
昨年5月にスタートした五輪レースも残り1週。リオデジャネイロ行きの切符を目指しこの1年戦ってきた日本勢のうち、先に出場を確実にした奥原希望選手、早川賢一・遠藤大由組、高橋礼華・松友美佐紀組以外の選手の出場の可否が明確になってきた。既に気持ちを切り替え、次なる目標を模索しながら再始動した選手もいるが、ここでは中国・武漢で26日に開幕するアジア選手権で、当落線上にいる選手とそのクリアすべき壁を紹介する
◆男子シングルス
佐々木翔選手は、インドオープンSSとマレーシアオープンSSプレミアで1回戦負け、シンガポールオープンSSとチャイナマスターズGPゴールドで2回戦負けと、五輪レース最終盤のアジア4連戦で結果を残せなかった。違法賭博にかかわった処分として、日本バドミントン協会が出場を認めないと決めた桃田賢斗選手(世界4位)の取り扱いは、世界ランキングのリストから抹消されない限りあくまで日本1番手。2番手につける佐々木選手(世界20位)が出場資格を得るには国・地域ごとの最大出場枠を設けた規定通 り、世界16位内に入る必要がある。しかし、前回ベスト8に入ったアジア選手権で優勝してもランキングポイントは45,126点どまりで、16位には届かない
日本バドミントン協会は世界バドミントン連盟(BWF)に対し、桃田選手の登録抹消を要請しており、これが通れば、佐々木選手は日本1番手として16位外であっても出場権を得られる。ただBWFがこうした例外措置を認めるかどうかは、依然不透明だ
【Men’s Singles ~as of 25 April】
1) チェン・ロン (China-1) 90701 pts
2) リー・チョンウェイ (Malaysia) 84303 pts
3) リン・ダン (China-2) 78107 pts
4) 桃田賢斗 (Japan-1) 74871 pts
5) ビクター・アクセルセン (Denmark-1) 72572 pts
6) ヤン・ヨルゲンセン (Denmark-2) 72172 pts
7) ティエン・ホウウェイ (China-3) 65812 pts
8) チョウ・ティエンチェン (Taiwan) 63185 pts
9) トミー・スギアルト (Indonesia) 59174 pts
10) ソン・ワンホ (Korea-1) 58055 pts
11) ワン・ツェンミン (China-4) 53074 pts
12) ウン・カロン (Hong Kong-1) 50464 pts
13) キダンビ・スリカンス (India-1) 50254 pts
14) マーク・ツイブラ― (Germany) 49843 pts
15) フ・ユン (Hong Kong-2) 48619 pts
16) ハンス・クリスチャン・ビッティングス (Denmark-3) 48580 pts
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17) ウェイ・ナン (Hong Kong-3) 47672 pts
18) ラジフ・ウーセフ (England) 46141 pts
19) イ・ドンクン (Korea-2) 45058 pts
20) 佐々木翔 (Japan-2) 40966 pts
◆女子シングルス
奥原希望選手に次ぐ日本2つ目の出場権(※世界ランク16位内に2人以上、が条件)を争う戦いは、山口茜、佐藤冴香、橋本由衣、三谷美菜津の4選手の間で続いたが、シンガポールオープンSSを終えた時点で、残り2大会、チャイナマスターズGPゴールド(橋本選手1回戦負け※山口選手は出場回避)とアジア選手権(奥原、山口、佐藤、橋本の4選手が出場)の結果にかかわらず、山口選手が2番手のポジションを確保することが確定。ケガや不測の事態による出場辞退等がない限り、奥原選手と山口選手の2人が五輪出場権を得る
【Women’s Singles ~as of 25 April】
1) ラッチャノク・インタノン (Thailand-1) 84708 pts
2) カロリナ・マリン (Spain) 84230 pts
3) リ・シュエリ (China-1) 78147 pts
4) 奥原希望 (Japan-1) 74572 pts
5) ワン・シーシャン (China-2) 73618 pts
6) ワン・イーハン (China-3) 73518 pts
7) ソン・ジヒョン (Korea-1) 71506 pts
8) サイナ・ネワル (India-1) 70442 pts
9) タイ・ツーイン (Taiwan) 66800 pts
10) プサルラ・ヴェンカタ・シンドゥ (India-2) 59750 pts
11) 山口茜 (Japan-2) 58305 pts
12) スン・ユ (China-4) 51192 pts
13) ベ・ヨンジュ (Korea-2) 51026 pts
14) 佐藤冴香 (Japan-3) 50083 pts
15) ホー・ビンジャオ (China-5) 48121 pts
16) ポーンティップ・ブラナプラサーツク (Thailand-2) 46976 pts
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17) ミッシェル・リ (Canada) 46437 pts
18) 橋本由衣 (Japan-4) 46409 pts
19) 三谷美菜津 (Japan-5) 45438 pts
◆男子ダブルス
園田啓悟・嘉村健士組は、シンガポールオープンで初のSS準優勝を果たし、チャイナマスターズGP ゴールドでも準々決勝進出と気を吐いたが、五輪出場権獲得に向けた挑戦は既に終わっている。日本がこの種目で最大出場枠2つを得るための条件は、早川賢一・遠藤大由組と園田・嘉村組が5月5日付の世界ランキングでそろって世界8位内にいること。現在世界7位の早川・遠藤組に対し、同17位の園田・嘉村組は、 チャイナマスターズGPゴールドとアジア選手権でともに優勝しても57,258点までしかランキングポイントは伸びず、世界8位には届かない
【Men’s Doubles ~as of 25 April】
1) イ・ヨンデ/ユ・ヨンソン (Korea-1) 92480 pts
2) ヘンドラ・セティアワン/モハンマド・アーサン (Indonesia-1) 78140 pts
3) キム・サラン/キム・ギジョン (Korea-2) 73247 pts
4) フー・ハイファン/ツァン・ナン (China-1) 72747 pts
5) ホン・ウェイ/チャイ・ビアオ (China-2) 70915 pts
6) コ・ソンヒョン/シン・ベクチョル (Korea-3) 68870 pts
7) 早川賢一・遠藤大由 (Japan-1) 66327 pts
8) マシアス・ボー/カールステン・モゲンセン (Denmark-1) 65604 pts
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9) マッズ・コンラド・ペターセン/マッズ・ピーラー・コルディング(Denmark-2) 57563 pts
10) ウラジミール・イワノフ/イワン・ソゾノフ (Russia) 57023 pts
11) リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフェイ (China-3) 56892 pts
12) リッキー・カランダ・スワルディ/アンガ・プラタマ (Indonesia-2) 56504 pts
13) ゴー・ウェイシェム/タン・ウィーキョン (Malaysia-1) 55098 pts
14) ギデオン・マルクス・フェルナルディ/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ (Indonesia-3) 54520 pts
15) リュウ・シャオロン/チュウ・ツィハン (China-4) 52715 pts
16) クー・ケンケット/タン・ブンヒョン (Malaysia-2) 51070 pts
17) 園田啓悟・嘉村健士 (Japan-2) 50998 pts
◆女子ダブルス
現在、世界9位の福万尚子・與猶くるみ組が、高橋礼華・松友美佐紀組に次ぐ日本にとって2つ目の五輪出場枠を得るには世界8位内に入らなければならない。しかし期待されたチャイナマスターズGPゴールドは1回戦負け。この結果を踏まえたランキングポイントは60,065点。1つ前を行く世界8位の韓国チャン・イエナ/イ・ソヒ組との差は3,431点で、これを逆転するには五輪レース最終戦、アジア選手権で7,751点超(※福万・與猶組が現在有する最も低いポイントが4,320点。アジア選手権のポイントはこれと入れ替わりとなる)を稼ぐしかない。具体的には、韓国ペアがベスト8までなら準優勝(7,800点)、ベスト4なら優勝(9,200点)の結果が必要だ。一方、韓国ペアが決勝に進めば逆転できない
日本3番手の松尾静香・内藤真実組は世界ランクは10位ながら、ランキングポイントは56,150点で9位の福万・與猶組とも大きな差がある。チャイナマスターズGPゴールドにはエントリーせず、前回ベスト8のアジア選手権で仮に優勝しても、60,290点どまりで8位には届かない
【Women’s Doubles ~as of 25 April】
1) 高橋礼華・松友美佐紀 (Japan-1) 79689 pts
2) グレイシア・ポリー/ニトヤ・クリシンダ・マヘスワリ (Indonesia) 78649 pts
3) ユー・ヤン/タン・ユエンティン (China-1) 77369 pts
4) ツァオ・ユンレイ/ティエン・チン (China-2) 76468 pts
5) クリスティナ・ペダーセン/カミラ・リタ・ユール (Denmark) 73654 pts
6) チョン・ギョンウン/シン・スンチャン (Korea-1) 72097 pts
7) ルオ・イン/ルオ・ユー (China-3) 71993 pts
8) チャン・イエナ/イ・ソヒ (Korea-2) 63496 pts
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9) 福万尚子・與猶くるみ (Japan-2) 60065 pts
10) 松尾静香・内藤真実 (Japan-3) 56150 pts
◆混合ダブルス
数野健太・栗原文音組、シンガポールオープンSSで世界ランク上位の中国ペアを倒しベスト8に入り、ランキングポイントを41,300点に引き上げた。しかしチャイナマスターズGPゴールドでは1回戦負けに終わり、ポイントの上乗せに失敗した
混合ダブルスで出場権を確保できる世界8位内に入っていない場合、五輪出場枠16つ(16ペア)のうち3つ(3ペア)が大陸枠としてパンアメリカ、オセアニア、アフリカに振り当てられる可能性を鑑み、国・地域ごとの最大出場枠に照らして上位13ペア内に位置しておく必要がある。数野・栗原組は現在、その1つ外、14番目にいるため、アジア選手権ではまず、13番目にいるタイのボディン・イサラ/サビトリー・アミトラパイ組をポイントで上回れるベスト4がクリアしなければならない最低限の目標となる。さらに、アジア選手権と同時期にフランスで開催される欧州選手権で、15番目にいるロシアペアがポイントを大きく稼いでくることも考えられるため、出来る限り上まで勝ち進みランキングポイントを引き上げておかなければならない
一方、日本2番手の園田啓悟・福万尚子組は、優勝して43,550点までランキングポイントを上乗せられれば、数野・栗原組を抜いて上位13ペア内に滑り込む可能性は残る
【Mixed Doubles ~as of 25 April】
※中国3番手のペアをここでは便宜上、対象外としているが、実際は、1つの国・地域から世界8位内に3ペア入った場合、当該国・地域の競技団体がそのうち2ペアを任意に選ぶことができる
1) ツァン・ナン/ツァオ・ユンレイ (China-1) 88975 pts
2) タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル (Indonesia-1) 80882 pts
3) コ・ソンヒョン/キム・ハナ (Korea-1) 79190 pts
4) シュー・チェン/マー・ジン (China-2) 73781 pts
※5) リュウ・チェン/バオ・イーシン (China-3) 71390 pts
6) ヨアキム・フィッシャー・ニールセン/クリスティナ・ペダーセン (Denmark) 70200 pts
7) クリス・アドコック/ガブリエル・アドコック (England) 69224 pts
8) プラビーン・ジョーダン/デビー・スサント (Indonesia-2) 68302 pts
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9) リー・チュンヘイ/チャウ・ホイワー (Hong Kong) 58975 pts
10) チャン・ペンスーン/ゴー・リュウイン (Malaysia) 56910 pts
11) シン・ベクチョル/チェ・ユジョン (Korea-2) 56480 pts
12) ルー・カイ/ホワン・ヤチオン (China-4) 55090 pts
13) チェ・ソルギュ/オム・ヘウォン (Korea-3) 49330 pts
14) ミハエル・フックス/バージット・ミシェルズ (Germany) 43883 pts
15) ロベルト・マティウシアク/ナディエズダ・ジーバ (Poland) 43750 pts
16) ヤッコ・アレンズ/セリーナ・ピーク (Netherlands) 43425 pts
17) ボディン・イサラ/サビトリー・アミトラパイ (Thailand-1) 43410 pts
18) 数野健太・栗原文音 (Japan-1) 41300 pts
19) ロナルド・アレキサンダー/メラティ・ダエバ・オクタビアニ (Indonesia-3) 39960 pts
20) エディ・スバクティアル/グロリア・エマヌエル・ウィジャジャ (Indonesia-4) 38980 pts
21) ヴィタリジ・ダルキン/ニナ・ヴィスロワ (Russia) 38934 pts
22) リッキー・ウィディアント/プスピタ・リチ・ディリ (Indonesia-5) 38670 pts
23) ホワン・カイシアン/ホワン・ドンピン (China-5) 37590 pts
23) プアバラヌクロー・デチャポン/サプシリー・タエラナッチャイ (Thailand-2) 37110 pts
24) 園田啓悟・福万尚子 (Japan-2) 37010 pts
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【大陸枠1】 29) フィリップ・チュウ/ジェイミー・スバンディ (USA) 35088 pts
【大陸枠2】 38) ロビン・ミドルトン/リアン・チュウ (Australia) 30826 pts
【大陸枠3】 50) アブデルラーマン・カシュカル/ハディア・ホスニ― (Egypt) 35088 pts