
USオープンGPゴールド決勝、男子ダブルスの金子祐樹・井上拓斗組が、初めてGPゴールドのタイトルを手にした。また、女子シングルスの大堀彩選手は3度目のGPゴールド優勝で、来月、世界選手権初めて出場する3人が、本番前最後の国際大会を最高の形で締めくくった
金子・井上組は、2012年世界ジュニア選手権・千葉大会で銀メダルを獲得し、シニアの大会に進んだ。しかしそこから、下位大会インターナショナルシリーズ、インターナショナルチャレンジでの優勝はあったが、ジュニア時代に実績を残した若手が「優勝」という足跡を残し通過していくGPゴールドのタイトル獲得には至らず。決勝には、16年10月タイオープンと17年4月チャイナマスターズの2度進んだが、いずれも準優勝に終わっていた
この日の決勝は、第1シードの台湾ヤン・ポハン/ルー・チンヤオ組と第2シード金子・井上組との頂上対決。金子・井上組は第1ゲーム、後半に抜け出されて落とし、またか、といった空気も漂う。しかし第2ゲームをしっかり取り返すと、ファイナルゲームも9-7から大きく引き離して21-13で勝ち、3度目のGPゴールド決勝で初タイトルを手にした
試合の前日、「(3度目の決勝で)もう2位では意味がない」としていた井上選手は優勝を決めた後、BadPaL に対し、先輩である早川賢一コーチ、遠藤大由選手の2人が、2位になりすぎると本当に決勝で勝てなくなると言っていたのと、純粋に優勝したい気持ちがあった、と説明した。また、「GPゴールドのタイトルは20歳の時にとっていたいと目標設定していた」と明かした上で、これまでの大会でもシード選手を破ったり上位には進めたが、優勝できず、「GPゴールドタイトル獲得まで、長かった」と率直な心境を吐露した。初出場となる8月の世界選手権に向けては、直前合宿でA代表がメーンで行っているきつい練習に臨むことになるが、ケガなく大会に挑めるようにしたい、とiした

一方、5度目のGPゴールド決勝に臨んだ大堀選手は、初めて対戦するカナダのミッシェル・リ選手から第1ゲームをあっさり先取。とりわけ後半は一方的な展開だった。第2ゲームも序盤7-1とリードし、一気に押し切るかとみられたが、実力者のリ選手が徐々に盛り返し11-10と逆転。後半に入ってもリードを保つ。しかし、大堀選手は14-18から5連続得点を決め19-18と再び形勢を逆転させると、そのまま逃げ切り、2016年タイオープン、17年チャイナマスターズに続く3つ目のGPゴールドのタイトルを手中に収めた
次は現在のA代表4人、山口茜、奥原希望、佐藤冴香、三谷美菜津がすべて達成している、上位大会スーパーシリーズ(SS)での優勝を目指す
なお、日本の女子シングルス陣はこれで6~7月、◆インドネシアオープンSSプレミア:佐藤冴香◆オーストラリアンオープンSS:奥原希望◆台湾オープンGPゴールド:川上紗恵奈◆カナダオープンGP:川上紗恵奈◆USオープンGPゴールド:大堀彩――と、5大会続けて国際タイトルを取っている
もう1種目、女子ダブルスでは永原和可那・松本麻佑組がGPゴールド初優勝を狙ったが、前週のカナダオープンGPからペアを再結成させた韓国シン・スンチャン/イ・ソヒ組にストレート負け。昨年に続いて準優勝に終わり、カナダオープンに次ぐ2週連続優勝も果たせなかった
勝ったシン・スンチャン、イ・ソヒ両選手はともに1994年生まれで、ジュニア時代、2011年世界ジュニア、12年アジアジュニアと世界ジュニアと、メジャータイトルを総なめにした。シニアの大会でも、12年アイスランドインターナショナルシリーズとインドインターナショナルチャレンジ、14年韓国マスターズGPと国際タイトルを手にしたが、GPゴールド以上の優勝はなかった。それもあってか、15年世界選手権からはペアを崩し、シン・スンチャン選手は90年生まれのチョン・ギョンウン選手と組んで、◆15年デンマークオープンSSプレミア◆16年韓国オープンSS優勝◆16年リオ五輪銅メダル――。イ・ソヒ選手は89年生まれのチャン・イエナ選手と組み、◆16年チャイナオープンSSプレミア◆17年全英オープンSSプレミア優勝――と、それぞれ上位大会で成果を挙げている
同国対決となった男子シングルスと混合ダブルスは、ともに世界ランク上位につけるインドのプラノイ・ハシーナ・スニルクマール選手、韓国ソ・スンジェ/キム・ハナ組が制した
決勝の結果
【男子シングルス】 プラノイ・ハシーナ・スニルクマール(インド、世界23位)<21-15,20-22,21-12>カシャップ・パルパリ(インド、世界59位)
【女子シングルス】 大堀彩(世界17位)<21-11,21-19>ミッシェル・リ(カナダ、世界59位)
【男子ダブルス】 ヤン・ポハン/ルー・チンヤオ(台湾、世界16位)<21-15,13-21,13-21>金子祐樹・井上拓斗(世界24位)
【女子ダブルス】 永原和可那・松本麻佑(世界48位)<16-21,13-21>シン・スンチャン/イ・ソヒ(韓国、世界204位)
【混合ダブルス】 ソ・スンジェ/キム・ハナ(韓国、世界99位)<16-21,21-14,21-11>キム・ウォンホ/シン・スンチャン(韓国、世界189位)
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USオープンと同じ週に、ロシア・ウラジオストクではロシアオープンGPが開催され、女子ダブルスで、今シーズンからペアを組み始めた松田蒼・荒木茜羽組が、国際大会3戦目で初優勝を果たした
11×5ゲーム制で実施されたこの大会、松田・荒木組は準決勝までの4試合すべてストレート勝ち。決勝では、今井優歩・川島美南組をフルゲームの末に下し、頂点に立った
荒木選手は、松居圭一郎選手と組む混合ダブルスでも決勝まで進んだが、リオデジャネイロ五輪銀メダリスト、チャン・ペンスーン選手を擁するマレーシアペアに敗れ、準優勝だった
決勝の結果
【男子シングルス】 ウラジミール・マルコフ(ロシア、世界63位)<11-13.5-11.11-6.11-7,4-11>セルゲイ・シラント(ロシア、世界88位)
【女子シングルス】 ソニア・チア(マレーシア、世界23位)<9-11,11-5,5-11,11-5,4-11>エフゲーニャ・コセツカヤ(ロシア、世界38位)
【男子ダブルス】 ウラジミール・イワノフ/イワンソ・ソゾノフ(ロシア、世界11位)<11-6,11-9,11-5>ロウ・ジュアンシェン/チューイ・カーミン(マレーシア、世界26位)
【女子ダブルス】 松田蒼・荒木茜羽(世界156位)<11-6,6-11,11-7,7-11,11-5>今井優歩・川島美南(世界385位)
【混合ダブルス】 チェン・ペンスーン/チア・イーシー(マレーシア、世界152位)<11-8,13-11,11-3>松居圭一郎・荒木茜羽(世界ランクなし)