注目が集まった

ところがこの日は、シンドゥが仕掛けるラリーのスピードに奥原はついていけず、常に押し込まれる展開が続いて第1ゲームを7-21で落とす。第2ゲームに入っても打開策は見出せず、ほとんど何もできないまま、同じく7点しか取れずに敗れた

奥原は打ちひしがれた表情を隠せず、決勝まで進みながら敗れる状況が続いていることを踏まえ。上位大会で決勝まで5~6試合を勝ち抜く力がない、と指摘。帰国後に、フィジカル強化や作戦を見なおす必要性にも触れた。その上で、この悔しさを必ず今後に活かす覚悟を示した

Sindhu finally made it ~photo courtesy of SportsPix360

対照的にシンドゥは、2017年、18年に次ぐ3度目の決勝でようやく、世界チャンピオンの称号を手に入れ、自信と喜びにあふれた笑顔を見せた。インド選手として全種目を通じて史上初の快挙に、ずっと待ち望んでいたこと。とても重要で嬉しい。誇りに思うと述べた。なお、13年と14年の銅メダルを加えた世界選手権でのメダル獲得総数は5つとなり、中国ツァン・ニン(01年銅メダル、03年金メダル、05年銀メダル、06年銀メダル、07年銅メダル)に並んだ

混合ダブルスでも、第1シードの中国ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオンが、ほぼ一方的に試合をコントロールし、難なく2連覇を達成した

前日の準決勝で第2シードの中国ワン・イーリュ/ホワン・ドンピンを破った勢いのまま、活躍が期待されたタイのデチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・テラッタナチャイだったが、この日は不発。第1ゲームは6-6から一気に抜け出されて8-21、第2ゲームは一度もリード奪えぬまま、12-21で敗戦。所要時間は、男子シングルス(38分)、女子シングルス(37分)を下回る36分だった

なお中国勢は今大会、金メダルはこの1つのみ。総数は、◆男子シングルスなし◆女子シングルス1つ(銅メダル)◆男子ダブルス1つ(銅メダル)◆女子ダブルス1つ(銅メダル)◆混合ダブルス2つ(金メダル1、銅メダル1)――の5つとなった

Yugo / Takuro could not win a gold medal but made a significant achievement in Basel ~photo courtesy of SportsPix360

日本ペアが2大会連続で臨む男子ダブルス決勝のコートには今回、前回のファイナリスト、園田啓悟・嘉村健士と中国リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイを続けて破り、躍進を遂げた小林優吾・保木卓朗が立った

対するは、ペアとして世界選手権を2013年と15年の2度制しているベテラン、ヘンドラ・セティアワン/モハンマド・アーサン。第1ゲームは終盤、1点ずつ取り合いながら進み、互いに2つずつ相手ゲームポイントを凌いだ後、23-23から小林・保木に2つのミスが出て、先制を許す。第2ゲームは終盤、点差を広げられたインドネシアペアが、追撃は無理とみてエネルギー温存、ファイナル勝負に切り替える

ファイナルゲームは第2ゲームを奪った勢いのまま、出だしから押していきたい小林・保木が最初の1点を取るが、直後に6連続得点を決められる。その後は互角のラリー勝負に持ち込み、何度か2点差までは迫るが、その先が詰まらない。そして12-15から、「勝ち」を知り尽くしたベテラン2人に畳み掛けるよう突き放されると、反撃の手はなく、15-21で試合終了。この種目、日本勢初の金メダル獲得は、次回以降に持ち越しとなった

ただ、日本3番手の小林・保木にとって、今大会の収穫は大きい。第12シードながら世界選手権という大舞台で、日本のエースペア園田・嘉村と中国の1,2番手、世界トップ8に入る3ペアを破って、初のメダル、さらに初の決勝までこぎつけたのだから。新たに得た実績と自信を手に、次の大会でどのようなパフォーマンスを見せられるか、注目される

SETIAWAN / AHSAN earned their third world title ~photo courtesy of SportsPix360

セティアワン/アーサンが達成した世界選手権3度の優勝は、男子ダブルスでは中国ツァイ・ユン/フー・ハイファンの4度(2006、09、10、11年)に続く記録。ただ、決勝当日(25日)に迎えた35回目の誕生日に自ら優勝で華を添えたセティアワンひとりで見ると、07年にマルキス・キドとのペアでも勝っており、合わせて4つ目のタイトルとなる

セティアワン/アーサンは試合後、上位のシードペアを倒して上がってきた勢いのある若い小林・保木に対し、特別な準備を講じたわけではなく、集中力を高め、精神的に準備をして決勝に臨んだと説明した。3度目の世界選手権優勝に特別感はあるか聞かれると、「もちろん、もう若くないから」(セティアワン)と笑顔で答えた

7日目(決勝)の結果

【男子シングルス】

桃田賢斗(第1シード)<21-9,21-3>アナース・アントンセン(デンマーク、第5シード)

【女子シングルス】

奥原希望(第3シード)<7-21,7-21>プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(インド、第5シード)

【男子ダブルス】

ヘンドラ・セティアワン/モハンマド・アーサン(インドネシア、第4シード)<25-23,9-21,21-15>小林優吾・保木卓朗(第12シード)

【女子ダブルス】

永原和可那・松本麻佑(第1シード)<21-11,20-22,23-21>福島由紀・廣田彩花(第2シード)

【混合ダブルス】

ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン(中国、第1シード)<21-8,21-12>デチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・テラッタナチャイ(タイ、第4シード)

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各種目のメダリスト

【男子シングルス】

金メダル: 桃田賢斗(第1シード※2連覇)

銀メダル: アナース・アントンセン(デンマーク、第5シード)

銅メダル: カンタポン・ワンチャロン(タイ、第12シード)、B.サイ・プラニース(インド、第16シード)

MS medalists ~photo courtesy of SportsPix360

【女子シングルス】

金メダル: プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(インド、第5シード※初、前回銀メダル)

銀メダル: 奥原希望(第3シード※17年金メダル)

銅メダル: チェン・ユーフェイ(中国、第4シード)、ラッチャノク・インタノン(タイ、第7シード※13年金メダル)

WS medalists ~photo courtesy of SportsPix360

【男子ダブルス】

金メダル: ヘンドラ・セティアワン/モハンマド・アーサン(インドネシア、第4シード※4年ぶり3度目)

銀メダル: 小林優吾・保木卓朗(第12シード)

銅メダル: リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ(中国、第2シード※前回金メダル)、ムハンマド・リアン・アルディアント/ファジャル・アルフィアン(インドネシア、第7シード)

MD medalists ~photo courtesy of SportsPix360

【女子ダブルス】

金メダル: 永原和可那・松本麻佑(第1シード※2連覇)

銀メダル: 福島由紀・廣田彩花(第2シード※3大会連続銀メダル)

銅メダル: グレイシア・ポリー/アプリヤニ・ラハユ(インドネシア、第5シード※前回銅メダル)、リ・インフェイ/ドゥ・ユエ(中国、第7シード)

WD medalists ~photo courtesy of SportsPix360

【混合ダブルス】

金メダル: ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン(中国、第1シード※2連覇)

銀メダル: デチャポン・プアバラヌクロー/サプシリー・テラッタナチャイ(タイ、第4シード)

銅メダル: ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン(中国、第2シード※前回銀メダル)、 渡辺勇大・東野有紗(第3シード※日本混合複史上初のメダル)

XD medalists ~photo courtesy of SportsPix360

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