
アジアジュニア選手権決勝、山口茜選手は、ディフェンディングチャンピオンの大堀彩選手らを破り勝ち上がってきた勢いのある中国の15歳、チェン・ユーフェイ選手を寄せ付けずに快勝。昨年11月の世界ジュニアに続いてアジアジュニアを制し、日本人では2012年の桃田賢斗選手に次いで2人目となる、ジュニアのダブルタイトル獲得を成し遂げた
準決勝で今大会最強のライバル、タイのブサナン・ウンバンルンパン選手を倒した山口選手(1997年6月生まれ)にとって、年下のチェン選手(98年3月生まれ)との決勝は、実力差を如実に示す試合となった
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第1ゲームは前半を11-1で終えると、後半も18-5と点差を広げ、最後は21-10で取る。第2ゲームは序盤にリードを許すも、4-6から8連続得点を決めあっさり逆転すると、その後はまったく危なげない試合運びで21-15で勝利。準決勝までの4試合のうち3試合がファイナルゲームまでもつれ、苦労してきたこれまでの鬱憤を晴らすかのような完勝で、今大会を締めくくった

山口選手は表彰式後に BadPaL の取材に応じ、「準決勝でブサナン選手に第1ゲームを奪われたことで、挑戦する気持ちを取り戻すことができた。そのおかげで、決勝では今大会で一番良い試合ができたと思う」と述べた。また、「飛ばないシャトルへの対応もそうだが、それよりも、勝たなきゃいけないという気持ちが、特に劣勢に立った時、思うように動けなくなりミスする結果につながり、その辺りの調整が難しかった大会だった」と明かした。山口選手は、とりわけ大堀選手らが敗れ日本の女子シングルス陣で唯一の勝ち残りとなった後、「自分が勝たなければ、という意識はある。ただこの気持ちをプレッシャーではなく力に変えたい」と語っていた
一方で、国際大会に出場する際、これまでは自分が一番年下という状況がほとんどだったが、今大会では、チームメイトならびに対戦相手に自分より年下の選手がいたことに「初めての経験でびっくりした(笑)」という。ただ、「まだ下の方なので、チーム内での役割は変わらない」と説明した
2カ月後に控える世界ジュニア選手権については、出場するかどうかは自分で決められることではないと前置きした上で、「もし出るなら勝ちたいが、昨年獲得したタイトルを守ることにこだわりがあるわけではない」と指摘。むしろ、「団体戦で勝ちたい」と強調した
アジアジュニアの次に出場する来月4日開幕のシニアの上位大会、全英オープンスーパーシリーズ(SS)プレミアに向けては、「全英では完全な挑戦者。予選は必ず突破して、本戦では最初から強い選手に当たると思うので、自分が今どこまでできるか試したい」と抱負を語った

もう1人の日本人ファイナリスト、常山幹太選手は今大会ノーシードながら、第1シードと第3シードを倒して決勝まで勝ち上がった。この日も第5シードの中国シー・ユーチ選手を相手に、主導権を握り、後半追い上げられるも21-19で第1ゲームを先取する。しかし第2ゲームは、シー選手に角度のあるスマッシュやカットを効果的に決められ16-21で落とす。勝敗を決するファイナルゲームは中盤11-12まで競り合うも、ここから徐々に引き離され、疲れも見える常山選手はついていくことができず16-21で敗れ、準優勝。田児賢一、桃田賢斗両選手に続く、3人目のアジアジュニア男子シングルス日本人チャンピオンの誕生はならなかった
常山選手は、表彰式後に BadPaL の取材に応じ、まず「悔しい」とひとこと。「第1ゲームは思うようなプレーができた。しかし第2ゲームに入ると、低くなったロブを狙われるなど相手に読まれている部分があり、試合の途中でそれを変えられなかった」と敗因を語った。常山選手は今大会初戦から自信を持って試合に臨んでいるように見えたが、「最初から決勝を意識していたわけではない」という。理由は「同じ山に第1シードがいたため」。ただその第1シードを破ってから、決勝を狙えるかも、と思えるようになったと説明した。準優勝という結果についてどう思うか尋ねると、「満足はしていない」ときっぱり。「優勝した中国選手との差はそれほどないと思う」と指摘し、世界ジュニア選手権に向け、スピードのアップに加えて、「こんな体なんで馬力をつけたい」と語り、次を見据えた

中国同士の対戦となった女子ダブルス決勝は、千葉で開催された2012年世界ジュニア団体戦決勝で、2対2で回ってきた混合ダブルスに出場し、日本の初優勝の夢を砕いたチェン・チンチェン選手率いる第1シードのペアが順当勝ち。アジアジュニア、世界ジュニアともに準優勝に終わった昨年からステップアップを果たした。表彰式には、中国ペア3組に加えて、準決勝で惜敗したものの3位に入った川島里羅・尾崎沙織組も登場し、銅メダルを授与された。BadPaL が表彰式後に話を聞くと、「準決勝で負けたのは悔しいが、ここまでこれた。表彰台にも立てたのはうれしい」と笑顔で語った。その上で、2カ月後に行われる世界ジュニア選手権では「勝ちたい」と気持ちを新たにした

男子ダブルスは、いずれも準決勝で日本ペアを降して勝ち上がった第1シードの中国ペアと、第2シードの韓国ペアによる頂上対決。しかし、昨年のアジアジュニアと世界ジュニアでいずれも準優勝している中国ホワン・カイシアン/ツェン・シウェイ組が1枚上手で、韓国ペアを退け優勝した。この種目では、日本から下農走・常山幹太組と三橋健也・渡辺勇大組の2ペアが表彰台に上った。世界ジュニアでは、ホワン/ツェン組攻略の策を見いだせるかが、個人戦のみならず、団体戦でも日本勢優勝のカギを握る

混合ダブルス決勝も男子ダブルス同様、第1シードの中国ペアと第2シードの韓国ペアの対戦となり、男子ダブルスを制したホワン・カイシアン選手と、女子ダブルス優勝のチェン・チンチェン選手が組む中国ペアが強さを見せ、ストレート勝ち。日本勢はこの種目のみ表彰台を逃した。ただ、渡辺勇大・東野有紗組は団体戦準決勝と個人戦準々決勝で、優勝した中国ペアにあと少しのところまで迫る接戦を演じており、世界ジュニアでの勝機は十分ある
決勝の結果は以下の通り。団体戦優勝の中国が、女子シングルスを除く4種目を制した
【男子シングルス】 シー・ユーチ(中国、第5シード)〈19-21,21-16,21-16〉常山幹太
【女子シングルス】 山口茜(第4シード)〈21-10,21-15〉チェン・ユーフェイ(中国)
【男子ダブルス】 ホワン・カイシアン/ツェン・シウェイ(中国、第1シード)〈21-16,21-14〉キム・チョンホ/キム・ジェファン(韓国、第2シード)
【女子ダブルス】 チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、第1シード)〈21-11,21-18〉リ・インフェイ/ドゥ・ユエ(中国、第3シード)
【混合ダブルス】 ホワン・カイシアン/チェン・チンチェン(中国、第1シード)〈21-14,21-13〉キム・チョンホ/コン・ヒヨン(韓国、第2シード)
各種目のメダリスト
【男子シングルス】
金メダル: シー・ユーチ(中国、第5シード)
銀メダル: 常山幹太
銅メダル: ツァオ・ジュンペン(中国、第3シード)、リー・チュクイウ(香港)
【女子シングルス】
金メダル: 山口茜(第4シード)
銀メダル: チェン・ユーフェイ(中国)
銅メダル: ブサナン・ウンバンルンパン(タイ、第2シード)、リャン・シャオユ(シンガポール)
【男子ダブルス】
金メダル: ホワン・カイシアン/ツェン・シウェイ(中国、第1シード)
銀メダル: キム・チョンホ/キム・ジェファン(韓国、第2シード)
銅メダル: 下農走・常山幹太、三橋健也・渡辺勇大
【女子ダブルス】
金メダル: チェン・チンチェン/ジア・イーファン(中国、第1シード)
銀メダル: リ・インフェイ/ドゥ・ユエ(中国、第3シード)
銅メダル: 川島里羅・尾崎沙織、ジアン・ビンビン/タン・ピンヤン(中国)
【混合ダブルス】
金メダル: ホワン・カイシアン/チェン・チンチェン(中国、第1シード)
銀メダル: キム・チョンホ/コン・ヒヨン(韓国、第2シード)
銅メダル: キム・ジェファン/キム・へチョン(韓国)、アルディアント・ムハンマド・ライアン/ウルファ・ザキア(インドネシア)