
五輪レースの最終戦、アジア選手権が26日、中国・武漢で開幕し、28日までに各種目ベスト8が出そろった。今大会への出場資格を得た日本勢の中で、リオデジャネイロ五輪出場権獲得の可能性を残していたのはダブルス3ペア。そのうち、福万尚子・與猶くるみ組だけが準々決勝に進んだ
世界ランク9位の福万・與猶組がこの大会で五輪出場権を手にするための条件は、現在1つ前を走る韓国2番手チャン・イエナ/イ・ソヒ組をランキングポイントで追い抜き、世界8位に入ること。それには準々決勝、準決勝とあと2試合勝ち、決勝まで進むことが最低限必要だ。韓国ペアが29日の準々決勝で中国ツァオ・ユンレイ/ティエン・チン組に敗れれば、準優勝で逆転が可能となる
インドオープンスーパーシリーズ(SS)を皮切りに、マレーシアオープンSSプレミア、シンガポールオープンSS、チャイナマスターズグランプリ(GP)ゴールドを経て、これで5週連続の大会参戦。疲れによる体力の低下は否定できず、本来のプレーができる状態にないことは明白。しかもここから先は格上の相手ばかりで、モチベーションを相手より高く保って試合に入れるかが、勝敗のカギを握る
同じく5週続けて大会に臨んだのが、男子シングルスの佐々木翔選手、男子ダブルスの園田啓悟・嘉村健士組、混合ダブルスの数野健太・栗原文音組と園田啓悟・福万尚子組。このうち、混合ダブルスの2ペアには自力で五輪出場権を獲得する可能性が残されていたが、ともに初戦敗退。とりわけ数野・栗原組は、対戦した世界ランク下位のマレーシアペアから試合後、「五輪出場権獲得に向け勝たなければとのプレッシャーを感じていた。プレーに精彩を欠いていたのでそこをついた」と指摘された
この時点で、日本2番手の園田・福万組の五輪出場が消えた。1番手の数野・栗原組は世界18位ながら、国・地域ごとの最大出場枠(※世界8位内に同じ国・地域から複数のペアが入った場合のみ2、それ以外は1)に照らすと14番目のペアとなる。しかし、ダブルス3種目に設けられる大陸枠のうち3つ(パンアメリカ、オセアニア、アフリカ)が振り当てられれば、16しかないこの種目の五輪出場枠から押し出される
佐々木選手も五輪レース最後の大会を1回戦負けで終えた。世界ランクで見れば、桃田賢斗選手に次ぐ日本2番手として世界16位内に届かないことが判明した今大会より前の段階で、五輪出場の可能性は断たれていた。ただ、日本バドミントン協会が違法賭博に関与した桃田選手を五輪に出場させないことを決め、世界バドミントン連盟(BWF)に登録抹消を要請。これが認められれば、佐々木選手は日本1番手として五輪出場が可能になる

一方、園田・嘉村組は、五輪出場が叶わないと判明した後、シンガポールオープンSS(準優勝)、チャイナマスターズGPゴールド(ベスト4)に次いで、今大会でも好調を維持している。1回戦で世界5位の中国ホン・ウェイ/チャイ・ビアオ組をシンガポールオープンに続いて連破。2回戦では、今大会で優勝して逆転での五輪出場を狙った世界ランク上位のマレーシアペア、クー・ケンケット/タン・ブンヒョン組の夢を砕いた
この種目、日本から唯一五輪出場を確実にしている早川賢一・遠藤大由組が2回戦で敗れたことで、準々決勝以降は単独行。5月の男子国・地域別対抗戦トマス杯をにらみ、さらなる覚醒に期待したい
日本勢ではこのほか、女子シングルスの奥原希望選手と佐藤冴香選手、女子ダブルスの高橋礼華・松友美佐紀組が2回戦まで勝ち、ベスト8に名乗りを挙げた。このうち佐藤選手は、アジアSS3連戦(インド、マレーシア、シンガポール)で3連勝し、タイから初めて世界ランク1位の座に就いたラッチャノク・インタノン選手を撃破。5月の女子国・地域別対抗戦ユーバー杯での活躍を期待させる結果を残した
日本選手1回戦の結果
【男子シングルス】 フ・ユン(香港、世界15位)〈21-17,21-17〉佐々木翔(世界20位)、タノンサク・センソンブーンサック(タイ、世界33位)〈21-23,18-21〉上田拓馬(世界46位)
【女子シングルス】 奥原希望(世界4位)〈21-18,15-21,21-7〉ブサナン・ウンバンルンパン(タイ、世界21位)、山口茜(世界11位)〈21-16,23-21〉ゴー・ジンウェイ(マレーシア、世界61位※予選勝ち上がり)、佐藤冴香(世界14位)〈21-12,21-12〉ハナ・ラマディニ(インドネシア、世界64位)、橋本由衣(世界17位)〈21-17,17-21,18-21〉パイ・ユーポ(台湾、世界24位)
【男子ダブルス】 早川賢一・遠藤大由(世界7位)〈21-15,21-13〉B.スミース・レディ/マヌ・アトリ(インド、世界20位)、ホン・ウェイ/チャイ・ビアオ(中国、世界5位)〈25-27,17-21〉園田啓悟・嘉村健士(世界17位)
【女子ダブルス】 福万尚子・與猶くるみ(世界9位)〈21-15,21-9〉チャン・ツーカ/ユエン・シンイン(香港、世界67位)、松尾静香・内藤真実(世界10位)〈21-8,21-7〉ウプリ・サマンシカ・ウィーラシンヘ/アチニ・ラトナシリ(スリランカ、世界189位)、福島由紀・廣田彩花(世界22位)〈21-16,21-16〉パタイマス・ムエンウォン/チャラッドチャラム・チャヤニット(タイ、世界28位)
※高橋礼華・松友美佐紀(世界1位)は第1シードで2回戦から登場
【混合ダブルス】 数野健太・栗原文音(世界18位)〈14-21,15-21〉タン・キアンメン/ライ・ペイジン(マレーシア、世界66位)、ボディン・イサラ/サビトリー・アミトラパイ(タイ、世界17位)〈21-18,24-22〉園田啓悟・福万尚子(世界24位)
日本選手2回戦の結果
【男子シングルス】 チョウ・ティエンチェン(台湾、世界8位)〈21-18,21-13〉上田拓馬(世界46位)
【女子シングルス】 奥原希望(世界4位)〈21-5,21-9〉ベ・ヨンジュ(韓国、世界13位)、リ・シュエリ(中国、世界3位)〈21-16,18-21,21-19〉山口茜(世界11位)、ラッチャノク・インタノン(タイ、世界1位)〈21-17,16-21,17-21〉佐藤冴香(世界14位)
【男子ダブルス】 早川賢一・遠藤大由(世界7位)〈14-21,21-7,11-21〉ワン・チリン/チェン・フンリン(台湾、世界22位)、クー・ケンケット/タン・ブンヒョン(マレーシア、世界16位)〈13-21,18-21〉園田啓悟・嘉村健士(世界17位)
【女子ダブルス】 高橋礼華・松友美佐紀(世界1位)〈22-20,21-18〉チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、世界13位)、福万尚子・與猶くるみ(世界9位)〈21-10,21-18〉サビトリー・アミトラパイ/パチャラプン・チョチュウォン(タイ、世界59位)、チョン・ギョンウン/シン・スンチャン(韓国、世界6位)〈21-11,18-21,24-22〉松尾静香・内藤真実(世界10位)、チャン・イエナ/イ・ソヒ(韓国、世界8位)〈21-17,21-13〉福島由紀・廣田彩花(世界22位)
準々決勝の対戦カード(※ここから先、28日更新の世界ランキングを反映)
【男子シングルス】
チェン・ロン(中国、世界1位)対トミー・スギアルト(インドネシア、世界8位)
ティエン・ホウウェイ(中国、世界6位)対ワン・ツーウェイ(台湾、世界48位※予選繰り上がり)
リー・チョンウェイ(マレーシア、世界2位)対チョウ・ティエンチェン(台湾、世界7位)
リン・ダン(中国、世界3位)対イ・ドンクン(韓国、世界18位)
【女子シングルス】
リ・シュエリ(中国、世界3位)対タイ・ツーイン(台湾、世界9位)
ソン・ジヒョン(韓国、世界7位)対佐藤冴香(世界14位)
ワン・シーシャン(中国、世界5位)対サイナ・ネワル(インド、世界8位)
奥原希望(世界4位)対ワン・イーハン(中国、世界6位)
【男子ダブルス】
イ・ヨンデ/ユ・ヨンソン(韓国、世界1位)対リュウ・シャオロン/チュウ・ツィハン(中国、世界15位)
ギデオン・マルクス・フェルナルディ/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ(インドネシア、世界13位)対園田啓悟・嘉村健士(世界17位)
フー・ハイファン/ツァン・ナン(中国、世界4位)対コ・ソンヒョン/シン・ベクチョル(韓国、世界6位)
リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ(中国、世界14位)対ワン・チリン/チェン・フンリン(台湾、世界22位)
【女子ダブルス】
高橋礼華・松友美佐紀(世界1位)対サプシリー・タエラッタナチャイ/プティッタ・スパジラクン(タイ、世界17位)
ツァオ・ユンレイ/ティエン・チン(中国、世界4位)対チャン・イエナ/イ・ソヒ(韓国、世界8位)
グレイシア・ポリー/ニトヤ・クリシンダ・マヘスワリ(インドネシア、世界2位)対チョン・ギョンウン/シン・スンチャン(韓国、世界6位)
ルオ・イン/ルオ・ユー(中国、世界7位)対福万尚子・與猶くるみ(世界9位)
【混合ダブルス】
ツァン・ナン/ツァオ・ユンレイ(中国、世界1位)対キム・ギジョン/シン・スンチャン(韓国、世界27位)
コ・ソンヒョン/キム・ハナ(韓国、世界3位)対ルー・カイ/ホワン・ヤチオン(中国、世界12位)
シン・ベクチョル/チェ・ユジョン(韓国、世界10位)対ボディン・イサラ/サビトリー・アミトラパイ(タイ、世界17位)
タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル(インドネシア、世界2位)対チェ・ソルギュ/オム・ヘウォン(韓国、世界13位)