
世界バドミントン連盟(BWF)は、6日に開幕したドイツオープン(SUPER300)から、新たなサーブ規定を試験導入した。サーブを打つ瞬間のシャトル(全体)の位置をコート床面から115センチ未満の高さとするもので、この「一線」を越えるとフォルトとなる
かねて問題視されていた、副審(サービスジャッジ)次第で試合ごとにフォルトの判定にばらつきが出るのを減らすのが狙い。ドイツオープンでは、副審が、眼前に立てられた専用の器具を通して目視で判定している
BWFが試験導入を明かした昨年11月末以降、デンマークや中国、マレーシアといった主要国・地域では既に同様の方式で「練習」が繰り返されていたが、本番ではどのような判定器具が用いられるのかは不明だった。ただ蓋を開けてみると、練習で使用されていたのとほぼ変わらぬ、ポールに取り付けられたアクリル板に高さ115センチを示す黒線が引かれた器具が採用された
BadPaL は今年1月、インドネシア・ジャカルタで、男子ダブルス世界ランク6位のマッズ・コンラド・ペターセン選手(デンマーク)と女子ダブルス世界ランク2位の松友美佐紀選手から、新たなサーブ規定に関する意見を聞いた

身長186センチのマッズ・コンラド・ペターセン選手は、背の高い選手にとって不利に働くとみられるBWFのサーブ規定変更に「賛成ではない」とする立場を明確にした。また、「判定は依然として副審の目視に依存するため、ヒューマンエラーが起こる可能性はこれまでと変わらない」と指摘した
それでも、3月に迫った試験導入に向け、対応するための練習は行っていると説明。「自分はまだいいが、パートナーが苦労している」と明かした。パートナーのマッズ・ピーラー・コルディング選手は205センチあり、現役のトップ選手の中で最も背が高い
これに続くのが、◆ウラジミール・イワノフ選手(ロシア、197センチ)◆リ・ジュンフェイ選手(中国、195センチ)◆ビクター・アクセルセン選手(デンマーク、194センチ)◆ヨアキム・フィッシャー・ニールセン選手(デンマーク、193センチ)◆リュウ・ユーチェン選手(中国、193センチ)◆ルー・チンヤオ選手(台湾、190センチ)――。これら190センチを超えるような高身長の選手は、フォームはそのままに、ヒザを少し曲げてサーブを打つのが主流となりそう
さらにマッズ・コンラド・ペターセン選手はもう1点、BWFが当初、シーズンで最も重要な大会の1つである全英オープン(SUPER1000)からとした試験導入のタイミングに疑問を呈し、「下位大会で、慣れるための準備が必要」と主張していた。この点は、インドのプサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ選手(179センチ)らほかのトップ選手からも指摘が挙がり、後に大会格付けが3つ下回るドイツオープン(SUPER300)からに前倒しされた

一方、身長159センチの松友選手は今シーズン2戦目、優勝した1月のインドネシアマスターズ(SUPER500)で、副審との相性も影響してか、「あらゆる種類のフォルトを取られた」と苦笑するほど、サービスフォルトで幾つかの大事なポイントを失った
この点について、今後、改善に取り組まなくてはならない火急の課題になるか、と聞いたところ、「3月からサーブの規定が変わるので、それほど気にしていない」ときっぱり。やがてくる変更をしっかり意識し、それを自分のプレーの優位点として取り入れるべく努めている姿勢をのぞかせた
世界ジュニア選手権を除くBWFの主要大会(ワールドツアー、トマス・ユーバー杯、世界選手権など)を対象に、試験導入は年末まで続けられる。その過程で見直しが加えられることは考えられるが、新たな規定は、サーブを打つ瞬間の床面からの高さの上限を決めているだけなので、これまでフォルトを取られることの多かった対戦相手の意表を突くフリックサーブなどが、フォルトとみなされなくなることも予想される。そのため「攻めのサーブ」が多用できるようになるが、同時に、レシーブに回った際、相手サーブに対しこれまで以上の準備と対応が求められる