
オーストラリアンオープンSS準決勝、山口茜選手は、世界ランク1位、第1シードの台湾タイ・ツーイン選手にストレート勝ちし、決勝進出を決めた。そしてこの時点で、初出場となる8月の世界選手権で第1シード枠を得ることを確実にした
世界1位が自ら、BadPaL に「いつも楽しい」と表現した、山口選手とタイ・ツーイン選手の試合は今シーズンここまで、アジア選手権決勝の1回だけ。全英、シンガポール、インドネシアでも顔を合わせる可能性はあったが、直前に山口選手(インドネシアでは両方)が敗れ、実現しなかった
タイ選手の4勝3敗で迎えた8度目の対戦は、どちらが勝ってもおかしくない一進一退の攻防となった第1ゲームを、最後、ネットに当たって相手コートに落ちるポイントで奪った山口選手が、第2ゲームも押し切って勝利。初めて対戦した4年前のジャパンオープン準決勝以来となるストレート勝ちを収めて、決勝に進んだ
山口選手にとって6度目のSS決勝進出は、もう1つの結果をもたらした
様々な要素が重なり巡ってきチャンスだった。世界選手権前最後のSSとなる今大会、世界2位のソン・ジヒョン選手(韓国)、3位のカロリナ・マリン選手(スペイン)がともに1回戦で敗退。4位のプサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ選手(インド)は準々決勝でタイ・ツーイン選手に逆転負けし、ランキングポイントの変動なしに終わった。5位の山口選手は準決勝まで勝ち進んだものの、ベスト4に終わった場合、5位のままだったが、決勝に進んだことでSS準優勝のポイントを確保し、次週29日更新の世界ランキングで3人を抜いて2位に浮上することが確定した
7月はSSが開催されず、2回あるグランプリ(GP)ゴールド(台湾、US)にも上位選手はエントリーしていないため、世界選手権のシードを決める基準となる8月3日付世界ランキングまで2位は変わらず。現在1位のタイ・ツーイン選手は1位を維持するが、世界選手権には出場しないため、最上位となる山口選手が第1シードに入ることになる
準決勝に臨んだもう1人、奥原希望選手は、山口選手より少し先ににコートに入り、ジュニア時代からのライバル、中国スン・ユ選手から早々に第1ゲームを奪う。しかし第2ゲームを取り返されたことで、ストレート勝ちした山口選手がコートを去る姿を横目で見る形でファイナルゲームを戦ったが、しっかり勝利。昨年優勝した全英オープン以来のSS決勝で、世界ランク上位にいる山口選手に、世界選手権に向け引き上げてきている今の力をぶつける
女子ダブルスでも、日本選手が準決勝2試合に登場した。世界1位の高橋礼華・松友美佐紀組の相手は、世界4位の中国チェン・チンチェン/ジア・イーファン組。5月の男女混合国・地域別対抗戦スディルマン杯の準決勝を含む直近3度の対戦で3連敗している難敵だが、この日はストレート勝ち
一方、世界10位の福島由紀・廣田彩花組は、世界2位デンマークのクリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール組が第2ゲームに握ったマッチポイントを凌いで切り返し、ファイナルゲームに持ち込む。前日、世界3位の韓国チャン・イエナ/イ・ソヒ組を破った準々決勝の再現か期待されたが、17-21で敗れ、決勝には届かなかった
日本男子唯一の勝ち残り、園田啓悟・嘉村健士組は、台湾3番手ヤン・ポハン/ルー・チンヤオ組と初顔合わせ。世界ランクは18位と下位ながら、今大会、2回戦で世界1位の中国リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ組を破り勢いつくペアにどのくらい手を焼くのか注目されたが、動じず。両ゲームとも15点に抑えて、地力の差を見せた
園田・嘉村組にとって今シーズン初、通算ではシンガポール、香港、ドバイ(ファイナル、いずれも2016年)に続く4度目のSS決勝で対峙するのは、ペアとして今回初めてSS決勝進出を果たしたヘンドラ・セティアワン/タン・ブンヒョン組
男子シングルスでは、インドのキダンビ・スリカンス選手が中国1番手シー・ユーチ選手をストレートで破り、シンガポール(準優勝)、インドネシア(優勝)に続いて、3大会連続となるSS決勝進出を決めた。もうひと試合は、2012年ロンドン五輪銅メダルマッチの再戦。メダルを逃した韓国の37歳イ・ヒョンイル選手が、ロンドンの銅メダルに続いて4年後リオデジャネイロで金メダルを手にした中国の28歳チェン・ロン選手をファイナルゲームまで引き込んだが、5年越しの「雪辱」はならなかった
混合ダブルス準決勝2試合はそれぞれランク上位ペアが順当に勝ち上がり、世界1位の中国ツェン・シウエイ/チェン・チンチェン組が通算5度目、同7位のインドネシア、プラビーン・ジョーダン/デビー・スサント組が2度目のSS優勝を狙う
準決勝の結果
【男子シングルス】
シー・ユーチ(中国、世界4位)〈10-21,14-21〉キダンビ・スリカンス(インド、世界11位)
チェン・ロン(中国、世界6位)〈26-24,15-21,21-17〉イ・ヒョンイル(韓国、世界14位)
【女子シングルス】
タイ・ツーイン(台湾、世界1位)〈19-21,12-21〉山口茜(世界5位)
スン・ユ(中国、世界6位)〈18-21,21-18,14-21〉奥原希望(世界12位)
【男子ダブルス】
ツァン・ナン/リュウ・チェン(中国、世界10位)〈15-21,21-14,17-21〉ヘンドラ・セティアワン/タン・ブンヒョン(インドネシア/マレーシア、世界30位)
園田啓悟・嘉村健士(世界5位)〈21-15,21-15〉ヤン・ポハン/ルー・チンヤオ(台湾、世界18位)
【女子ダブルス】
高橋礼華・松友美佐紀(世界1位)〈21-17,21-11〉チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、世界4位)
クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール(デンーク、世界2位)〈21-16,20-22,21-18〉福島由紀・廣田彩花(世界10位)
【混合ダブルス】
ツェン・シウエイ/チェン・チンチェン(中国、世界1位)〈21-13,19-21,23-21〉ワン・イーリュ/ホワン・ドンピン(中国、世界23位)
プラビーン・ジョーダン/デビー・スサント(インドネシア、世界7位)〈21-19,21-16〉キム・ドクヨン/キム・ハナ(韓国、世界377位)
決勝の対戦カード
【男子シングルス】 チェン・ロン(中国、世界6位)対キダンビ・スリカンス(インド、世界11位)
【女子シングルス】 山口茜(世界5位)対奥原希望(世界12位)
【男子ダブルス】 園田啓悟・嘉村健士(世界5位)対ヘンドラ・セティアワン/タン・ブンヒョン(インドネシア/マレーシア、世界30位)
【女子ダブルス】 高橋礼華・松友美佐紀(世界1位)対クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール(デンマーク、世界2位)
【混合ダブルス】 ツェン・シウエイ/チェン・チンチェン(中国、世界1位)対プラビーン・ジョーダン/デビー・スサント(インドネシア、世界7位)