世界選手権3回戦、日本勢はシングルス4人、ダブルス5ペアが勝ってベスト8に入り、メダルへの挑戦権を得た。昨年に比べると、ここまで男子が健闘を見せている
2017年グラスゴー大会のベスト8には、日本からシングルス1人(奥原希望)、ダブルス4ペア(園田啓悟・嘉村健士、高橋礼華・松友美佐紀、福島由紀・廣田彩花、米元小春・田中志穂)が残った。今回、南京では、女子がシングルス1人増えたのに対し、男子はシングルス2人、ダブルス1ペアを加えた
シングルス陣は前回、日本からただひとり準々決勝に進んだ奥原希望のほか、山口茜、桃田賢斗、常山幹太が勝ち上がった。中でも、直近のタイオープン(SUPER500)で上位大会初優勝を遂げたばかりの常山が、ノーシードながら存在感を示している。この日は、今月初めのインドネシアオープンで常山に翻弄され敗れたフランスのブリス・レベルデスの挑戦を受ける形となったが、跳ね返し、連勝した
第6シードの桃田は、初顔合わせとなった第16シード、デンマークの21歳アナース・アントンセンを相手にこの大会初めてゲームを落とし、先行を許す。しかし、下がっていた打点を上げるなど修正を加えた第2ゲーム以降、持ち直し、事なきを得た
アントンセン選手は試合後、「第1ゲームはほぼ完ぺきな形でプレーできたが、その後は桃田の質の高いラリーにやられた。ミスが減り、ディフェンスがどんどん良くなっていった」と話した
一方、ダブルス陣では、男子はインドネシアオープン(SUPER1000)準優勝、第7シードの金子祐樹・井上拓斗組が、第15シードのインドネシア、ハルディアント/ベリー・アングリアワン組に手こずりながらも勝利。「ほかと変わらない」と評する世界選手権を含む、出場する大会すべてで最低限クリアすべきハードルに自ら設定する、ベスト8入りをきっちり果たし、ベスト16に終わった昨年の結果も越えた
女子は、前回、世界選手権初出場で銀メダルを手にした第2シードの福島・廣田組に続いて、永原和可那・松本麻佑組が、第3シードの高橋・松友組との同国対決に勝って準々決勝進出を決めた
初出場で第11シードに入った永原・松本組は、インドネシアオープン準優勝を含む直前の東南アジア3連戦で得た自信と勢いに乗り、前回銅メダルの高橋・松友組をストレートで破った。あす(3日)の準々決勝に向けては、「もう1つ勝てばメダルだが、今一度自分たちのプレーを出すことに立ち返って、それが結果につながれば」と、メダルへの気持ちが先走りしすぎないよう、自分たちに言い聞かせるよう語った
一方、高橋・松友組の敗北は、とりわけインドネシアオープンを現場で取材したものにとって、驚きではなかった。この時、福島・廣田組との同国対決に敗れ、高橋選手の口から、「(自分たちが)劣っている」という言葉も出ていた<https://badpal.net/2018/07/08/kento-into-super1000-final-after-getting-sweet-revenge-on-chongwei/>。今シーズンの国際大会(個人戦)の通算成績27勝6敗のうち、4敗が対日本ペア。代表合宿で、いわば世界の頂点を取った手の内をさらし、間接的にほかのペアの成長を後押ししてきた2人。今後、所属に戻り、代表合宿ではできない「日本ペア対策」にしっかり取り組めるかが、現状打破へのカギとなる
また、第4シードの米元小春・田中志穂組は、ねばる中国のホワン・ヤチオン/ユー・シャオハン組を振り切り、2大会連続でベスト8に入った
昨年逃したメダル獲得に向け、次は負けられない一戦となる
日本勢以外では、この日、世界選手権5度(2006、07、09、11、13年)の優勝を誇り、昨年は準優勝だった中国リン・ダン(34)が、ひとまわり年の離れた同じ中国のシー・ユーチ(22)にストレートで敗れ、姿を消した
これで2人の国際大会における対戦成績は5勝1敗。とりわけ今シーズンは、若きエースが、実績ではるか上を行くベテランに3連勝と、完全に凌駕している
シー・ユーチのほか、常山、山口、ホー・ビンジャオら準々決勝進出者とともに、4年前、ユース五輪南京大会に出場していたもう1人が、ブラジルのイーゴル・コエーリョ。今大会では、1回戦で香港ウォン・ウィンキ、2回戦でインドのプラノイ・ハシーナ・スニルクマールと世界ランク上位の選手を連破。3回戦で第7シードの台湾チョウ・ティエンチェンに敗れたが、ベスト16の結果を残した
前回グラスゴー大会に続いて BadPaL が話を聞くと、「今大会のパフォーマンスを含め、この1年の自分の成長に満足している」と笑顔を見せた。ただ、「まだまだやるべきことは多い。これから2年あるので、メダルを目指す東京五輪に向け、より一層ハードワークに取り組む」と語った
21歳のコエーリョは、自国開催で「出ただけだった」と認めるリオデジャネイロ五輪の後、フランスをはじめヨーロッパでトレーニングやプロリーグに参加するなどして、経験だけでなく力をつけた。世界選手権では、2回戦でシー・ユーチに敗れベスト32に終わった昨年から、今年はベスト16と、結果でも成長を証明している
一方、38歳マシアス・ボーと35歳カールステン・モゲンセンが組む、デンマークのベテランペアは今回、第3シードから頂点を目指したが、元気なく、台湾チェン・フンリン/ワン・チリン組にストレート負け(19-21,10-21)。3回戦で早々に大会を終えた
ボー/モゲンセン組は世界選手権で、2013年に銀メダル、14年に銅メダルを獲得しているが、その後は、◆15年ベスト8◆17年ベスト8◆18年ベスト16――と、結果を下げている
デンマークの男子ダブルス陣はこの日、第8シードのアナース・スカールプ・ラスムセン/キム・アストルプ・ソレンセン組も、ギリギリのタイミングで繰り上げ出場の報を聞いたマレーシアのソー・ウーイイク/アーロン・チア組に敗れ、姿を消した
◆日本選手3回戦の結果
【男子シングルス】
桃田賢斗(第6シード)<13-21,21-17,21-8>(デンマーク、第16シード)アナース・アントンセン
チェン・ロン(中国、第8シード)<21-18,21-19>(第14シード)西本拳太
常山幹太<21-17,21-15>(フランス)ブリス・レベルデス
【女子シングルス】
山口茜(第2シード)<21-12,21-12>(タイ、第11シード)ニチャオン・ジンダポン
奥原希望(第8シード)<23-21,21-13>(マレーシア)ゴー・ジンウェイ
カロリナ・マリン(スペイン、第7シード)<21-7,21-13>(第15シード)佐藤冴香
【男子ダブルス】
園田啓悟・嘉村健士(第5シード)<21-17,21-16>(インドネシア、第9シード)ムハンマド・リアン・アルディアント/ファジャル・アルフィアン
金子祐樹・井上拓斗(第7シード)<21-11,20-22,21-16>(インドネシア、第15シード)ハルディアント/ベリー・アングリアワン
ツァン・ナン/リュウ・チェン(中国、第2シード)<21-15,21-14>(第16シード)遠藤大由・渡辺勇大
【女子ダブルス】
福島由紀・廣田彩花(第2シード)<21-10,21-11>(ブルガリア、第9シード)ステファニ・ストエバ/ガブリエラ・ストエバ
(第3シード)<13-21,15-21>永原和可那・松本麻佑(第11シード)高橋礼華・松友美佐紀
米元小春・田中志穂(第4シード)<21-18,21-19>(中国、第12シード)ホワン・ヤチオン/ユー・シャオハン
【混合ダブルス】
ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン(中国、第2シード)<13-21,21-17,21-13>(第16シード)渡辺勇大・東野有紗
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◆準々決勝の対戦カード
【男子シングルス】
ビクター・アクセルセン(デンマーク、第1シード)対チェン・ロン(中国、第8シード)
シー・ユーチ(中国、第3シード)対チョウ・ティエンチェン(台湾、第7シード)
桃田賢斗(第6シード)対B.サイ・プラニース(インド)
常山幹太対ダレン・リュー(マレーシア)
【女子シングルス】
タイ・ツーイン(台湾、第1シード)対ホー・ビンジャオ(中国、第6シード)
カロリナ・マリン(スペイン、第7シード)対サイナ・ネワル(インド、第10シード)
プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ(インド、第3シード)対奥原希望(第8シード)
山口茜(第2シード)対チェン・ユーフェイ(中国、第5シード)
【男子ダブルス】
マルクス・フェルナルディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ(インドネシア、第1シード)対園田啓悟・嘉村健士(第5シード)
金子祐樹・井上拓斗(第7シード)対チェン・フンリン/ワン・チリン(台湾、第14シード)
リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ(中国、第4シード)対ソー・ウーイイク/アーロン・チア(マレーシア)
ツァン・ナン/リュウ・チェン(中国、第2シード)対マッズ・コンラド・ペターセン/マッズ・ピーラー・コルディング(デンマーク、第6シード)
【女子ダブルス】
チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、第1シード)対グレイシア・ポリー/アプリヤニ・ラハユ(インドネシア、第5シード)
ラウィンダ・プラジョンジャイ/ジョンコンパン・キッティハラクン(タイ、第7シード)対永原和可那・松本麻佑(第11シード)
米元小春・田中志穂(第4シード)対リズキ・アメリア・プラディプタ/デラ・デスティアラ・ハリス(インドネシア、第8シード)
福島由紀・廣田彩花(第2シード)対ニ・ケトゥット・マハデウィ・イスティラニ/アンギア・シッタ・アワンダ(インドネシア、第14シード)
【混合ダブルス】
ツェン・シウェイ/ホワン・ヤチオン(中国、第1シード)対サトウィクサイラジ・ランキレディ/アシュウィニ・ポンナッパ(インド)
マシアス・クリスチャンセン/クリスティナ・ペダーセン(デンマーク、第4シード)対ツァン・ナン/リ・インフェイ(中国、第5シード)
タン・チュンマン/ツェ・インシュー(香港、第3シード)対チャン・ペンスーン/ゴー・リュウイン(マレーシア、第8シード)
ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン(中国、第2シード)対クリス・アドコック/ガブリエル・アドコック(イングランド、第6シード)