中国・福州オープン(SUPER750)決勝、3種目でタイトル獲得を目指した日本勢、表彰台の最も高い所に立ったのは、男子シングルスの桃田賢斗。これで、トップ選手が揃って出場するワールドツアー上位大会8つのうち4つを制した。一方、奥原希望と永原和可那・松本麻佑は敗れ、日本の世界選手権覇者全員揃っての優勝は、次回以降に持ち越された

デンマークオープン決勝と同じ、日本と台湾のエース対決は、第1ゲームを桃田、第2ゲームをチョウ・ティエンチェンが取り合う。互いに、とりわけ高いディフェンス力と自陣コートを広くカバーするフットワークで目の肥えた中国の観客をうならせながら、試合を進めていく
ファイナルゲームも前半は一進一退。しかし中盤以降、桃田が徐々にリードを広げ15-8、その後は4~5点差を保ったまま、21-16で振り切った
チョウ・ティエンチェンは、桃田が今シーズン黒星を喫した数少ない対戦相手の1人。ただ、敗れた3月のドイツオープンの後、これで5連勝と、負のイメージを完全に払しょくした。なおほかには、サミール・ヴェルマ、リー・チョンウェイ、アンソニー・シニスカ・ギンティン、チェン・ロンに敗れている
桃田は、世界ランク上位選手に出場が義務付けられる「SUPER750」と「SUPER1000」、合わせて8大会のうち、自身のランキングが低く出場資格を得られなかった3月全英オープンを除く7大会に出場。ベスト4にとどまった10月フレンチオープン以外の6大会で決勝まで進み、優勝4回、準優勝2回と、他を圧倒する結果を残した
一方、女子シングルスの奥原は、準決勝で圧倒した中国2番手ホー・ビンジャオに続いて、アウェーの雰囲気の中、同1番手チェン・ユーフェイを倒しにかかる。しかしこの日は、準決勝で五輪/世界選手権の現チャンピオン、スペインのカロリナ・マリンから初勝利を挙げ、自信を持って戦えたと話していた中国のエースに先を行かれる展開に。第1ゲーム、なすすべなく10点に抑え込まれ、第2ゲームは何とか食らい付いつくが、中盤以降どうしてもリードが奪えず、12-12からじりじりと点差を広げられて16-21。4度目の対戦で初黒星を喫した
20歳のチェン・ユーフェイは今回、世界選手権覇者3人、ラッチャノク・インタノン(2013年)、マリン(14、15、18年)、奥原(17年)を立て続けに破り、シーズン初優勝。旧スーパーシリーズ(SS)に相当する「SUPER500」以上の上位大会で初タイトルを手にした。さらに、上位大会では2016年フレンチオープン優勝のホー・ビンジャオ以来2年ぶりに、この種目で中国にタイトルをもたらし、強国復活の予兆を内外に印象付けた
女子ダブルスの永原・松本は、フレンチオープンに次ぐ2大会連続優勝を目指し、今大会、準々決勝でインドネシアのグレイシア・ポリー/アプリヤニ・ラハユ、準決勝で高橋礼華・松友美佐紀と強豪を連破し、本来の強さを見せてきた韓国のエース、シン・スンチャン/イ・ソヒに挑んだ
昨年2度の対戦ではいずれもストレート負けを喫している分の悪い相手。ただ、世界チャンピオンとなった今年最初の対戦は、攻撃型ペア同士、臆することなくやり合い、20-18と先にゲームポイントをつかむ。しかしこの好機に決め切れず、21-23と逆転を許してしまう。続く第2ゲームは前半、互角の展開で進むが、後半に入り韓国ペアに抜け出され13-18と厳しい状況に追い込まれる。それでも気持ちを崩さずひとつひとつ点数を重ねて1点差まで迫るが、追い抜くことは叶わず。最後は、攻めの姿勢を崩さず放った松本のショットがネットにかかり、ジエンド。結果的には、過去2度の対戦時と同じストレート負けで、フレンチオープンに次ぐ「SUPER750」2大会連続優勝は果たせなかった
それでも今大会、◆1回戦:中国リ・インフェイ/ドゥ・ユエ◆2回戦:タイのサプシリー・テラッタナチャイ/プティッタ・スパジラクン◆準決勝:韓国キム・ソヨン/チェ・ユジョン――と、これまで一度も勝てていなかったペアから白星を挙げたのは大きい。さらに準々決勝では、第1シードの福島由紀・廣田彩花を破って勢いづいた韓国のベテラン、チャン・イエナ/チョン・ギョンウンを直後に止め、あらためて世界ランク上位を占める日本ダブルス陣の層の厚さも示してみせた
男子ダブルスは第1シード、インドネシアのマルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョが、6月のマレーシアオープン(SUPER750)で一度敗れている、ともに20歳の中国4番手ホー・ジティン/タン・チアンにオープニングゲーム、25-27と競り負けながら、続く2ゲームをきっちり取り返して優勝。今シーズン8勝目(SUPER750は日本、デンマーク、中国・福州の3勝)を挙げた
前月フレンチオープンの決勝では、やはり20歳の中国3番手ハン・チェンカイ/ツォウ・ハオドンに敗れ、優勝を逃しているが、2大会続けて同じ轍は踏まなかった
混合ダブルス決勝は中国ペア同士とはいえ、この1年、6戦して負けなしの世界1位ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオンが、手の内を知り合う相手との競り合いにもしっかり勝ち切る強さを示し、世界2位ワン・イーリュ/ホワン・ドンピンに7連勝。今シーズン9勝目で、とりわけ「SUPER750」は、マレーシア、日本、デンマーク、フランス、中国・福州と、5大会完全制覇を遂げた
決勝の結果
【男子シングルス】桃田賢斗(第1シード)<21-13,11-21,21-16>チョウ・ティエンチェン(台湾、第4シード)
【女子シングルス】チェン・ユーフェイ(中国、第4シード)<21-10,21-16>奥原希望(第7シード)
【男子ダブルス】マルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ(インドネシア、第1シード)<25-27,21-17,21-15>ホー・ジティン/タン・チアン(中国)
【女子ダブルス】永原和可那・松本麻佑(第5シード)<21-23,18-21>シン・スンチャン/イ・ソヒ(韓国、第7シード)
【混合ダブルス】ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン(中国、第1シード)<21-15,11-21,21-19>ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン(中国、第2シード)