シンガポールオープンSS準決勝、男子ダブルスで園田啓悟・嘉村健士組が初のSS決勝に進んだ。女子ダブルスの高橋礼華・松友美佐紀組もライバルに勝って2年連続の決勝進出。一方、女子シングルスの山口茜選手は、SS3週連続優勝を狙うタイのラッチャノク・インタノン選手に敗れた
園田・嘉村組の相手、中国リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフイ組はともに20歳の若いペア。今大会では、2回戦で第5シードの早川賢一・遠藤大由組、準々決勝で第2シードのヘンドラ・セティアワン/モハンマド・アーサン組を破り、流れに乗っている。しかし、この日も園田・嘉村組の勢いは衰えを見せず、第1ゲーム序盤にリードを奪うとそのままこのゲームを取る。第2ゲームもほぼ同じ展開で、見事な先行逃げ切りを決め勝利。初めてSS決勝に駒を進めた
園田・嘉村組は BadPaL の取材に応じ、試合の出来について、点の取り方が良かった。今までなら、連続得点を許して流れを持っていかれることが多かったが、それも阻止できた、と評した。戦略としては、相手の長身を生かした角度のあるスマッシュを警戒し、上げないで低い展開を仕掛けたと説明した上で、落ち着いてプレーできていたことを強調した。初めて挑むあすのSS決勝の舞台では、応援してくれる人の前で優勝する姿を見せたいと指摘。今大会期間中、一貫して一戦一戦を強調してきた園田・嘉村組だったが、初めてタイトル獲得に言及し、必ず勝つ、と意気込みを示した
高橋・松友組はこの日、「1度勝ったからといって、2度続けて勝てるとは思わない」と評するライバルペアの1つ、ロンドン五輪金メダルの中国ツァオ・ユンレイ/ティエン・チン組に、チャレンジャーとして挑んだ。第1ゲームは終盤1点差まで詰められるが、一度もリードは譲らず取る。第2ゲームは競り合いの展開から後半抜け出し、20-18とマッチポイントをつかむ。流れは日本ペアにあったが決め切れず、逆転を許しこのゲームを落としてしまう
ファイナルゲームに入って早々、松友選手が左足首をひねるアクシデント。メディカルチェック後に試合が再開されると、中国ペアは松友選手に球を集める作戦に出る。しかし松友選手はこれにしっかり対応。リードを許しながらも離されずについていくと、後半、11-13から7連続得点で逆転に成功し、そのまま追いすがる中国ペアを振り切った
松友選手が試合後、足の治療に向かったため、高橋選手が、1人で BadPaL の取材に応じた。「前週の(マレーシアオープンSSプレミア準々決勝で敗れた)中国ユー・ヤン/タン・ユエンティン組の時と同じで、ツァオ・ユンレイ/ティエン・チン組には全英オープンSSプレミアで勝っていたが、2度続けて勝てるとはまだ思わっていない」と述べ、気を引き締めて試合に入ったことを説明した。ただ、「第1ゲームは取りにいかなければと思っていた」という。第2ゲーム、終盤に逆転されて落としたのは、「反省点。攻め急いだ。くやしい」と認める
ファイナルゲームは、松友選手に昨年9月のジャパンオープンの時と同じようなアクシデントで「心配し、無理しなくていい」と伝えたというが、松友選手の「やる」という判断を信じて試合を続行。松友選手が狙われる形となったが、「逆に松友が集中してできた」とパートナーのプレーを評した。決勝については、「楽しみたい」としながらも、松友選手の状態次第では、五輪前の大切な時期だけに棄権もあり得ることを示唆した
山口選手は、2014、15年世界チャンピオンのカロリナ・マリン選手を破った勢いに乗り、13年チャンピオンのラッチャノク・インタノン選手に挑んだ。ただ、今回のSSアジア3連戦、インドオープン、マレーシアオープンと2週連続で優勝し、3週目も好調を維持するラッチャノク選手に、第1ゲームは後半大きく引き離され落とす。第2ゲームもラッチャノク選手主導で試合は進む。山口選手も粘りを見せ離されずについていくと、終盤、19-19、20-20で追いつき会場を沸かせたが、ミスが出て追い越すことは一度も叶わず、全英オープンに続いてストレート負けを喫した
山口選手は試合後、BadPaL の取材に応じ、「今日の内容はいまいち。動けるようにはなったが、動きながらのコントロールができない。ミスが多く、つなぐだけの球になってしまった」とコメントした。好調なラッチャノク選手の印象を聞くと、「以前はこっちが我慢してラリーしているとミスしてくれたが、それがなかった」と答えた。今大会全体を通じた自らのパフォーマンスは、「前々週のインド、前週のマレーシアに比べると良くなった。ただ、まだ物足りない部分がある」と述べ、改善を誓った
この日は、男子シングルスの優勝候補、中国リン・ダン選手が、インドネシアのソニー・ドゥイ・クンチョロ選手にファイナルゲーム20-22で敗れた。また、男子ダブルス第1シードの韓国イ・ヨンデ/ユ・ヨンソン組、混合ダブルス第シードのインドネシア、タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル組が相次ぎ姿を消し、全種目を通じて第1シードから決勝に進んだのは女子ダブルスの高橋・松友組のみとなった
準決勝の結果
【男子シングルス】
ソン・ワンホ(韓国、世界10位)〈22-20,21-16〉ウン・カロン(香港、世界16位)
リン・ダン(中国、世界4位)〈10-21,21-17,20-22〉ソニー・ドゥイ・クンチョロ(インドネシア、世界56位※予選勝ち上がり)
【女子シングルス】
ラッチャノク・インタノン(タイ、世界2位)〈21-12,22-20〉山口茜(世界11位)
スン・ユ(中国、世界14位)〈21-10,21-16〉ホー・ビンジャオ(中国、世界15位)
【男子ダブルス】
イ・ヨンデ/ユ・ヨンソン(韓国、世界1位)〈16-21,21-23〉フー・ハイファン/ツァン・ナン(中国、世界4位)
リュウ・ユーチェン/リ・ジュンフイ(中国、世界13位)〈16-21,17-21〉園田啓悟・嘉村健士(世界18位)
【女子ダブルス】
高橋礼華・松友美佐紀(世界1位)〈21-17,20-22,21-16〉ツァオ・ユンレイ/ティエン・チン(中国、世界4位)
グレイシア・ポリー/ニトヤ・クリシンダ・マヘスワリ(インドネシア、世界3位)〈21-18,21-13〉チョン・ギョンウン/シン・スンチャン(韓国、世界6位)
【混合ダブルス】
タントウィ・アーマド/リリアナ・ナッチル(インドネシア、世界2位)〈14-21,16-21〉コ・ソンヒョン/キム・ハナ(韓国、世界3位)
シュー・チェン/マー・ジン(中国、世界5位)〈21-13,23-21〉ワン・イーリュ/チェン・チンチェン(中国、世界77位)
決勝の対戦カード
【男子シングルス】 ソン・ワンホ(韓国、世界10位)対ソニー・ドゥイ・クンチョロ(インドネシア、世界56位※予選勝ち上がり)
【女子シングルス】 ラッチャノク・インタノン(タイ、世界2位)対スン・ユ(中国、世界14位)
【男子ダブルス】 フー・ハイファン/ツァン・ナン(中国、世界4位)対園田啓悟・嘉村健士(世界18位)
【女子ダブルス】 高橋礼華・松友美佐紀(世界1位)対グレイシア・ポリー/ニトヤ・クリシンダ・マヘスワリ(インドネシア、世界3位)
【混合ダブルス】 コ・ソンヒョン/キム・ハナ(韓国、世界3位)対シュー・チェン/マー・ジン(中国、世界5位)